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祝祭の影
サクラとシュバルツ
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森を渡る風が、さわりと音を立てた。
その中心で、サクラ・アキヅキは立っていた。
白くなった髪が、木漏れ日に揺れる。
腰には刀。抜く気配はない。
対する男――シュバルツ・タイガーベルトは、余裕のある笑みを浮かべていた。
「結局、君は変わらないな。剣を抜かずに相手を拒む癖も」
「……帰りな、シュバルツ」
短い言葉だった。
「それが答えか」
「そうだよ。私はここで暮らしている。それだけだ」
シュバルツは肩をすくめる。
「王国に戻れば、君は再び“剣の頂”に立てる。
私と共に来れば、過去も、未来も――」
「断る」
即答だった。
一瞬、森の空気が張り詰める。
だが、シュバルツは笑みを崩さなかった。
「残念だ。だが……まあいい」
彼は踵を返す。
「今日は挨拶だ。
また来るよ、サクラ」
そう言い残し、シュバルツは森の奥へと消えた。
―――
「――師匠!」
駆け寄ってきたのは、息を切らしたシンだった。
その背後にはサラがいる。
サクラは振り返り、少しだけ目を細める。
「遅いぞ、シン」
「……無事で良かったです。師匠」
「私は大丈夫だよ」
軽く笑って、サクラは言った。
「お前に剣を教えたのは、私だぞ?」
その一言で、シンの胸に張りつめていたものが、少しだけ緩む。
「ところで……」
シンは、森の奥を見やった。
「さっきの男は?」
「さあな」
サクラは肩をすくめる。
「私に惚れてるみたいだし、ナンパでもしに来たのかねえ」
「……」
シンの表情が、露骨に険しくなる。
「……冗談だよ」
サクラは苦笑し、軽くシンの額を小突いた。
「そんな顔するんじゃないよ、シン。しばくよ」
「……やめてください」
横で聞いていたサラが、小さく息を吐く。
「ねえ……ミオとローレンスは、大丈夫かなあ」
その時だった。
「すまん。逃げられたわ」
後ろから声がする。
振り返ると、ミオとローレンスが立っていた。
「追い詰めたんだけどな」
ローレンスは肩をすくめる。
「相手、相当慣れてる」
シンは、拳を握りしめた。
――敵は、確実に動いている。
⸻
その頃。
王都の一角、薄暗い部屋で。
「よくやった。ハミング」
ルドルフ・メッセンジャーは、低く笑った。
リア・トルー・トゥゼンは、黙って立っている。
「……これで、いいんだな」
「もちろんだ」
ルドルフは満足そうに頷く。
「約束は守る。
君の望む未来もな」
リアは目を伏せたまま、答えなかった。
影は、静かに王都を覆い始めていた。
その中心で、サクラ・アキヅキは立っていた。
白くなった髪が、木漏れ日に揺れる。
腰には刀。抜く気配はない。
対する男――シュバルツ・タイガーベルトは、余裕のある笑みを浮かべていた。
「結局、君は変わらないな。剣を抜かずに相手を拒む癖も」
「……帰りな、シュバルツ」
短い言葉だった。
「それが答えか」
「そうだよ。私はここで暮らしている。それだけだ」
シュバルツは肩をすくめる。
「王国に戻れば、君は再び“剣の頂”に立てる。
私と共に来れば、過去も、未来も――」
「断る」
即答だった。
一瞬、森の空気が張り詰める。
だが、シュバルツは笑みを崩さなかった。
「残念だ。だが……まあいい」
彼は踵を返す。
「今日は挨拶だ。
また来るよ、サクラ」
そう言い残し、シュバルツは森の奥へと消えた。
―――
「――師匠!」
駆け寄ってきたのは、息を切らしたシンだった。
その背後にはサラがいる。
サクラは振り返り、少しだけ目を細める。
「遅いぞ、シン」
「……無事で良かったです。師匠」
「私は大丈夫だよ」
軽く笑って、サクラは言った。
「お前に剣を教えたのは、私だぞ?」
その一言で、シンの胸に張りつめていたものが、少しだけ緩む。
「ところで……」
シンは、森の奥を見やった。
「さっきの男は?」
「さあな」
サクラは肩をすくめる。
「私に惚れてるみたいだし、ナンパでもしに来たのかねえ」
「……」
シンの表情が、露骨に険しくなる。
「……冗談だよ」
サクラは苦笑し、軽くシンの額を小突いた。
「そんな顔するんじゃないよ、シン。しばくよ」
「……やめてください」
横で聞いていたサラが、小さく息を吐く。
「ねえ……ミオとローレンスは、大丈夫かなあ」
その時だった。
「すまん。逃げられたわ」
後ろから声がする。
振り返ると、ミオとローレンスが立っていた。
「追い詰めたんだけどな」
ローレンスは肩をすくめる。
「相手、相当慣れてる」
シンは、拳を握りしめた。
――敵は、確実に動いている。
⸻
その頃。
王都の一角、薄暗い部屋で。
「よくやった。ハミング」
ルドルフ・メッセンジャーは、低く笑った。
リア・トルー・トゥゼンは、黙って立っている。
「……これで、いいんだな」
「もちろんだ」
ルドルフは満足そうに頷く。
「約束は守る。
君の望む未来もな」
リアは目を伏せたまま、答えなかった。
影は、静かに王都を覆い始めていた。
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