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第三十九話

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もはや退路の絶たれたガイズは、それから街中にあるギルドを回って、ミノタウロス討伐のためのパーティーメンバーを募った。

しかし、結果は惨敗。

誰1人としてガイズの招集に応じるものはいなかった。

理由は、『青銅の鎧』の悪評がすでに冒険者界隈に広まっていたからである。

『青銅の鎧』がアルトをクビにした。

この噂は、アルトが『青銅の鎧』を去った翌日から瞬く間に冒険者の間で広まり、『青銅の鎧』のブランドを一気に暴落させた。

冒険者たちはアルトがいかに有能で強い男であるかをよく知っており、『青銅の鎧』がアルトに支えられていることも理解していた。

そのことが理解できていないのは、ガイズと愚かなギルマスのみだった。

「青銅の鎧がアルトを解雇したらしいぞ」

「馬鹿かあいつらは?」

「正気か?」

「終わったな、青銅の鎧」

冒険者は口々に、青銅の鎧の終焉を囁き、実際、その後あまり時間のたたないうちにそうなってしまった。

アルトに続いて、アイリスという実力者が脱退。

後を追うように、主力メンバーを含むベテランたちがほとんど青銅の鎧を後にした。

青銅の鎧は今や骨抜き状態。

名前と過去の功績だけが存在している状態である。

そのことを他の冒険者たちはよく理解していたのだった。

「頼む!!一度だけでいいんだ!!青銅の鎧に加入してミノタウロス討伐に参加してくれ!!」

「嫌だね」

「お断りだ」

プライドを捨てて頭を下げるガイズを、冒険者たちは冷たくあしらった。

ガイズはその傲慢な態度から、冒険者の間では嫌われており、誰も窮地に立たされたガイズに手を差し伸べてやろうというものはいなかった。

ガイズはここでも普段の行いの報いを受けることになる。

「くそおおおおお!!なんでだよおおおおおおおおお!!!」

悔しげに叫ぶガイズだが、全ては後の祭り。

全て身からでた錆である。

そうこうしている間にも、期限は刻一刻と迫り、とうとうギルド『青銅の鎧』はミノタウロスに再戦を挑むことなく期日日を迎えてしまう。

「あ…あぁ…」

呆然自失となるガイズ。

「終わった…私のギルマス人生…終わった…」

もはや全てを諦めて悲嘆にくれるギルマス。

そんな2人の元に、アルトリアから使者が派遣されてくることになる。

「ギルド『青銅の鎧』…あなた方には失望しました。今後、一切我がアルトリア家はあなた方とは取引をしません」


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