オールスペルキャスター、全属性の魔法を使える男〜異世界転生した俺は、圧倒的な魔法の才能で辺境の貧乏貴族から成り上がる〜

taki210

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第六十九話

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「アリウス様。お届け物です」

「まさか…」

「はい…また、のようですね」

俺が帝都にあるエラトール家第二の屋敷のリビングで寛いでいると、ルーシェが俺の元にたくさんの郵便物を持ってきた。

俺はまたか、と辟易した気持ちで封を切っていく。

「アリウス・エラトール様へ……先日の魔導祭での武勇、拝見させていただきました…またこれか」

「大人気ですね、アリウス様」

毎度同じような手紙の内容に、俺はため息を吐く。
ルーシェはというと、嬉しげというかどこか誇らしげだ。

「アリウス様の魔導祭でのご活躍は帝都の人々が全員目にしましたからね。これだけファンレターが送られてくるのも頷けます」

「フィールドが広いからそこまで目立たないと思っていたんだがな…俺の誤算だった」

そう。

今俺の手元にある手紙は全部、見ず知らずの赤の他人から送られてきたファンレターだった。

魔導祭があったのが今から三日前。

主にシスティの学費を稼ぐために参加した魔導祭で、俺とシスティとヴィクトリアは見事作戦通りにことを進め、優勝することができた。

2位チームと大差で優勝を手にした俺たちには莫大な賞金が送られて、システィの学費の問題もそれで解決した。

ちなみに今日は授業は休み。

数日後には長期休みが控えている。

「全部読んでいてもキリがないな…ルーシェ。どこかに保管しておいてくれ」

「はい。わかりました」

俺は無数にあるファンレターをルーシェに託す。

魔導祭がおわってから毎日のように送られてくる封筒の束。

全部読んでいたらそれだけで日が暮れてしまう。

俺は部屋の隅に積み上がった封筒の束を見て、再度ため息を漏らすのだった。

「それにしても…楽しみですね、アリウス様」

「ん?何が?」

「帰郷ですよ!!長期休み!!もうすぐじゃないですか!!エラトール領に帰れますよ!!」

「ああ、そのことか。それはもちろん、楽しみだよ」

帝都に出てきてから半年近く。

俺は早くもエラトール領の長閑な景色を懐かしむようになっていた。

1日でも早く帰郷して、家族に会いたい。

イリスは元気にしているだろうか。

俺に会えなくて寂しい思いをしていないだろうか。

そういや別れも告げずに出て行ってしまったんだったな。

帰ったらまずそのことを謝らないとな。

俺はそんなふうにエラトール領に思いを馳せる。



その翌日、早馬で俺の元にエラトール家の使いがやってきてとんでもない知らせを持ち込むことになる。



「くくく…エラトール領のカスどもめ…今こそあの時に受けた屈辱の報いを受けさせてやる…」

森を挟んでエラトール領に隣接するカラレス領。

その際端に、五万を超えるカラレス軍が集結していた。

最前列でエラトール領前の森を見据えるのは、領主のガレス・カラレス。

彼はルーシェの件で受けた屈辱を未だ忘れておらず、彼の領土的野心も加わって、今日、エラトール領の占領に乗り出そうとしていた。

「エラトール領を飲み込めばカラレス領は二倍にもなる…ふふふ…そうなれば俺は大領地を収める大貴族…帝国のあらゆる人間が俺に注目し、敬意を払うことになるだろう…!」

すでに勝った気でいるカラレスは、エラトール領を占領した後のことに思いを馳せる。

「まずはあの憎いエラトールの領主をゆっくり痛ぶってやる……そして、あいつの妻を性奴隷にし、2人の目の前で娘を犯してやる…くくく…俺をコケにした罰だ…」

ドス黒い笑みを浮かべるガレス。

そんな彼の元に、軍を率いる隊長が馬で近づいてくる。

「ガレス様。進軍の準備が整いました」

「よし…」

ガレスがニヤリと笑った。

「突撃だ。進軍だ。開戦だ!!エラトール領を蹂躙しろ!!」

「御意!!」

間も無くして、カラレス家の騎士たちによる進軍が始まったのだった。
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