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第五話
しおりを挟む「はっはっはっ。ようやくあの邪魔者が消え失せたか」
アルトがギルド『青銅の鎧』を去ったすぐ後。
『青銅の鎧』ナンバー2のガイズは、ギルドホーム内にある自室で高笑いをしていた。
「長年あいつの手柄を改竄して少しずつ評価を落としていった甲斐があった」
アルトが理不尽な理由で追放されたのは、全てガイズによる陰謀だった。
彼はギルドにおいて各メンバーの活躍具合をギルマスに報告する役割を担っているのだが、もう1年以上も前から事実を改竄してギルマスに報告していた。
具体的にはアルトの手柄を自分のものになるように改竄し、記録していたのである。
そうやって密かに自分の評価を上げ、逆にアルトの悪い噂をギルマスに流していた。
そうするうちに、ギルマスの中では、ガイズは有能で、アルトはギルドの足を引っ張る無能であると言う認識が出来上がっていた。
事実はその真逆であることも知らずに。
「メンバーの中で俺以外に次期ギルマスに就任する可能性があるとしたらまずあいつだったからな。これで俺のライバルはいなくなった。このギルドはいずれ俺のものになるだろう」
ガイズが狙うのは『青銅の鎧』のギルマスの座だった。
ギルドにはアルトの他にもう1人、アイリスという優秀な女戦士がいるのだが、アイリスは生粋の戦闘狂で出世などには興味がない。
むしろ排除するよりは、このままギルドに残して貢献してもらったほうが得だとガイズは考えていた。
けれどアルトは違う。
アルトには人並みの出世欲もあるし、現在の給料に不満があるのもわかっていた。
そして憎たらしいことに冒険者としての実力もある。
ガイズにとっては邪魔な存在でしかない。
故に馬鹿なギルマスを利用して、アルトをこのギルドから追放したのだ。
「まさかここまでうまくいくとはな…くはは。これでこのギルドは俺のものよ」
ライバルのアルトを策略によって追放したガイズは1人、自室でくつくつと笑う。
ギルド崩壊の足音がだんだん近づいてきているとも知らずに。
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