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第18話 逃走
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自分の部屋から出たルナティアはあまりに簡単に部屋を出られた事に内心驚いていた。
(見張りもつけてないの? 一応捕虜なのよね? 私って)
普通、捕虜というものは鍵付きの牢屋に見張り付きで監視されるものだとルナティアは思っていた。
魔王の妃候補扱いという事で牢屋でなく、鍵が付いていない事もまだ理解できるのだが、まったく監視すらつけていないのは流石に少し不気味に思えた。
「でもチャンスよね……」
ルナティアは魔人達が寝静まった魔王城の廊下をできる限り音をたてないようにして魔王城の外を目指す。
ルートは今日の昼間に魔王と花畑に行く時に使ったルートを使う。
下手に見つからないように知らない道を使うよりその方が確実だからだ。
怪我の調子も今はそこまで悪くない。
強い魔獣に遭遇しなければ大丈夫。——そう信じてルナティアは突き進んでいく。
幸い、夜中という事もあってか魔人に遭遇することなくルナティアは魔王城を出る事に成功した。
魔王城を背にしてルナティアは思う。
(ミーニャ、ごめん。あれだけ世話になったのに、挨拶もできなくて)
だが、ルナティアに迷いはない。
今、魔王城を出ないと、後戻りできなくなる気がしたから。
「さよなら、魔王。次に会う時は……」
敵よ——と言いかけてルナティアは言うのをやめた。
(できることなら人間と魔人が戦う事のない未来をあなたが作って)
そんな幻想を抱きつつ、ルナティアは闇の中に消えていったのだった。
——次の朝。
魔王は目を覚ますが、気分が優れなかった。
(ルナティア、なぜ分かってくれない? 俺は貴方を……)
目が覚めてからも寝る前と同じことをずっと考えていた。
何を間違えてしまったのか?
話の順序?
そもそも母親が人間であった事を話してしまったことが悪かったのか?
だが、魔王はルナティアだけには嘘を吐きたくはなかった。
人間界侵攻作戦をやめさせたかったのは確かに最初は母の故郷を自分たちの手で破壊したくなかったからだ。
配下の魔人達が人間を恨む理由は分かる。
それだけの事を人間達は魔人達に行ってきたのだ。
魔王自身、母親の事がなければもっと人間を恨んでいたかもしれない。
「クソ、俺はどうすればいいのだ」
魔王の目的は当初から変わっていない。
だが、今は母親の為だけではなく、ルナティアとの未来を作るために魔王は人間界侵攻の阻止に邁進しているのだ。
その為にも人間であるルナティアの結婚は理に適っているのだ。
それは絶対に間違いのない事実である。
だが、ルナティアに対してそれを証明する手段がない。
ルナティアはただ魔王が母親の故郷である人間界を守るためにルナティアを利用していると勘違いしている。
だが、真実は魔王の心の中にしかないので証明のしようがないのだ。
「ゆっくりとやっていくしかないのだな、結局の所」
寝る前に何度も達した結論にやはり達した魔王の耳にドタドタと迫ってくる足音が聞こえてきた。
部屋の外からだ。
そして、その足音は魔王の部屋の前で止まる。
「ま、魔王様、緊急事態です! 入りますよ!」
そう言って、魔王の返答を待つことなく入ってきたのは、珍しく息を切らしたミーニャだった。
「どうした? 騒がしいな」
わざわざ魔王に緊急事態と報告するとは余程の事態である。
人間が魔界に侵攻してきたかもしくは——。
「内乱か?」
魔王はかなりの自信を持ってミーニャに尋ねた。
今、起きうる緊急事態の中で一番可能性が高いのはそれだ。
出来る限り、そんな事態が起きないように行動してきたつもりだったが、起きてしまったものはもうどうしようもない。
魔王が出来る事は粛々と対処することのみだ。
だが、どうもミーニャの様子がおかしかった。
すぐに肯定が返ってこなかったのだ。
内乱であればすぐにそうだと答えが返ってくるはずである。
不思議に思っていた魔王にミーニャが放った言葉は魔王の予想を裏切るものだった。
「ル、ルナティア様が魔王城からいなくなりました!」
「……なんだと?」
(見張りもつけてないの? 一応捕虜なのよね? 私って)
普通、捕虜というものは鍵付きの牢屋に見張り付きで監視されるものだとルナティアは思っていた。
魔王の妃候補扱いという事で牢屋でなく、鍵が付いていない事もまだ理解できるのだが、まったく監視すらつけていないのは流石に少し不気味に思えた。
「でもチャンスよね……」
ルナティアは魔人達が寝静まった魔王城の廊下をできる限り音をたてないようにして魔王城の外を目指す。
ルートは今日の昼間に魔王と花畑に行く時に使ったルートを使う。
下手に見つからないように知らない道を使うよりその方が確実だからだ。
怪我の調子も今はそこまで悪くない。
強い魔獣に遭遇しなければ大丈夫。——そう信じてルナティアは突き進んでいく。
幸い、夜中という事もあってか魔人に遭遇することなくルナティアは魔王城を出る事に成功した。
魔王城を背にしてルナティアは思う。
(ミーニャ、ごめん。あれだけ世話になったのに、挨拶もできなくて)
だが、ルナティアに迷いはない。
今、魔王城を出ないと、後戻りできなくなる気がしたから。
「さよなら、魔王。次に会う時は……」
敵よ——と言いかけてルナティアは言うのをやめた。
(できることなら人間と魔人が戦う事のない未来をあなたが作って)
そんな幻想を抱きつつ、ルナティアは闇の中に消えていったのだった。
——次の朝。
魔王は目を覚ますが、気分が優れなかった。
(ルナティア、なぜ分かってくれない? 俺は貴方を……)
目が覚めてからも寝る前と同じことをずっと考えていた。
何を間違えてしまったのか?
話の順序?
そもそも母親が人間であった事を話してしまったことが悪かったのか?
だが、魔王はルナティアだけには嘘を吐きたくはなかった。
人間界侵攻作戦をやめさせたかったのは確かに最初は母の故郷を自分たちの手で破壊したくなかったからだ。
配下の魔人達が人間を恨む理由は分かる。
それだけの事を人間達は魔人達に行ってきたのだ。
魔王自身、母親の事がなければもっと人間を恨んでいたかもしれない。
「クソ、俺はどうすればいいのだ」
魔王の目的は当初から変わっていない。
だが、今は母親の為だけではなく、ルナティアとの未来を作るために魔王は人間界侵攻の阻止に邁進しているのだ。
その為にも人間であるルナティアの結婚は理に適っているのだ。
それは絶対に間違いのない事実である。
だが、ルナティアに対してそれを証明する手段がない。
ルナティアはただ魔王が母親の故郷である人間界を守るためにルナティアを利用していると勘違いしている。
だが、真実は魔王の心の中にしかないので証明のしようがないのだ。
「ゆっくりとやっていくしかないのだな、結局の所」
寝る前に何度も達した結論にやはり達した魔王の耳にドタドタと迫ってくる足音が聞こえてきた。
部屋の外からだ。
そして、その足音は魔王の部屋の前で止まる。
「ま、魔王様、緊急事態です! 入りますよ!」
そう言って、魔王の返答を待つことなく入ってきたのは、珍しく息を切らしたミーニャだった。
「どうした? 騒がしいな」
わざわざ魔王に緊急事態と報告するとは余程の事態である。
人間が魔界に侵攻してきたかもしくは——。
「内乱か?」
魔王はかなりの自信を持ってミーニャに尋ねた。
今、起きうる緊急事態の中で一番可能性が高いのはそれだ。
出来る限り、そんな事態が起きないように行動してきたつもりだったが、起きてしまったものはもうどうしようもない。
魔王が出来る事は粛々と対処することのみだ。
だが、どうもミーニャの様子がおかしかった。
すぐに肯定が返ってこなかったのだ。
内乱であればすぐにそうだと答えが返ってくるはずである。
不思議に思っていた魔王にミーニャが放った言葉は魔王の予想を裏切るものだった。
「ル、ルナティア様が魔王城からいなくなりました!」
「……なんだと?」
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