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終焉
最終話
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そうして迎えた当日
一体どこに行く気なんだろ?
朝早くに家に迎えに来てくれた空を、寝坊したあげく着替えなどで小1時間くらい待たした後、
少しイラッとしてる空のバイクの後ろに乗せられ只今バリバリ走行中。
ギュッと空の背中にしがみつき振り落とされないようがんばった!
バイクの速度と伴って空気が流れる。
顔にあたる風は冷たい
でも、新鮮な空気はキモチ良かった。
20分くらい走ったかな?
バイクのうるさいエンジン音が止まったのは。
「どこ?」
ふっと周りを見渡すと、
そこは見覚えのある場所で。
空が大事にしている場所でもあった。
「ここ・・」
「ああ、」
空はそれだけ言うと、さっさと私をバイクから降ろし強引に手を引っ張り歩き出した。
「えっ、あ・・空」
私の声なんて聞こえてないのか
ズンズンと慣れた足取りでそこへ入っていく。
心臓やぶりの階段をあがり、扉を開けると
「わ。」
そこには相変わらずの大きな太陽。
今まで夕日だけしかみたことなかったけど、
朝日もばっちりナイスビューで拝めれる、その場所。
そうここは、あの【空が飛びたがってた】白い廃墟ビルの屋上。
空はいつもの定位置に座り込むと
「ここに来んのは今日で最後だから。」
と、いきなりそんな事を言い出した。
「?」
「やっと、決着ついた。二度と元カノと会う事はねぇ。」
「!」
「俺にはお前が居る。・・だから、もうここに頼らなくても生きていけれる。」
「っ」
今の言葉で、私は嬉しさと安堵で涙が出そうになった。
「元カノの件は、お前まで出張らせちまって悪かったな。」
「えっ、あっ、」
「カイから聞いた。」
「ぁ。」
「あいつに啖呵きってくれたんだってな。」
「う////それは忘れてください。」
「なんで?」
「は、ずかしいから」
「俺は
めっちゃ、嬉しかったんだけど?」
「っえ//?」
そう言って空は何やらゴソゴソしだした。
なんか忘れモンでもしたのか??
「初めてここにお前を連れてきた時から、思ってた事がある。」
「え??」
「あ、まぁ、・・俺の、願望かもしんねけど。」 ゴソゴソ
「?」
「こいつの側に
一生、居てぇ・・って。」
「っえ???!!」
なっ、なに??なにいきなりそんな事を言いだしたのっ??
「空??あ、頭おかしくなった?」
「ああ??」
「はう!!いえっ!その、どっかで頭打った???」
「てめ」
「ええ??だってだって!!なに??なんの話してるの??」
「だ~か~ら~(怒)
グイッ!!
「うあ!」 思いっきり捕まれていた腕を引っ張られた!
「手ぇ、グーにすんな、広げろ!」
「へっ??」 またなんかおかしい事をぉっ!!
それでもあの鬼の瞳に睨まれ、やむなく・・怖くて握ってた手を開いた。
ううう・・こえ~~~よぉ
スッ・・
「え?」
なんか一本の指に違和感が・・
恐る恐るその手元を見てみると
「ぇ・・」
左手の薬指に銀色に輝くものが・・
「ぁ・・れ?」
それは、シンプルで華奢なデザインのリングだった。
え・・?でも、この指にはめるリングって
「俺のもはめてくれ。」
「え?」
見ると、空の手にもう一つリングが。
私のよりも少し厚みもサイズも大きいが、全く同じデザインのもの。
それを私の手のひらに乗せた。
そして左手を差し出してくる空。
「・・・・」
っと・・
「これって・・」
「・・・・」
「その・・アレみたいなんだけど?」
「『みたい』じゃなく、アレだよ。」
「え??マジで??あ、アレなの??」
「ああ、間違いなくアレだ」
「ひゃ~~~~~~~ウソッ??」
「ウソじゃねぇ!それともイヤなんか?!」
「!」
それでもなかなかリングを指にはめようとしない私に、
「いますぐじゃなきゃダメだっつったろが、」
「!」 っえっ?
「じゃなきゃ、結婚しねんたろ?!」
「!!!」
あ、あの時、言った私の言葉を・・
「・・――― う、うん!」
空っ、
あんな言葉さえ・・ちゃんと真剣に考えてくれてたんだ・・っ
「うん、うんっ!!」
やっぱり
――― やっぱり大好きだよっ!!(><)うえぇ~~~~ん
ググッ。
その言葉と同時に空の薬指にリングをはめた。
「・・・・」
―・・んん??指輪ちゃんと指にはまったよ?
「・・・・」
ん―?なんでなんも言わないのだ?
「・・・・」
「ね、ねぇ。」
「あ?」
「こーゆう時ってさ」
「んだよ」
「なにかロマンチックな言葉の一つも言ってくれるもんじゃないの?」
「あ?この前言っただろが?」
「え~~~~?」
「あれじゃ不服かよ?」
「そうじゃないケドさ!でもさ!せっかく今、指輪交換したのにさ!そのさ!」ぶつぶつ
「ウザ」
「ケチ」
「ああん??」
「執喫に居ながら鈍感なヤツめ」
「おい」
「は?なんですかぁ?? ――っっとっ!!!?」
ギュっといきなり抱きしめられた。
「えっ、っ///」
「もう言わねーから、よく聞けよ。」
「?!」
「ぜってぇ。幸せにしてやっから、俺と
結婚してくれ。」
「―――/////!!」
い・・っ
いや、言って欲しいとは言ったけどっ、
そ、その、実際に言われると・・っ/////
う、わぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ///////
こ、こーゆうの魔法がかかったみたいって言うのかな・・
たったあの何文字かの言葉が、今まさに!胸の奥深く刻印されていくカンジ。
重くて
ゆるぎなく深い
う・・まっ、って、声がすぐに出ない・・っ
「・・っく・・・」
そして
増え続ける・・・
愛情。
「・・う・・れしい・・ひっく」
「・・俺も。」
薬指のリングが少しズレた。
「これ・・サイズ大きい」
「あ?なに?」
「指から外れそう」
「手ぇ、握ってろ。リング外れねぇーから」
「えっ、あ、う、うん」 ギュ。
「いいか?そのリング落としたら殺すぞ。」
「ひっ!!」
「卒業したら一緒に暮らそうな。」 ニッ♪
~~~~~~~~~って!!!
ず、ずるいだろ~~~~~~~~~~~~っ!!!////
決めゼリフ使うなんてさぁ~~~~~~~~~~/////
ん?ちょっと待て??
その・・一体
「どこに住むのだ?」
いきなり現実的なことを聞いてみた。だって、住むトコなんて想像つかないし・・
親んとこなんて空がまず無理でしょ?
まさかあの麗騎士の部屋??
いやいや、あそこは辞めるんだもんね。
じゃ、どこ?
「もう部屋借りる段取りしてるから、大丈夫だ。」
「え??」
「どっちみち麗騎士を辞める時点で住むトコ探さなきゃいけねぇだろ。」
「あ・・ん・・でも、お金・・は」
「それは・・心配すんな。」
「え?し、心配するよ!今まで働いたお金は・・その、あの人にあげちゃったし
麗騎士ではもう働かないんでしょ?だったらお金なんて無いじゃん」
「あー、あの金は、そのうち戻ってくんだろ。」
「へ?戻って?」
「あいつに彼氏居るって前言ったろ?絵里・・あいつはその彼氏に貢いでたんだと。
俺が持っていく金、全て彼氏に渡してたらしい。」
「っえ?なにそれ」
「その彼氏っつーのが薬とかに手ぇ出してた相当あぶねぇヤローだったみたいで、カイは前からマークしてたらしい。だから、あの騒動のついでに?ちょっと色々と手ぇまわして・・だな。」
「え・・」 なんなのだ?その色々っつーのは??口には出せないイロイロなのか??
「あー・・好きに想像してくれてかまわねぇけど。結論からすっとそいつは俺に金返すらしいわ。ま、別にそんな金なんて無くても、俺は他にちゃんと金残してあっから♪」
「えっ?」
「ふ。だから安心しとけ。」
「な//」
う、うかつだった・・っ!
空がそんなにちゃっかり屋さんだとは思わなかったっ
お小遣い全て使っちゃう私よりしっかりしてるんじゃない??
「ん~~」
「?んだよ?まだなんか心配なんか?」
「違う!くやしい!」
「は?」
「私より、しっかり者のキサマが憎い」
「ああ?」
「キサマと暮らす自信がない!」
「んだと?!」
「空だけでもじゅーぶん生きてけるじゃん!私、お荷物じゃん!」
「大丈夫だ、お前の体だけあればいい。」
「は?///なに?そのエロ発言!!」
「まぁ、なにも考えるな。ややこしくなる」
「なんだと?!」
沸々している私に構うことなく空は
「行くぞ」と言って階段の方へ歩き出している。
バイクの前まで到着した所で
「指輪は?」
「あ、ああ、うん。ばっちり!」キランとリングの付いた薬指をクルッと見せる。
「よし、これからソレのサイズ直しに行くぞ。」
「え?」
「無くされちゃ困る。」
そう言い、バイクを走らせた。
空の腰にギュっと腕を回し、横向きで流れる景色を見ながら
さっきの会話を思い出す。
あまりにも未来設計をちゃんと持ってる空に正直驚いた。
私が、言った一言を、そんなに先まで考えて、
行動してくれてる。
それに比べ・・
私は、何も考えてない。
そんなんでいいんだろうか・・
これから空と生きていく覚悟はホントにあるんだろうか。
自信がない
・・な。
バイクの速度で浮き上がる指輪が
まるで私の心の中を表しているようにユラユラと揺れた。
そんな思いのまま、繁華街に着き道路脇へバイクを停めると、
空は私をバイクから降ろして目の前の黒いオシャレな店舗の中へと腕を引っ張っていった。
シックな外装とは打って変わりお店の中はキラキラゴージャスな光に包まれてる。
キレー・・
キョロキョロと辺りを見渡してると、
「指輪貸せ。」と空は私の手から指輪を引っこ抜きお店の綺麗なお姉さんにソレを渡す。
変わりにいっぱいリングがついたものが手渡され、1個1個、はめさせられた。
「?」
「これですね」
お店のお姉ぇさんは今はめたばかりの1つのリングを指ごと持ち上げそう言う・・
のだが?
「え?」 なに??この可愛くもなんともないリングに替えるってーの??
「ああ、そうだな。」
横から空が答える。 ええっ!さっきの指輪がいいよっ!
「では、」
ニッコリと涼しい顔をしたまま、指にはまってるリングをグィッと抜きさるお姉さん
「え?ちょ、ちょっと・・その指輪はヤダ!」
思わず叫んた。
キョトンとするお姉えさんに、空が「いいから気にするな」とお姉さんに苦笑いと同時に手をヒラヒラさせ、私の方を向き直す。
そして軽くため息をついてから「指のサイズを計っただけだ。」 と、言った。
「へ?
サイズ??あの指輪に変わるんじゃなくて?
ホントに?」
「ああ、少し黙ってろ。」
「う“?!!」 空の手によって頭を押さえつけられた私は、少し後ろに追いやられた。
「今、直るか?」
「はい。店内でお直しもしておりますので大丈夫です。ただ1時間ほどお時間いただきたいのですが?」
「ああ、構わね、少し出てくるから、その間に頼む。」
「承知いたしました。」
そんな会話をし終わると、空は後ろに居る私の腕をグッとまた引っ張り、今度はお店の外へと連れていく。
なんだい??私は、一体なんなんだい?あっちへ引っ張られ、こっちに引っ張られ~
空の操り人形じゃねぇっつーの!!
大体!こんなトコ来たコトないからわけわかんないし!
「私、来るイミないじゃん」 ぶつぶつ
「お前来なけりゃ、指輪外せないだろが」
「指輪だけ持っていけばいいじゃん」
「んだぁ?」
「めんどい。」
「なんだ?お前おかしくね?」
「は?別におかしくないし!」
「なに拗ねてんだ?って聞いてんだ。」
「だから!拗ねてなんかないってば!」
「はぁ・・・っ」
私が返した言葉に空はため息をついた。
「お前が来ないと、サイズわかんねーし
サイズ直って来た時も確認できないだろが。」
あ、もっともだ!てコトを言われ、何も言い返せずにいる。
「飯、食いにいこうぜ。」
空は黙り込んでいる私の腕をまた引っ張り歩き出す。
やっぱり、操り人形みたい・・私。
それから食事をしてても
出来上がった指輪をはめてピッタリ指に合っても
私の頭ん中はモヤモヤしていた。
いつまでもスッキリしない
ご飯美味しかったのに・・
指輪もやっとユラユラしなくて安心して付けてられるのに
心のユラユラはまだ止まっていなかった。
そのせいで私のイライラが続いてく
そんなキモチは空に感づかれること無く、無事に家に着くと、
「じゃあ、明日迎えにくっから、起きてろよ。」
の言葉を残し、空は帰っていった。
姿が見えなくなると同時に
「はぁ・・」
途端、ため息を吐く。
一体・・どうしたんだろ・・私。
今まで、こんなモヤッとした気持ちになる事なんてなかったのに。
それに・・
空と居ても
全然・・嬉しくなかった・・。
え?なに言ってんの??
ヤバイ!マジでどうかなっちゃった??
こんなコト思うなんてどうかしてるよ!!
空の事、嫌いになったわけ??
う、ううん、嫌いじゃない・・
うん、キライじゃない。
あ・・れ?
なんかおかしいぞ?
なんで
スキって言葉が出ないの?
空の事・・スキ・・だよね?
当たり前じゃん
スキ・・だよ
たぶん・・?
ブンブンブン!!
思いっきり頭を振る
なんなんだ?今のあいまいな言葉は?!
ダメダメ
わけわかんない!
やっとなんだよ?
これからなんだよ
元カノとのコトも、終わって
麗騎士も辞めるって決まって
そんでもって
結婚の約束までして
将来、
一緒に暮らす部屋まで・・探してて
まぁ、↑の部屋自体は空にはすぐに必要なんだけどね。
でも、それだって
私と出会わなかったら、
麗騎士の部屋でずっと暮らせてたんだし・・。
その・・
そんなんまでして
私でいいのかな。
今更ながら不安になってくる。
なんか・・
重い・・?
うっ、あああああ~~~~~~~っ!!ヤバイヤバイ(><)
考えないようにしてもついつい考えちゃうよ~~~~~~~
寝よ!
起きてるから悪いんだ!
だからこんなヘンなコトばっか考えちゃうんだっ!
寝よ寝よ!!
すやすやすや・・す・・「・・・」
寝れねぇぇぇぇ~~~~~~~~~っ!!!
う~~~~~~~~
ハッ!そうだ!
りかちゃんに電話してみよ!
そうそう1人で居るからダメなんだよ!
チャッ!
すぐさま、スマホを開いてりかちゃんに電話した。
「もし~♪」
「りかちゃん~~~っっ!」
「ど、どうしたの?」 いきなり電話越しに泣き付く私に驚いたみたい。
「あのね、聞いて欲しいコトが山程ある!」
「その話、今から何時間かかる?」
「3日間くらい?」
「切っていいかな?」
「ダメだよ~~冗談だよ~~」
「いや、冗談じゃなかったよね、マジでそんくらいかかる話をしようとしてたよね。」
「ギクッ!」
さすがだ!りか譲!私をよくわかってらっしゃるぜ!グッ☆
「はぁ・・
3日間は無理だけど、朝までなら付き合うよ?」
「うっ//あ、
ありがと~~~~~~~~~~~~」
もう~~~ホント感謝な親友がいて良かった!
りかちゃん大好きっ!!
「あのねっ、実はねっ・・」
すぐに私は
空とのコト、今の自分の心境を話した。
それを
「うんうん。」と優しく聞いてくれるりかちゃん
それだけで、なんかすごく気持ちが楽になる。
解決するワケじゃなかったけど、ぎゅうぎゅうになってた心が緩んできた。
それで安心したのか、いつの間にか電話しながら寝てしまって
気付いたときには、朝を迎えてた。
たぶん、私が寝てしまったことがわかって、りかちゃん電話切ったんだろう
耳元からはずれ携帯からは、プープーという音しか聞こえてこない。
7時過ぎには空が迎えにくる。
時計を見ると、6時10分だった
めずらしく怒られずに学校に行く準備できるぞ♪
りかちゃんと散々話したせいか、今朝にはだいぶ気持ちが楽になってた。
りかちゃん、ほんと感謝だよ。
学校の準備をほとんど終え
仕上げのブローしていると、
「今日は嵐か?」
と、とっても失礼な言葉で部屋へ入ってきたのは目下悩みの元凶の主。
「つーん」 そんなん無視無視~
で、続けて髪をブラッシング~。
「なんで泣いた?」
「?!」
もっていたブラシの動きが止まる。
「なんで・・
そんな事聞くの?」 正直焦った。
「目、見りゃわかんだろ。」
「え?」
鏡越しに私を見ている空の顔に気付く。
「なんかあったか?」
「え・・っと、別に。」
「言ってみろ。」
「・・・・」
「なにがあった。」
「だから、別になにもないし。」
「じゃ、なんで泣いたんだ!」
「怒鳴らないでよ!すぐ怒るんだから!」
バッとドレッサーから立ち上がると、カバンを持って部屋から出ようとした。
「待て。」
ガッ
その腕は簡単に捕まれ、踏み出した足も止められた。
「・・」
一瞬の沈黙。
「・・美未香、昨日からなんかヘンじゃね?」
「・・・」
空は気付いてた。
昨日からの私の変化を。
「俺がイヤか?」
「っ!
い、イヤなわけじゃない!」
「じゃ、なんだ?」
「ぅ」
「俺ら、一緒になるんじゃねぇの?」
「・・・」
「あ?」
「・・・」
「なんでなんも言わねぇ」
「・・・」
「美未香、」
「・・・」
「っ、マジかよ。」
「・・」
パッ
「っぇ?」
いきなり掴んでた腕を放し、空は自分のカバンだけ持ってさっさと部屋から出て行ってしまう。
「そ、空っ、」
私の小さな呼びかけにも振り向きもしない。
そのまま玄関を出て
私を置いて
・・行ってしまった。
1人にさせられて寂しいという気持ちと
ホッとしている自分がいる。
ホントに私はどうしちゃったんだろう・・
「マタニティブルーだ」
バコッ!☆ 「ちがう!ソレ言うなら、マリッジブルーでしょ!」
北川くんの発言に間髪入れずにりかちゃんがそう突っ込んだ。
「・・??」
「ヒロのだと、美未香妊娠中になってるじゃん!」
「え?違うのか?」
「違う!!よね?」
「あ、うん。してません」 でもそっか・・こーゆうのがマリッジブルーていうのかぁ・・。
「なんだ、良かったぜ~」
「じゃ、ないわよ!根本的にあんた間違ってるから!」
金曜日の保健室乱闘事件から明けて月曜の今日、私が少し遅れて学校に着いた時には既に北川くんがりかちゃんの側に居て、
なんでも先に空んトコに行ったらめっちゃ機嫌悪かったから、こっちに逃げてきたとの事。
しっかし?どうして空に殴られた北川くんがそんな行動をしたんだろうと思って
「もしや相馬くんに仕返ししに行ったとか??」
そう聞いたのだが、
「んな命知らずなコトすっかよ!知らなかったとはいえ、あの鬼士の相馬くんだぜ?」
すまん!私にはよくその価値観がわからないのだが?
「それに結局あの後、相馬くんの指示だってんで何もされずに開放されたし。
おっかねぇーケド、そういうとこかっけ~よね♪相馬くん♪鈴木ん時より惚れちゃいそうだぜ♪くぅ~~♪」
あんたは男、女関係なく欲情すんのかっ
「つか、私、まだ北川君に惚れられてんの?」
「あー、ダメダメ!今は俺、相馬くんひと筋だから!悪ィ、あきらめて!」
「なんで私の方が惚れてる設定なんだい?」
ま、ともかく
小一時間ほどしかたってないのに、私のお悩み相談までしてる始末なので
さすが北川くんなのである。
やれやれといった顔をしてるりかちゃんと目を合わせてると
いきなり北川くんがバッと掛けてた椅子から立ち上がり
「じゃ、俺、行ってくる!」
と?
「あの~どこへ?」
「は?決まってるじゃん!相馬くんの機嫌が悪いのがなんとなく解った気がするからさっ!」
「へ?」
思わず言葉を失う私を無視し北川君はその場を立ち去り
「相馬く~~~~~~~ん、聞け聞け!」
なぬ??!!
バッと振り向くと後ろに座る空の席まで猛ダッシュしている。
うお?!北川!まさか??そっちはぁ~~~~~~~~っっ!!!
そんな期待を裏切らず、北川くんは空のまん前まで来ると、
「実は鈴木、マタニティブルーなんだってさ!」
「は??」
ち、
違~~~~~うぅぅ!!!!
そんな北川くんのおちゃめなボケのおかげで、
空のちょ~不機嫌モードは解除された。
結果オーライ?
「そうならそうと言えや。」
「だって・・自分でもわかんなかったんだもん」
「まだまだだな。」
「え?」
「お前に不安と思わせちまってる俺の力が足りねぇんだ。」
「え!ち、違うよ空は全然悪くない!私があんま、なにも出来ないから自信なくしちゃったんだよ。だって・・
料理もお掃除もなんにもできないんだもん、こんなんで結婚なんてしていいのかなって。」
「そんなこと。」
「大事なコトだよ、こんなんじゃ恥ずかしくて奥さんになんてなれないよ」
うえっ・・と少し涙が目に溜まった。
言ってて自分がホント情けない
「はぁ・・あのな、結婚は卒業してからだぞ?」
「うぇ・・う、うん」
「今から、どれくらいある?」
「っん、と、あと
んと、2年。」
「だろ?2年もあんだ、その間にゆっくり美未香のペースで覚えていけばいい。」
「ぅ///そ、それで大丈夫かな・・っ?」
「何でも1人でやろうとすんな、俺も居るんだから。
お前が出来ないコトは俺がやればいいだろ。な?」
「う・・っ、うん」
空は
空はやっぱ優しい。
ムカツくけど、目つき悪いけど、口も悪いけど、態度もデカいけど、
ついでに怒りんぼで単細胞だけど。
「おい。」
「ぅえ?」
「今の声に出てたぞ、てめ」
「はひ??」
「どうやら、調教から始めないとダメみてぇだな。」
「ひぃぃぃっっ?!!!!」
このあと、色々ありましたがなんとか?
と~~~っても幸せな未来が続きました。
(ホントかっっ??!!)
一体どこに行く気なんだろ?
朝早くに家に迎えに来てくれた空を、寝坊したあげく着替えなどで小1時間くらい待たした後、
少しイラッとしてる空のバイクの後ろに乗せられ只今バリバリ走行中。
ギュッと空の背中にしがみつき振り落とされないようがんばった!
バイクの速度と伴って空気が流れる。
顔にあたる風は冷たい
でも、新鮮な空気はキモチ良かった。
20分くらい走ったかな?
バイクのうるさいエンジン音が止まったのは。
「どこ?」
ふっと周りを見渡すと、
そこは見覚えのある場所で。
空が大事にしている場所でもあった。
「ここ・・」
「ああ、」
空はそれだけ言うと、さっさと私をバイクから降ろし強引に手を引っ張り歩き出した。
「えっ、あ・・空」
私の声なんて聞こえてないのか
ズンズンと慣れた足取りでそこへ入っていく。
心臓やぶりの階段をあがり、扉を開けると
「わ。」
そこには相変わらずの大きな太陽。
今まで夕日だけしかみたことなかったけど、
朝日もばっちりナイスビューで拝めれる、その場所。
そうここは、あの【空が飛びたがってた】白い廃墟ビルの屋上。
空はいつもの定位置に座り込むと
「ここに来んのは今日で最後だから。」
と、いきなりそんな事を言い出した。
「?」
「やっと、決着ついた。二度と元カノと会う事はねぇ。」
「!」
「俺にはお前が居る。・・だから、もうここに頼らなくても生きていけれる。」
「っ」
今の言葉で、私は嬉しさと安堵で涙が出そうになった。
「元カノの件は、お前まで出張らせちまって悪かったな。」
「えっ、あっ、」
「カイから聞いた。」
「ぁ。」
「あいつに啖呵きってくれたんだってな。」
「う////それは忘れてください。」
「なんで?」
「は、ずかしいから」
「俺は
めっちゃ、嬉しかったんだけど?」
「っえ//?」
そう言って空は何やらゴソゴソしだした。
なんか忘れモンでもしたのか??
「初めてここにお前を連れてきた時から、思ってた事がある。」
「え??」
「あ、まぁ、・・俺の、願望かもしんねけど。」 ゴソゴソ
「?」
「こいつの側に
一生、居てぇ・・って。」
「っえ???!!」
なっ、なに??なにいきなりそんな事を言いだしたのっ??
「空??あ、頭おかしくなった?」
「ああ??」
「はう!!いえっ!その、どっかで頭打った???」
「てめ」
「ええ??だってだって!!なに??なんの話してるの??」
「だ~か~ら~(怒)
グイッ!!
「うあ!」 思いっきり捕まれていた腕を引っ張られた!
「手ぇ、グーにすんな、広げろ!」
「へっ??」 またなんかおかしい事をぉっ!!
それでもあの鬼の瞳に睨まれ、やむなく・・怖くて握ってた手を開いた。
ううう・・こえ~~~よぉ
スッ・・
「え?」
なんか一本の指に違和感が・・
恐る恐るその手元を見てみると
「ぇ・・」
左手の薬指に銀色に輝くものが・・
「ぁ・・れ?」
それは、シンプルで華奢なデザインのリングだった。
え・・?でも、この指にはめるリングって
「俺のもはめてくれ。」
「え?」
見ると、空の手にもう一つリングが。
私のよりも少し厚みもサイズも大きいが、全く同じデザインのもの。
それを私の手のひらに乗せた。
そして左手を差し出してくる空。
「・・・・」
っと・・
「これって・・」
「・・・・」
「その・・アレみたいなんだけど?」
「『みたい』じゃなく、アレだよ。」
「え??マジで??あ、アレなの??」
「ああ、間違いなくアレだ」
「ひゃ~~~~~~~ウソッ??」
「ウソじゃねぇ!それともイヤなんか?!」
「!」
それでもなかなかリングを指にはめようとしない私に、
「いますぐじゃなきゃダメだっつったろが、」
「!」 っえっ?
「じゃなきゃ、結婚しねんたろ?!」
「!!!」
あ、あの時、言った私の言葉を・・
「・・――― う、うん!」
空っ、
あんな言葉さえ・・ちゃんと真剣に考えてくれてたんだ・・っ
「うん、うんっ!!」
やっぱり
――― やっぱり大好きだよっ!!(><)うえぇ~~~~ん
ググッ。
その言葉と同時に空の薬指にリングをはめた。
「・・・・」
―・・んん??指輪ちゃんと指にはまったよ?
「・・・・」
ん―?なんでなんも言わないのだ?
「・・・・」
「ね、ねぇ。」
「あ?」
「こーゆう時ってさ」
「んだよ」
「なにかロマンチックな言葉の一つも言ってくれるもんじゃないの?」
「あ?この前言っただろが?」
「え~~~~?」
「あれじゃ不服かよ?」
「そうじゃないケドさ!でもさ!せっかく今、指輪交換したのにさ!そのさ!」ぶつぶつ
「ウザ」
「ケチ」
「ああん??」
「執喫に居ながら鈍感なヤツめ」
「おい」
「は?なんですかぁ?? ――っっとっ!!!?」
ギュっといきなり抱きしめられた。
「えっ、っ///」
「もう言わねーから、よく聞けよ。」
「?!」
「ぜってぇ。幸せにしてやっから、俺と
結婚してくれ。」
「―――/////!!」
い・・っ
いや、言って欲しいとは言ったけどっ、
そ、その、実際に言われると・・っ/////
う、わぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ///////
こ、こーゆうの魔法がかかったみたいって言うのかな・・
たったあの何文字かの言葉が、今まさに!胸の奥深く刻印されていくカンジ。
重くて
ゆるぎなく深い
う・・まっ、って、声がすぐに出ない・・っ
「・・っく・・・」
そして
増え続ける・・・
愛情。
「・・う・・れしい・・ひっく」
「・・俺も。」
薬指のリングが少しズレた。
「これ・・サイズ大きい」
「あ?なに?」
「指から外れそう」
「手ぇ、握ってろ。リング外れねぇーから」
「えっ、あ、う、うん」 ギュ。
「いいか?そのリング落としたら殺すぞ。」
「ひっ!!」
「卒業したら一緒に暮らそうな。」 ニッ♪
~~~~~~~~~って!!!
ず、ずるいだろ~~~~~~~~~~~~っ!!!////
決めゼリフ使うなんてさぁ~~~~~~~~~~/////
ん?ちょっと待て??
その・・一体
「どこに住むのだ?」
いきなり現実的なことを聞いてみた。だって、住むトコなんて想像つかないし・・
親んとこなんて空がまず無理でしょ?
まさかあの麗騎士の部屋??
いやいや、あそこは辞めるんだもんね。
じゃ、どこ?
「もう部屋借りる段取りしてるから、大丈夫だ。」
「え??」
「どっちみち麗騎士を辞める時点で住むトコ探さなきゃいけねぇだろ。」
「あ・・ん・・でも、お金・・は」
「それは・・心配すんな。」
「え?し、心配するよ!今まで働いたお金は・・その、あの人にあげちゃったし
麗騎士ではもう働かないんでしょ?だったらお金なんて無いじゃん」
「あー、あの金は、そのうち戻ってくんだろ。」
「へ?戻って?」
「あいつに彼氏居るって前言ったろ?絵里・・あいつはその彼氏に貢いでたんだと。
俺が持っていく金、全て彼氏に渡してたらしい。」
「っえ?なにそれ」
「その彼氏っつーのが薬とかに手ぇ出してた相当あぶねぇヤローだったみたいで、カイは前からマークしてたらしい。だから、あの騒動のついでに?ちょっと色々と手ぇまわして・・だな。」
「え・・」 なんなのだ?その色々っつーのは??口には出せないイロイロなのか??
「あー・・好きに想像してくれてかまわねぇけど。結論からすっとそいつは俺に金返すらしいわ。ま、別にそんな金なんて無くても、俺は他にちゃんと金残してあっから♪」
「えっ?」
「ふ。だから安心しとけ。」
「な//」
う、うかつだった・・っ!
空がそんなにちゃっかり屋さんだとは思わなかったっ
お小遣い全て使っちゃう私よりしっかりしてるんじゃない??
「ん~~」
「?んだよ?まだなんか心配なんか?」
「違う!くやしい!」
「は?」
「私より、しっかり者のキサマが憎い」
「ああ?」
「キサマと暮らす自信がない!」
「んだと?!」
「空だけでもじゅーぶん生きてけるじゃん!私、お荷物じゃん!」
「大丈夫だ、お前の体だけあればいい。」
「は?///なに?そのエロ発言!!」
「まぁ、なにも考えるな。ややこしくなる」
「なんだと?!」
沸々している私に構うことなく空は
「行くぞ」と言って階段の方へ歩き出している。
バイクの前まで到着した所で
「指輪は?」
「あ、ああ、うん。ばっちり!」キランとリングの付いた薬指をクルッと見せる。
「よし、これからソレのサイズ直しに行くぞ。」
「え?」
「無くされちゃ困る。」
そう言い、バイクを走らせた。
空の腰にギュっと腕を回し、横向きで流れる景色を見ながら
さっきの会話を思い出す。
あまりにも未来設計をちゃんと持ってる空に正直驚いた。
私が、言った一言を、そんなに先まで考えて、
行動してくれてる。
それに比べ・・
私は、何も考えてない。
そんなんでいいんだろうか・・
これから空と生きていく覚悟はホントにあるんだろうか。
自信がない
・・な。
バイクの速度で浮き上がる指輪が
まるで私の心の中を表しているようにユラユラと揺れた。
そんな思いのまま、繁華街に着き道路脇へバイクを停めると、
空は私をバイクから降ろして目の前の黒いオシャレな店舗の中へと腕を引っ張っていった。
シックな外装とは打って変わりお店の中はキラキラゴージャスな光に包まれてる。
キレー・・
キョロキョロと辺りを見渡してると、
「指輪貸せ。」と空は私の手から指輪を引っこ抜きお店の綺麗なお姉さんにソレを渡す。
変わりにいっぱいリングがついたものが手渡され、1個1個、はめさせられた。
「?」
「これですね」
お店のお姉ぇさんは今はめたばかりの1つのリングを指ごと持ち上げそう言う・・
のだが?
「え?」 なに??この可愛くもなんともないリングに替えるってーの??
「ああ、そうだな。」
横から空が答える。 ええっ!さっきの指輪がいいよっ!
「では、」
ニッコリと涼しい顔をしたまま、指にはまってるリングをグィッと抜きさるお姉さん
「え?ちょ、ちょっと・・その指輪はヤダ!」
思わず叫んた。
キョトンとするお姉えさんに、空が「いいから気にするな」とお姉さんに苦笑いと同時に手をヒラヒラさせ、私の方を向き直す。
そして軽くため息をついてから「指のサイズを計っただけだ。」 と、言った。
「へ?
サイズ??あの指輪に変わるんじゃなくて?
ホントに?」
「ああ、少し黙ってろ。」
「う“?!!」 空の手によって頭を押さえつけられた私は、少し後ろに追いやられた。
「今、直るか?」
「はい。店内でお直しもしておりますので大丈夫です。ただ1時間ほどお時間いただきたいのですが?」
「ああ、構わね、少し出てくるから、その間に頼む。」
「承知いたしました。」
そんな会話をし終わると、空は後ろに居る私の腕をグッとまた引っ張り、今度はお店の外へと連れていく。
なんだい??私は、一体なんなんだい?あっちへ引っ張られ、こっちに引っ張られ~
空の操り人形じゃねぇっつーの!!
大体!こんなトコ来たコトないからわけわかんないし!
「私、来るイミないじゃん」 ぶつぶつ
「お前来なけりゃ、指輪外せないだろが」
「指輪だけ持っていけばいいじゃん」
「んだぁ?」
「めんどい。」
「なんだ?お前おかしくね?」
「は?別におかしくないし!」
「なに拗ねてんだ?って聞いてんだ。」
「だから!拗ねてなんかないってば!」
「はぁ・・・っ」
私が返した言葉に空はため息をついた。
「お前が来ないと、サイズわかんねーし
サイズ直って来た時も確認できないだろが。」
あ、もっともだ!てコトを言われ、何も言い返せずにいる。
「飯、食いにいこうぜ。」
空は黙り込んでいる私の腕をまた引っ張り歩き出す。
やっぱり、操り人形みたい・・私。
それから食事をしてても
出来上がった指輪をはめてピッタリ指に合っても
私の頭ん中はモヤモヤしていた。
いつまでもスッキリしない
ご飯美味しかったのに・・
指輪もやっとユラユラしなくて安心して付けてられるのに
心のユラユラはまだ止まっていなかった。
そのせいで私のイライラが続いてく
そんなキモチは空に感づかれること無く、無事に家に着くと、
「じゃあ、明日迎えにくっから、起きてろよ。」
の言葉を残し、空は帰っていった。
姿が見えなくなると同時に
「はぁ・・」
途端、ため息を吐く。
一体・・どうしたんだろ・・私。
今まで、こんなモヤッとした気持ちになる事なんてなかったのに。
それに・・
空と居ても
全然・・嬉しくなかった・・。
え?なに言ってんの??
ヤバイ!マジでどうかなっちゃった??
こんなコト思うなんてどうかしてるよ!!
空の事、嫌いになったわけ??
う、ううん、嫌いじゃない・・
うん、キライじゃない。
あ・・れ?
なんかおかしいぞ?
なんで
スキって言葉が出ないの?
空の事・・スキ・・だよね?
当たり前じゃん
スキ・・だよ
たぶん・・?
ブンブンブン!!
思いっきり頭を振る
なんなんだ?今のあいまいな言葉は?!
ダメダメ
わけわかんない!
やっとなんだよ?
これからなんだよ
元カノとのコトも、終わって
麗騎士も辞めるって決まって
そんでもって
結婚の約束までして
将来、
一緒に暮らす部屋まで・・探してて
まぁ、↑の部屋自体は空にはすぐに必要なんだけどね。
でも、それだって
私と出会わなかったら、
麗騎士の部屋でずっと暮らせてたんだし・・。
その・・
そんなんまでして
私でいいのかな。
今更ながら不安になってくる。
なんか・・
重い・・?
うっ、あああああ~~~~~~~っ!!ヤバイヤバイ(><)
考えないようにしてもついつい考えちゃうよ~~~~~~~
寝よ!
起きてるから悪いんだ!
だからこんなヘンなコトばっか考えちゃうんだっ!
寝よ寝よ!!
すやすやすや・・す・・「・・・」
寝れねぇぇぇぇ~~~~~~~~~っ!!!
う~~~~~~~~
ハッ!そうだ!
りかちゃんに電話してみよ!
そうそう1人で居るからダメなんだよ!
チャッ!
すぐさま、スマホを開いてりかちゃんに電話した。
「もし~♪」
「りかちゃん~~~っっ!」
「ど、どうしたの?」 いきなり電話越しに泣き付く私に驚いたみたい。
「あのね、聞いて欲しいコトが山程ある!」
「その話、今から何時間かかる?」
「3日間くらい?」
「切っていいかな?」
「ダメだよ~~冗談だよ~~」
「いや、冗談じゃなかったよね、マジでそんくらいかかる話をしようとしてたよね。」
「ギクッ!」
さすがだ!りか譲!私をよくわかってらっしゃるぜ!グッ☆
「はぁ・・
3日間は無理だけど、朝までなら付き合うよ?」
「うっ//あ、
ありがと~~~~~~~~~~~~」
もう~~~ホント感謝な親友がいて良かった!
りかちゃん大好きっ!!
「あのねっ、実はねっ・・」
すぐに私は
空とのコト、今の自分の心境を話した。
それを
「うんうん。」と優しく聞いてくれるりかちゃん
それだけで、なんかすごく気持ちが楽になる。
解決するワケじゃなかったけど、ぎゅうぎゅうになってた心が緩んできた。
それで安心したのか、いつの間にか電話しながら寝てしまって
気付いたときには、朝を迎えてた。
たぶん、私が寝てしまったことがわかって、りかちゃん電話切ったんだろう
耳元からはずれ携帯からは、プープーという音しか聞こえてこない。
7時過ぎには空が迎えにくる。
時計を見ると、6時10分だった
めずらしく怒られずに学校に行く準備できるぞ♪
りかちゃんと散々話したせいか、今朝にはだいぶ気持ちが楽になってた。
りかちゃん、ほんと感謝だよ。
学校の準備をほとんど終え
仕上げのブローしていると、
「今日は嵐か?」
と、とっても失礼な言葉で部屋へ入ってきたのは目下悩みの元凶の主。
「つーん」 そんなん無視無視~
で、続けて髪をブラッシング~。
「なんで泣いた?」
「?!」
もっていたブラシの動きが止まる。
「なんで・・
そんな事聞くの?」 正直焦った。
「目、見りゃわかんだろ。」
「え?」
鏡越しに私を見ている空の顔に気付く。
「なんかあったか?」
「え・・っと、別に。」
「言ってみろ。」
「・・・・」
「なにがあった。」
「だから、別になにもないし。」
「じゃ、なんで泣いたんだ!」
「怒鳴らないでよ!すぐ怒るんだから!」
バッとドレッサーから立ち上がると、カバンを持って部屋から出ようとした。
「待て。」
ガッ
その腕は簡単に捕まれ、踏み出した足も止められた。
「・・」
一瞬の沈黙。
「・・美未香、昨日からなんかヘンじゃね?」
「・・・」
空は気付いてた。
昨日からの私の変化を。
「俺がイヤか?」
「っ!
い、イヤなわけじゃない!」
「じゃ、なんだ?」
「ぅ」
「俺ら、一緒になるんじゃねぇの?」
「・・・」
「あ?」
「・・・」
「なんでなんも言わねぇ」
「・・・」
「美未香、」
「・・・」
「っ、マジかよ。」
「・・」
パッ
「っぇ?」
いきなり掴んでた腕を放し、空は自分のカバンだけ持ってさっさと部屋から出て行ってしまう。
「そ、空っ、」
私の小さな呼びかけにも振り向きもしない。
そのまま玄関を出て
私を置いて
・・行ってしまった。
1人にさせられて寂しいという気持ちと
ホッとしている自分がいる。
ホントに私はどうしちゃったんだろう・・
「マタニティブルーだ」
バコッ!☆ 「ちがう!ソレ言うなら、マリッジブルーでしょ!」
北川くんの発言に間髪入れずにりかちゃんがそう突っ込んだ。
「・・??」
「ヒロのだと、美未香妊娠中になってるじゃん!」
「え?違うのか?」
「違う!!よね?」
「あ、うん。してません」 でもそっか・・こーゆうのがマリッジブルーていうのかぁ・・。
「なんだ、良かったぜ~」
「じゃ、ないわよ!根本的にあんた間違ってるから!」
金曜日の保健室乱闘事件から明けて月曜の今日、私が少し遅れて学校に着いた時には既に北川くんがりかちゃんの側に居て、
なんでも先に空んトコに行ったらめっちゃ機嫌悪かったから、こっちに逃げてきたとの事。
しっかし?どうして空に殴られた北川くんがそんな行動をしたんだろうと思って
「もしや相馬くんに仕返ししに行ったとか??」
そう聞いたのだが、
「んな命知らずなコトすっかよ!知らなかったとはいえ、あの鬼士の相馬くんだぜ?」
すまん!私にはよくその価値観がわからないのだが?
「それに結局あの後、相馬くんの指示だってんで何もされずに開放されたし。
おっかねぇーケド、そういうとこかっけ~よね♪相馬くん♪鈴木ん時より惚れちゃいそうだぜ♪くぅ~~♪」
あんたは男、女関係なく欲情すんのかっ
「つか、私、まだ北川君に惚れられてんの?」
「あー、ダメダメ!今は俺、相馬くんひと筋だから!悪ィ、あきらめて!」
「なんで私の方が惚れてる設定なんだい?」
ま、ともかく
小一時間ほどしかたってないのに、私のお悩み相談までしてる始末なので
さすが北川くんなのである。
やれやれといった顔をしてるりかちゃんと目を合わせてると
いきなり北川くんがバッと掛けてた椅子から立ち上がり
「じゃ、俺、行ってくる!」
と?
「あの~どこへ?」
「は?決まってるじゃん!相馬くんの機嫌が悪いのがなんとなく解った気がするからさっ!」
「へ?」
思わず言葉を失う私を無視し北川君はその場を立ち去り
「相馬く~~~~~~~ん、聞け聞け!」
なぬ??!!
バッと振り向くと後ろに座る空の席まで猛ダッシュしている。
うお?!北川!まさか??そっちはぁ~~~~~~~~っっ!!!
そんな期待を裏切らず、北川くんは空のまん前まで来ると、
「実は鈴木、マタニティブルーなんだってさ!」
「は??」
ち、
違~~~~~うぅぅ!!!!
そんな北川くんのおちゃめなボケのおかげで、
空のちょ~不機嫌モードは解除された。
結果オーライ?
「そうならそうと言えや。」
「だって・・自分でもわかんなかったんだもん」
「まだまだだな。」
「え?」
「お前に不安と思わせちまってる俺の力が足りねぇんだ。」
「え!ち、違うよ空は全然悪くない!私があんま、なにも出来ないから自信なくしちゃったんだよ。だって・・
料理もお掃除もなんにもできないんだもん、こんなんで結婚なんてしていいのかなって。」
「そんなこと。」
「大事なコトだよ、こんなんじゃ恥ずかしくて奥さんになんてなれないよ」
うえっ・・と少し涙が目に溜まった。
言ってて自分がホント情けない
「はぁ・・あのな、結婚は卒業してからだぞ?」
「うぇ・・う、うん」
「今から、どれくらいある?」
「っん、と、あと
んと、2年。」
「だろ?2年もあんだ、その間にゆっくり美未香のペースで覚えていけばいい。」
「ぅ///そ、それで大丈夫かな・・っ?」
「何でも1人でやろうとすんな、俺も居るんだから。
お前が出来ないコトは俺がやればいいだろ。な?」
「う・・っ、うん」
空は
空はやっぱ優しい。
ムカツくけど、目つき悪いけど、口も悪いけど、態度もデカいけど、
ついでに怒りんぼで単細胞だけど。
「おい。」
「ぅえ?」
「今の声に出てたぞ、てめ」
「はひ??」
「どうやら、調教から始めないとダメみてぇだな。」
「ひぃぃぃっっ?!!!!」
このあと、色々ありましたがなんとか?
と~~~っても幸せな未来が続きました。
(ホントかっっ??!!)
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