20 / 59
第二十話
しおりを挟む「ニーナ。ナイトバトルってなんだ?」
俺はエミリアの発した単語が分からずに、ニーナに尋ねる。
ニーナが渋い表情で答えた。
「な、ナイトバトルは…お付きの騎士同士の一騎打ちで、家の格を争う貴族の伝統的な勝負方法です。互いにの騎士を戦わせて優劣を決め、より優秀な騎士を有している家の方が格が上だと…つまりはそういうことになります」
「へぇ…って、ん?待てよ。ということは…」
軽い気持ちで聞き流していた俺は、重要なことに気づく。
「はい…私とエミリアがナイトバトルを行う場合、アルト様が戦うことになります」
「まじか…」
貴族同士の対決なんてみものだと思っていたら、まさか自分が巻き込まれてしまうとは。
「どうします、アルト様。ここは私が引き下がりましょうか?ナイトバトルは申し込まれた方に拒否権がありますから」
「面倒ごとはかんべんしてもらいたいんだが…しかし、周りはずいぶん盛り上がっているみたいだぞ?この状況で拒否できるのか?」
俺とニーナはぐるりと周囲を見渡す。
「いいぞ、やれ!!」
「アルトリアとイグニスのナイトバトルか!!」
「一体どっちが勝つんだ?」
「まさかこんなものが見られるとは…今日参加してよかった!」
周囲の人々は、ナイトバトルを期待して完全にその気になっていた。
ここで引き下がれば、場が白けることは想像に固くない。
それどころか、アルトリア家の名前に傷がついてしまうのではないだろうか。
「しょ、正直いうと…ここまできたら、私としてはアルト様に戦っていただきたいです…ここで引き下がると、アルトリアの名に傷がついてしまいます。そうなれば、お父様の商売に迷惑がかかることになる…だから、アルト様。お願いです。私のために…アルトリアのために戦ってはくれないでしょうか?」
ニーナが両手を合わせて懇願してくる。
「わかった…もとより俺に拒否権はないしな。あんたは俺の雇い主だろ、ニーナ」
「すみません…恩にきます」
ニーナが申し訳なさそうに頭を下げる。
それからエミリアに向き直って言った。
「いいでしょう、エミリア。ナイトバトルの申し込みを受諾します」
「そう来なくては!!!」
「「「「うおおおおおお!!!!」」」」
ニーナの宣言により、その場が一気に盛り上がった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,750
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる