オールスペルキャスター、全属性の魔法を使える男〜異世界転生した俺は、圧倒的な魔法の才能で辺境の貧乏貴族から成り上がる〜

taki210

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第七十話

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「御者…!もっとスピードは出ないのか!?」

「こ、これ以上は無理です…!!お客さん…!!」

「…っ…そんなはずはない…!!もっとスピードが出せるはずだ…!!一刻も早く領地に帰らないと…!!」

「やってますよ…!!これが最大速度です…!!これ以上スピード出すと馬車が持ちません!!」

「…っ」

御者の悲痛な叫びに、俺はぐっと拳を握る。

焦る気持ちを思わず御者にぶつけてしまった。

俺は冷静じゃなかったと座り直して反省する。

「だ、大丈夫ですよ、アリウス様…屋敷にはエレナ様がいます…増強した騎士たちもいますし、旦那様奥様も昔は腕の立つ魔法使いだったと聞きます…そう簡単に領地が攻め滅ぼされるとは思いません…!!」

焦る俺を落ち着けようと、馬車に乗っているルーシェがそんなことを言ってくる。

その言葉によって、俺も幾分か気持ちが落ち着く。

だが、カラレス領とエラトール家の兵力の差を考えるとやはり居ても立っても居られない。

「た、確かにエレナや両親は強いかもしれない……だが、向こうの兵力はこちらの二倍以上だ……数で押されれば領地にも多大な被害が…」

「…っ」

俺がそういうとルーシェが表情を歪める。

カラレス領が出身の彼女も、エラトール領が襲われようとしていることに心を痛めているようだった。

「ほ、本当なのでしょうか…カラレス家が突然エラトール領に武力侵攻を…」

信じたくない。

そんな声のトーンで、ルーシェがそう呟いた。

「嘘であってほしい…だが、家のものがこんな嘘をつくとは思えない…ガレス・カラレスには領土的野心も我が家に対する恨みもある…だから…可能性は十分にある」

「…」

そう言うとルーシェが口を引き結んで俯いた。

俺はことの発端となった半日前のことに思いを馳せる。

『た、大変ですアリウス様…!』

血相を抱えた男が、帝都にある屋敷を訪れた。

男はエラトール家のもので、エラトール領から急いで馬を飛ばしてきたと言った。

『一体どうした?』

尋常じゃない男の雰囲気に俺がわけを尋ねると、男は信じられない事実を口にした。

『カラレス家が…エラトール領に武力侵攻を開始しました…!!』

『なんだと!?』

聞けば、四日前、突如として領内の兵力をかき集めたカラレス領がなんの前触れもなくエラトール領に武力侵攻したらしい。

領主のアイギスは慌てて領地防衛のための騎士たちを集めてこれに応戦。

騎士たちの奮闘のおかげでなんとか食い止められている状態らしい。

『こうしている間にも領地が陥落しようとしています…アリウス様。すぐに帰還を…!』

『もちろんだ…!』

その後俺はすぐに馬車を手配して現在に至る。

カラレス家との戦争。

アイギスはこのことを予期して、兵力を以前の二倍以上に増強していた。

だが、それでもカラレスは領土的野心を捨てずに攻め込んできた。

おそらくいつかはエラトール領を征服しようと計画を練っていたに違いない。

まさか俺がこうして帝都に滞在しているタイミングで侵攻が始まるとは。

「わ、私のせいで…」

「ん?」

みんな、無事出会ってくれ、と。

俺が心の中でそう願っていると、ルーシェが突然震え声で呟いた。

「私のせいで……ガレス様がエラトール家を恨むことになって…みんなが…」

「それは違うぞ、ルーシェ」

俺は首を振った。

「お前のせいじゃない。悪いのはガレス・カラレスだ。あいつには以前から領土拡張の野心があった。
だから、アイギスは領地の兵力を少しずつ増強してきた。お前のせいじゃない。これは遅かれ早かれ起こっていたことだと思うんだ」

「…っ」

ルーシェが唇を噛む。

その目には涙が滲んでいた。

「これは本心だ。この戦争はお前のせいじゃない」

そう言って俺はルーシェを抱きしめる。

「うっ…うぅ…」

ルーシェは啜り泣きを始める。

俺はルーシェを安心させようとその背中をさすった。

そんな時だ。

「お、おおお、お客さん大変ですっ!!!」

「…?」

「ぜ、前方にモンスターが…!!」

御者が悲鳴のような声をあげる。

見れば、前方に二十匹入るかというモンスターの群れが待ち伏せをしていた。

現在馬車は森の中の一本道を走っており、避けることはできない。

「ば、馬車を停めますよ…!?」

「いいや、このままだ…!!」

俺はすぐに御者台に登って御者に馬車を止めることを許さない。

「ででで、でもこのままじゃ!?正面衝突で…」

「邪魔なんだよ!!今はお前に構っている暇はない…!!」

俺は焦りと、それから怒りの感情をぶつけるように前方のモンスターたちに全力の魔法を使う。

ズゥウウウウン!!!

「ひぃいい!?」

爆発音と共にモンスターたちは一瞬で肉片になって散らばった。

御者が悲鳴のような声をあげて手綱を話そうになる。

「おい、このまま進め。モンスターは俺が消す。全速力でで領地まで帰還するんだ…!」

「は、はいぃいいい!!」

御者がガクガクと頷いて手綱を握り直した。

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