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本編
見なかったことにするから
しおりを挟む「ロイさーん。おはよー 朝だよ~」
昨日あのあと、「どうせ宿に泊まる金もないんだからこのまま泊まっていけ」って言ってくれたからそのまま泊まった。
騎士団の宿舎なのにいいの?とか思ったけど「見た目7~8歳程度のガキを泊めたくらいでカウントされてたまるか」って真顔で返された。……ごもっともです。
騎士団の個人部屋にソファーなんて贅沢なものはないし、布団の予備もないからベットで2人して寝た。 ……ロイさんの腕枕付きだったけど、中に入った途端布団の上からポンポンされて寝かしつけられた。完全にお父さんと娘だった。
「ロイ! そろそろ起きねぇと朝飯食いっぱぐれ……る………」
廊下で誰かが早足で歩いてる音がしたかと思うといきなり扉が開いた。
「……ん~ ルイス、扉はノックしろっていつも言ってるだろ……」
派手に開く扉の音でようやく目を覚ましたロイさんは、体を起こしつつ 返事をしたんだけど、その上半身はなぜか裸だった。
……昨日寝た時服着てたよね?
ルイスと呼ばれたその人は、目を点にして固まったのち、私とロイさんを交互に見るのを3回くらい繰り返し、そして。
「……見ななかったことにするから俺は何も見てない。見てないったら見てないから。 ………悪かったな、邪魔して」
「……は? いや、ちよっと待て ルイ……」
“見ちゃいけないものを見た”って感じでバツが悪そうに部屋から出て行った。
「……なんか、ごめん??」
「……これで謝やれると余計拗れるからやめろ。そして俺も悪かったな。いつも上半身裸で寝てんだよ。夜中無意識に脱いだんだろうな。とりあえず着替えて飯行こう。そこでルイスにも説明するから」
ため息をつきつつ、朝からめんどくさいことになった、とぼやいた。
「うん。 ていうかあの人……ルイスさんって言ったっけ? すごい勘違いしたね……。私とロイさんなんて、どう頑張ってもせいぜい兄妹なのにね(年の差的に)」
まぁ本気にはしてないだろうけどね。……たぶん。
「そうだな。……ってちょっと待てお前!? 意味わかって言ってるのか!?それ!」
急にロイさんが慌てだした。
「? わかってるよ? 内緒で女連れ込んで夜な夜な……。しかも相手はまさかの………… ってことでしょ?ルイスさんがした勘違いって」
「……………まじかよ」
「ん?何か言った?ロイさん」
「いや、なんでもねぇ……とりあえず着替えるからちょっと待ってろ」
「はーい」
そう言って着替えを持って、簡易洗面台(ぽいもの)がある部屋に入っていった。
着替えくらいここですればいいのに。
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