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第七部 俺達の家族 -団結編-
プロローグ ???
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「なぜ……なぜ、お前は生まれてきたんだ?」
それが父様と最後に交わした言葉。母様もウチを腫れ物扱いするようになった。
その原因は……。
「まさか、あの小娘が御館様の実子だなんて……」
「御館様の女癖の悪さには困ったモノだ」
全てはこの忌まわしい血のせい……そして、青島に島流しされることになった原因。
御館様。
朝乃宮家の絶対的な存在で、誰も逆らえない権力者。
逆らう者は社会から抹殺し、存在すら抹消させる。
御館様が黒と言えば黒、白と言えば白となる。誰も逆らえない。
御館様に謀反や暗殺を企てた者は数え切れないほどいたらしい。けど、そのどれもが失敗に終わっている。
彼らは口をそろえて言う。御館様には不思議な力があると。
未来を見通し、運すら支配する。
謀略は全て見抜かれ、暗殺も全て失敗。小さな傷一つつけられない。
逆に御館様の目論見は全てうまくいき、そのおかげで政財界や大企業、組合、反社会的組織等、様々なコネが存在する。
齢九十を超えても、尚御館様は朝乃宮家の頂点に君臨している。
それ故、御館様の権力は絶大で、その資産も莫大なものと噂されている。
そのせいで、ウチは……ウチは……。
「だが、どうする? あの汚れた小娘のせいで我々の遺産の取り分がかなり減るぞ!」
「たかが実子ってだけで、今まで何十年も御館様に尽くしてきた我々よりも財産を得られるなんて暴挙、許せるわけがない!」
「自分の息子の嫁を寝取られるとは情けない男だ」
「その嫁も無理矢理犯されたくせに、御館様の子を身ごもったら産むとか、厚かましいにもほどがある! ただの火遊びだったのが分かっていない!」
「そして、その子にも御館様は……」
「言うな。所詮、蛙の子は蛙だ。男に媚びることしか能のない女など、この由緒正しき朝乃宮家にはいらん! 死んでしまえばいいのだ!」
「やめておけ。御館様の実子だぞ。手を出したら、何をされるか分かったものではない!」
「ちっ! 本当に厄介な女だ! さっさと追い出してしまえ! あの汚れた女は必ず我ら朝乃宮家に災いをもたらすぞ!」
「もうもたらしているがな」
「全くだ! あの寄生虫……いや、疫病神をなんとかしなければ……」
「恨めしい……恨めしい……」
「死んでしまえ……死んでしまえ……」
「……」
朝乃宮本家にウチの居場所なんて、どこにもなかった。
御館様は母様を無理矢理手込めにし、子供を孕ませた。
父様と思っていた男は、その事実を知るやいなや、ウチの事を憎悪と軽蔑しきった目で見下し、無視してきた。
母様は遠巻きに見物するだけ。
兄様と妹は変わらずにウチに接してくれたけど、ある日突然ウチの事を汚物扱いする親戚の手によって無理矢理引き離された。
地獄やった……。
大人の下らない相続争いに巻き込まれ、ウチはただ迫害されるだけやった。
思えば、生まれたときから、ウチは朝乃宮家から虐待を受けてきた。
彼らはウチに厳しい躾と教育を強制した。
少しでも逆らえば体罰。納得のいく結果を出さなければ体罰。
体罰……体罰……体罰……。
なぜ、朝乃宮家は完璧を目指すのか?
それはただのブランド志向。
ウチら朝乃宮家の女は昔から政略結婚や子孫を残す道具として扱われた。
その道具は一流でなければ価値はない。朝乃宮家は京都を裏で牛耳る格式ある家の一つであり、それに似合った優秀な人間でなければならない。
それが使い捨ての駒だったとしても……。
ただの下らん見栄の為に、何人もの朝乃宮の血を引く女が血の涙を流したことか……。
それでも、巨大な力を持つ朝乃宮家には従う他ない。
ウチも政略結婚の駒として使い捨てにされる。御館様の実子として、さぞやプレミアがついとるんやろうな……ウチと親子ほど年の離れた権力者達がこぞって結婚を申し込んでいるらしい。
それを親族は嬉々として、少しでも価値が上がるように仕向け、ウチを売り払うつもり。
ウチは結婚する相手すら、管理されている。
そんな絶望にウチはまともにいられへんかった……正気でいられへんかった……だから、全てを壊してやりたかった。それが無意味だと知りながら……。
そして、ウチは島流しされた青島でかけがえのない親友とその形見、最愛の人と出会うことになる。それが更なる絶望に繋がることを自覚しながらも……ウチは……誰かに……愛されたかった。
それが父様と最後に交わした言葉。母様もウチを腫れ物扱いするようになった。
その原因は……。
「まさか、あの小娘が御館様の実子だなんて……」
「御館様の女癖の悪さには困ったモノだ」
全てはこの忌まわしい血のせい……そして、青島に島流しされることになった原因。
御館様。
朝乃宮家の絶対的な存在で、誰も逆らえない権力者。
逆らう者は社会から抹殺し、存在すら抹消させる。
御館様が黒と言えば黒、白と言えば白となる。誰も逆らえない。
御館様に謀反や暗殺を企てた者は数え切れないほどいたらしい。けど、そのどれもが失敗に終わっている。
彼らは口をそろえて言う。御館様には不思議な力があると。
未来を見通し、運すら支配する。
謀略は全て見抜かれ、暗殺も全て失敗。小さな傷一つつけられない。
逆に御館様の目論見は全てうまくいき、そのおかげで政財界や大企業、組合、反社会的組織等、様々なコネが存在する。
齢九十を超えても、尚御館様は朝乃宮家の頂点に君臨している。
それ故、御館様の権力は絶大で、その資産も莫大なものと噂されている。
そのせいで、ウチは……ウチは……。
「だが、どうする? あの汚れた小娘のせいで我々の遺産の取り分がかなり減るぞ!」
「たかが実子ってだけで、今まで何十年も御館様に尽くしてきた我々よりも財産を得られるなんて暴挙、許せるわけがない!」
「自分の息子の嫁を寝取られるとは情けない男だ」
「その嫁も無理矢理犯されたくせに、御館様の子を身ごもったら産むとか、厚かましいにもほどがある! ただの火遊びだったのが分かっていない!」
「そして、その子にも御館様は……」
「言うな。所詮、蛙の子は蛙だ。男に媚びることしか能のない女など、この由緒正しき朝乃宮家にはいらん! 死んでしまえばいいのだ!」
「やめておけ。御館様の実子だぞ。手を出したら、何をされるか分かったものではない!」
「ちっ! 本当に厄介な女だ! さっさと追い出してしまえ! あの汚れた女は必ず我ら朝乃宮家に災いをもたらすぞ!」
「もうもたらしているがな」
「全くだ! あの寄生虫……いや、疫病神をなんとかしなければ……」
「恨めしい……恨めしい……」
「死んでしまえ……死んでしまえ……」
「……」
朝乃宮本家にウチの居場所なんて、どこにもなかった。
御館様は母様を無理矢理手込めにし、子供を孕ませた。
父様と思っていた男は、その事実を知るやいなや、ウチの事を憎悪と軽蔑しきった目で見下し、無視してきた。
母様は遠巻きに見物するだけ。
兄様と妹は変わらずにウチに接してくれたけど、ある日突然ウチの事を汚物扱いする親戚の手によって無理矢理引き離された。
地獄やった……。
大人の下らない相続争いに巻き込まれ、ウチはただ迫害されるだけやった。
思えば、生まれたときから、ウチは朝乃宮家から虐待を受けてきた。
彼らはウチに厳しい躾と教育を強制した。
少しでも逆らえば体罰。納得のいく結果を出さなければ体罰。
体罰……体罰……体罰……。
なぜ、朝乃宮家は完璧を目指すのか?
それはただのブランド志向。
ウチら朝乃宮家の女は昔から政略結婚や子孫を残す道具として扱われた。
その道具は一流でなければ価値はない。朝乃宮家は京都を裏で牛耳る格式ある家の一つであり、それに似合った優秀な人間でなければならない。
それが使い捨ての駒だったとしても……。
ただの下らん見栄の為に、何人もの朝乃宮の血を引く女が血の涙を流したことか……。
それでも、巨大な力を持つ朝乃宮家には従う他ない。
ウチも政略結婚の駒として使い捨てにされる。御館様の実子として、さぞやプレミアがついとるんやろうな……ウチと親子ほど年の離れた権力者達がこぞって結婚を申し込んでいるらしい。
それを親族は嬉々として、少しでも価値が上がるように仕向け、ウチを売り払うつもり。
ウチは結婚する相手すら、管理されている。
そんな絶望にウチはまともにいられへんかった……正気でいられへんかった……だから、全てを壊してやりたかった。それが無意味だと知りながら……。
そして、ウチは島流しされた青島でかけがえのない親友とその形見、最愛の人と出会うことになる。それが更なる絶望に繋がることを自覚しながらも……ウチは……誰かに……愛されたかった。
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