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クウガ ポーカーフェイス?無理無理

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 ゲイの俺が、同性愛という概念のない世界で勇者として召還されました。
 が、勇者は廃業となってしまいました。

 うん、俺の存在意義!! 皆無!!

 はー・・・・・・チートがないからおかしいなとは思っていたけど、本当にこれモブ決定じゃねぇかよ。勇者という身分がなければ、俺ただの高校生だからな。それも妄想癖なだけの男子生徒だからな。日本にいたときですら、頭の良さも運動神経も平均的だったんだからな。自慢にすらならねぇよ。

 そして今の俺。アトランたち魔導師が使う実験室っぽい建物で監禁されてます。
 大げさではない。だってアトランの実験以外で部屋から外に出してくれないし。そもそもヒドい話、目の研究時と移動しているとき以外は視力なくされてるんだぜ。まったく見えねぇの。だからここに来て何日経ったのか自分じゃ全然わかんねぇの。
 俺1人だけだったら、絶対頭おかしくなってたわ。


「クウガァ~、今太陽出てますよぉ~。朝ですよぉ~」

 まさか俺が苦手とする存在ガキに助けられるとは思わなかった。

「ココ、どこ?」
「はい~、ここですぅ~」

 俺が手を差し出すとギュッと小さな手が握られる。目を閉じても開けても暗闇というのが、ここまで辛いっていうのは知らなかったよ。

 魔物のココは魔導師預かりになっている。再会したとき(まだ視力は消されていない)涙ボロボロにしたココが抱きついてきた。見事に涙と鼻水とよだれが服についてイラついたので、眉間の辺りを人差し指でグリグリしたった。「あうぅ~」と情けない声をあげたのには思わずクスッとした。



「これ、ご飯ですよぉ~」

 そう言われて手掴みで食べられるご飯を手渡される。一応ここ三食飯付き昼寝し放題なんだよな。視力奪われるけど。
 渡されたものを食べていると、ココに片手を掴まれて頭に乗せられる。撫でろという合図だ。呆れつつもご要望通り適当に撫でてやれば、ココの笑い声が耳に届く。

 用意されたものが食べ終わった頃、部屋の扉が開かれる。
 ココが俺の腕を握った。その手は震えている。

「クウガくん、朝食は終わりましたか」

 そして聞こえるアトランの声。戻る俺の視力。部屋の窓からは朝日が射し込んでいる。
 アトランは俺とそばにいるココを見て微笑んだ。

「まさか魔物の子が君にここまで懐いているとは思ってもいませんでしたよ。殺さないでおいて正解でした」

 俺の腕を握るココの力が強くなる。めちゃくちゃ痛かったので、思わず額をぶっ叩いてしまった。痣ができるんだよ、バカ。

「本当に仲がよろしいようで」
「いえ、全然。これっぽっちも。子供は嫌いです」

 俺がそう言うと、ココがショックを受けた顔をした。お前、そんなガビーンとした表情をされても困るんだが。
 アトランは俺の言葉に「それは良かった」と口にした。

「あまりにも魔物と仲が良いと、君も魔物と勘違いされてしまいますからね」

 ・・・・・・これは嫌みなんだろうか。いや、深く考えるのはやめよう。
 俺はアトランに導かれながら、目的の場所へと進む。
 ココはあまり乗り気ではなく俺の裾を握って動かないため、俺が引きずる形で移動している。ってかココお前、最初は嫌々引きずられてたけど、今はこの引きずられてる状況楽しんでるだろ。俺はアトラクションじゃねぇんだぞ。


+++

 俺とココは別の部屋で能力について調べられている。

 目のことを調べるといっても、今のところは基本的な能力の観察に近い。
 何もない殺風景な部屋で、俺はアトランに言われた通りに動いていた。


「やはり君の能力は相手の視野に入らない限り、実行されることはないようですね」

 アトランはイスに座って、紙にペンを走らせる。
 それを結論づけるために、何度「右手を上げろ」と言ったことか。アトランの部下である少年を真正面に立たせた状態から始まり、それから青年の立つ位置をだんだんズラしながら命令し続けた。時には俺や少年の目を閉じさせたり、互いの視力を奪った状態で試したり、布などで目隠しもした。鏡や水面の反射も試した。

 結果。俺と相手の目が合った状態で、俺の視力が相手を判別できないと能力は使えない。視力がない状態では能力は発動できない。さらに普通の目隠しでは能力は出ないが、視界の妨げにならないレースのようなものでは能力は普通に発動する。そして鏡越しや水面に映ったものでも能力は使える。

 俺の視界に映らないと能力が効かないのはなんとなくわかっていたが、こう形にしてもらうと俺としてもありがたい。それにしても鏡はともかくとして、水面に映る顔越しとかは考えもしなかったわ。

 ふと視線を感じて振り向くと、少年が慌てながら俺から視線をそらす。
 そりゃこんな実験に関わっていれば、俺と視線を合わせようとしないよな。
 するとアトランが俺を見て何か考え込んでいる。

「それにしても君は真面目ですね」
「何がですか?」
「同性しか好きになれないということですから、部下のシャンケを助手にしたというのに。猥褻な行為を命ずるかと思ったのですが」

「するわけないでしょ!」
「そんな理由でボクを助手にしたんですか、リーダー!?」

 俺の言葉に続くようにアトランの部下の少年シャンケが泣きそうに言った。
 シャンケはひょろ長い体格の俺より少しばかり年上の、ロッドと同い年ぐらいの少年だ。魔導師は魔力が高いからか、細身ながらも体格はしっかりしている。たれ目の整った顔立ちだが、やはり似たような年齢に性欲的なものは働かない。
 そもそもこんな環境で欲情できませんけどね。

「いくら男が好きといっても、この状況で手を出したいわけないでしょう」
「そうですか。ではシャンケに媚薬でも盛って差し上げましょうか」

 サラッと飛び出す発言にシャンケが叫び声をあげた。
 俺はその誘いを手で制した。部下を差し上げるな、おい。

「結構です。そもそもみなさんにも女性の好みがあるように、俺にだって男性の好みはありますので」
「つまりシャンケはクウガくんの好みの男性ではないということですね。ではクウガくんの好みはどういう人でしょう。サッヴァ先輩ですか? リッセン公爵家のご子息ですか? それともあの村人くん?」

 ・・・・・・藪蛇しちゃったよ。くっそ、答えにくい質問しやがって。
 誰が好みかって? 全員好みだよバカァ!! だからゲイってバレたとき、いづらくなったんだよ! 何度かエロ展開しちゃったからなおさらだよ!

 するとシャンケが首をひねった。

「村人くんというのはわかりませんが。リッセン公爵家の子息というのは騎士隊長の方ですよね。そうなると随分と年上の方ということになりますが。サッヴァ賢者だとさらに年輩になりますよね」

 ・・・・・・俺の性癖がどんどんバレていく。もう何も話さない方が良さそうだ。
 そう自己嫌悪に陥りそうになったとき。




「シャンケ」

 アトランの声が耳に入る。それは今まで聞いたことないほど冷え切ったものだった。
 そして優しそうな面影を一切なくしてシャンケを見つめていた。
 シャンケはアトランの顔を見て、顔色をなくしている。

「自分の前で、彼を賢者と呼ぶなと告げているはずですが」
「す、すいません!」

 すぐさまシャンケが頭を下げる。
 ビビったあああ。普段にこやかな人が怒るとめちゃくちゃ怖い。
 それにしても、サッヴァのことを先輩と呼んだりしてるってことはサッヴァとは知り合いってことだよな。魔導師と神官って仲悪いんじゃなかったっけ。どういうことだ? 怖いから聞けないけど。

 シャンケに向けていた冷めた目線を消し、俺を見つめる。

「でも確かにシャンケの言う通り、彼らはクウガくんよりも大分年上ですね。あの村人くんも君より10近くは離れてるようですし」
「その通りですよ。俺は年上好きです。それも結構年上じゃないと、そういう目で見れません」

 もう開き直った。どうせゲイってバレてんだ。もう隠すものなど俺にはない!
 シャンケは安心したように脱力する。へぇへぇ、良かったですね。男から好かれなくて。どうせ気持ち悪いですよ。けっ。
 やさぐれている俺に、アトランは唇に指を当てて何か考えているようでした。

「つまりシャンケのような子よりも年上の、それこそ自分のような男の方が好みということですか?」


 えー・・・・・・アトランみたいな人ぉ? 年はダグマルより同じか少し上くらいの、ガッシリではないけど筋肉の付きも悪くなさそうな人でしょ? 長髪敬語系の年長者でしょ?


~~~妄想中~~~


 俺の息子が先走りを流しながら、今にも弾けてしまいそうだった。

 ジュプ、ジュプ、ジュプ

 アトランが俺のチンコを頬張りながら、自分のアナルを解しているからだ。長い髪を耳にかけながら、俺のチンコに口づけながら微笑んだ。

「苦しいですか?」
「アトランさん、もう、もう俺」
「駄目ですよ、出しては」

 根本を指でせき止められ、強制的に射精を止められる。
 思わず苦しさにうめいてしまう。しかしアトランはそんな俺を見てほくそ笑むと、身を乗り出して互いの顔を近づける。
 そして両手で俺の頬に手を添えて唇を重ね合わせた。物静かそうな外見からでは考えにくい勢いのある口づけだった。そして唇が離れた後、アトランはペロリと唇を舐めた。

「だって君のこれは、ここに欲しいんでしょう?」

 そして腰を上げたアトランは十分に解したアナルに、俺のはち切れそうなチンコを擦り付けて入りそうで入らない。


「さあ、正直に言えますよね?」

 そしてアトランは魅惑的に微笑むのだった。


~~~妄想終了~~~


 普通にイケますけどおおおお? 当然でしょうがああああああ。節操がない? 俺ってば年上男性ならおじいちゃんまでイケちゃうからね。1話の段階でそう言ってるからね。
 逆に言うならば、これといって好きなタイプがはっきりしてないってことなんだろうけど。小学生のときに男の先生の体を想像して射精したけど、好きだったかって言われると首を傾げてしまう。
 好きな人がいないから無節操に妄想しちゃうんだろう。好きな人ねぇ。憧れる人ならいるけども。サッヴァとかダグマルとかステンとか。
 ・・・・・・ごめん、やっぱ今のなし。罪悪感が凄い。


「好みと言われると困りますが、俺がいいなと思った人は俺よりずっと年上の人たちばかりでしたね」

 とりあえず無難なことを言っておく。アトランがいいかどうかは流しておいた。

「キスしたときに嫌な顔してませんでしたから、そういうことなんでしょうね。何でしたら、もう一度して差し上げましょうか」
「結構です!!」

 くっそ、思い出すだろうが。
 初めてのキスでしたよ。女子じゃないから、別にゴチャゴチャ言FFB1わないっすけども。

「えっ・・・・・・リーダーが、男とキス? えっ、ほんとに?」

 ほーらー、シャンケが混乱し始めてんじゃんかー。余計なこと言うなよー。もー。
 ただ俺が何を言っても地雷になりそうなので黙っていた。

 するとアトランがイスから立ち上がって俺に近寄ってくる。
 イヤな予感がして後退するがどんどん近づいてくる。壁に背中がぶつかり「ゲッ」と声を出したときには、すでに目の前にアトランの姿があった。

「逃げなくてもいいじゃないですか? 自分のような男が無理というわけではないのでしょう?」

 そして俺の顔の横に、アトランの左手がドンッと置かれる。そして右手で顎をクイッと持ち上げられる。ゴンッ、と俺の後頭部が壁にぶつかった。

 ・・・・・・まさかの壁ドン、顎クイからの俺の後頭部ゴンだよ。痛ぇわ。

 しかし文句を言う前にアトランが頭を下げて唇が合わさった。
 またキスされたああああああ。思わず目を閉じてしまう。いや、そんな予感してたけど。前回の不意打ちより全然予想してましたけど。

 ってか長いんですけど!?
 こっちは童貞の経験なし男なんですが、キスってどうやってやるんすか!?
 息が、息がああああああああ、窒息死するわボケ!!

 俺が緊張と恥ずかしさと、そして何より息苦しさで体がカチカチに固まってしまう。
 もう無理。鼻から大量の息が吹き出しそうになる。そんなギブアップ寸前になって、アトランが唇を離した。
 髪が一束、アトランの肩から落ちて揺れる。

「どうやらとてもウブなようですね。キスの経験はありませんでしたか?」

 ねぇよ。あるわけねぇだろ。隠してきたんだからよ。
 しかし俺の口はそんなこと言えず、「ぐぅ」とか「うぬぬ」とか変な声しか出てこない。しかしアトランを喜ばせるのも癪なので、表情筋には力を込めた。おそらく俺の眉間にはしわがいっぱい寄っている。

 だがそんな俺の反応をアトランは楽しんでいた。何故だ。

「でしたら、こういうのはいかがでしょう?」

 そう言ってアトランがもう一度口づけをした。
 だが先ほどまでの長く重ね合わせたキスとも、初めての不意打ちのキスとも違うものだった。

 俺の下唇をアトランの唇で軽く挟み込まれる。そして左右に擦られた。ふおおぅ、と思っていたら、アトランの舌先が俺の唇に触れる。
 驚いて唇を少し開いた瞬間に、顎を掴まれて唇を思いっきり重ねられた。そしてにゅるっと舌が俺の口内に入り込んでくる。


 ーーいきなりディープかよ!?
 経験がないってやつに、いきなりすることじゃないよね!? ってか躊躇いもなくキスしてますけど、男相手にイケるんすか!?

「うっ、・・・・・・ぐ」

 舌が、軟体動物のように蠢いている。俺の舌にヌルヌルとアトランの舌が絡みつく。
 さっきのキスは呼吸をどうするか悩んでいたが、これはそんな悩みも吹っ飛ばしていく。ただただ、混乱するしかない。
 アトランの舌が俺の舌の表面をなぞったり、上顎を擦ったりすると、わけがわからない。

 水音が耳に入る。妄想ではない。本当の粘性の水音。

 腰に、腰にクる。ヤバい、熱が、股間に。

 どのくらいキスしてるんだ。体感では長いことずっとしてる気がするが、実際はどうなんだろうか。わからない。息苦しさと気持ちよさに頭がぼんやりする。
 時折唇を離したかと思えば、唇を舐めて、また深い口づけに入る。

 お、俺キスが上手いとか下手とかわかんねぇけど。
 少なくともこれは上手い部類だろ。ってかキスするの慣れてませんかね? 強引な気もするけども。

 アトランの顔が離れた瞬間、俺は壁に寄りかかって立つのがやっとだった。
 荒い息をしてアトランをにらみつける。

「男相手にキスするのは初めてでしたが、意外とイケるものですね」

 そう言ってアトランはペロッと自分の唇を舐める。そして視線を俺の目から下に降ろす。

「どうやらキスは気持ちよかったようで。なによりです」

 アトランの言葉に俺は唇を噛んだ。
 俺の股間は端から見てもわかるくらいに膨らんでいる。
 しょうがねぇだろ、腰にクるんだから。


 だが、これで終わりではなかった。


 アトランは俺のズボンに手をかけると勢いよく下ろしてしまう。

「ほわっつ!?」

 驚きのあまりにそう叫んでしまったが、アトランはまったく気にしていないようだった。そしてズボンごと下着も下ろされ、キスして感じてしまったチンコがコンニチワする。
 そしてアトランは俺を見上げてニコッと笑うと、何の躊躇いもなく竿に舌を這わせる。ゾクッとした感覚が腰中心に集まってくる。
 これは、マズい。俺が感じてしまうとか、そういう問題じゃない。


 普通に精液飲んだら、アトランが死ぬ!! 魔力の増大に体が耐えきれずに死ぬ!
 イヤだよ、俺、精液飲ませて殺人者になるの! 凶器は精液とか笑えないからな!


「アトランさん、本当にそれダメ!」
「別に君は気持ちいいだけだから良いでしょう?」
「そうじゃなくて! アトランさんが死ぬからダメ!!」

 俺の叫びにアトランが不思議そうな顔をする。
 これ、隠したままだと絶対にフェラ続行される。ちゃんと説明しないとダメだ。

「男性の体は女性の体と違って、精液を体内に入れると体内の魔力が増えすぎて体が耐えきれないんです! だからそのままフェラしちゃダメなんですって!」

 くっそ、何でゲイの俺が寸止めしなきゃいけねぇんだよ。
 そもそもアトラン、本当にノンケなの? 本当に!? ノンケがこんな躊躇いなく男にフェラできんの!? あ、でもサッヴァもフェラしてた。探求心は嫌悪感も越えてしまうのか?

 アトランはそれを聞いて目を輝かせ、シャンケの名を呼ぶ。
 そして驚いた声でシャンケが返事をした。

 ・・・・・・・・・・・・忘れてたああああああ。この部屋、俺とアトランだけじゃなかったあああああ。シャンケの存在忘れてたわあああああ。
 シャンケの方を向くと、シャンケは顔を赤くしたり青くしたりしていて、俺と目を合わせた途端に悲鳴をあげて勢いよくそっぽ向く。 

「シャンケ。今すぐ魔力が空の貴金属を持ってきなさい。増えた魔力の量も調べますので、その準備も」
「は、はいいいいい!!」

 シャンケは転びそうになりながら部屋を出ていく。
 ・・・・・・これ、実験パターンですね。つまりフェラはされるのは決定ですね。






 シャンケが持ってきたチョーカーがアトランの首につけられる。
 俺はもう逃げる気にもなれなかった。背中を壁に預けたまま立ちっぱだ。アトランに着いていった時点で、俺に逃げ場はないのだ。初めて会ったときも言われたんだ。目のことだけでなくて、同性愛というのにも研究対象だって。

 ただアトランの思い通りなのが気にくわないため、顔をそらしアトランを見ることはしなかった。
 そしてアトランの舌が、俺のチンコを捕まえた。

 俺の体が求めていた刺激に、背筋がゾクゾクしてしまう。
 そしてキスと同様に、器用な動きで俺のモノに舌を絡ませていった。

「あぅ、あっ、ぐぅ、・・・・・・んうっ」

 思わず声が漏れる。気持ちよすぎる。ちょっとでも油断したら、意識が持ってかれる。
 唇をすぼめるアトランの口の中に、俺のチンコが前後に動く。

 何だ、これ。ヤバい、ヤバい、ヤバい。オナニーなんかと全然違う。妄想とも全然違う。知らない。知らない。こんなのおかしくなるに、決まってんだろ。
 サッヴァのたどたどしい扱いとは違う。的確にイイトコロをついている。

「な、んで、こんなに、んんっ、上手いんすか」
「同じ男ですからね。好きなところは大抵同じでしょう。それに女にしてもらったこともたくさんありますからね。要はポイントさえ抑えれば良いということです」

 アトランがチンコを口から外してそう答えた。だが手を使って俺のモノを刺激するのはやめない。
 どんだけ女に奉仕されてきたんだよ。ってか相手いるんじゃないの。

「なら、こんなことっ、いいんですか。恋人とか、うぐっ、奥さんとか」
「いえ、いませんよ。一夜のお遊びですから。魔力が高いと貴族からそういう誘いが来ることも多いんですよ」
「ちょっ、それ、不倫じゃっ」
「魔力の強い跡継ぎを望む人は、たくさんいるんですよ」

 そしてアトランはまたチンコを口に含んでしまう。舌が縦横無尽に動き回る。
 この舌、本当に軟体動物だ。何だよ、この動き。
 チンコを口の中に入れられたまま、舌先で尿道の割れ目を刺激されたら、もうダメだ。


「うっ、ぐうっ、んんっぅ」
「ふっ!? ん、ぐううっうっ!!」


 ぞわぞわってしたものが背筋を走った。
 そしてアトランの口の中に精液を放ってしまう。アトランは目を見開きながらも、その精液を飲み下していく。俺の声に続いて、アトランもくぐもった声をあげる。
 すべて出し切った後に、俺はアトランを見下ろした。

「ぁ、ぅ・・・・・・はぁ、ふっ」

 そうアトランが声を漏らしていた。
 何故かフェラをしていた方のアトランまでが、恍惚の表情で肩で息をしている。チンコからは口を離していて、真っ赤な顔に目がトロンとしていた。サッヴァのときもそうだったが、上手く呼吸ができていない。
 アトランは未だ心ここにあらずのようだ。そして俺のチンコを凝視しながら、また口を近づけようとした。

 待って、待って、待って。さっきイったばっかだから。今敏感だから。

 申し訳ないと思いながらも、アトランの顔を手で制する。
 しかしアトランは俺の手をとると、指の間に舌で舐めていく。あ、ヤバ。今のなんかギュンッときた。

 アトランが舌を出しながら俺を見上げてくる。その目にはいつもの正気はない。
 俺の手から力が抜ける。そしてアトランがもう一度、口を近づけようとした。


 いかん。これはいかん。


 俺はアトランの頭を押さえ、無理矢理視線を合わせた。

「目を覚ませ!!」

 そう叫んだ俺の言葉に、アトランが目を丸くする。
 そして何か憑き物がとれたように、雰囲気が普通のものに戻っていく。
 アトランは髪の毛をかきあげながら、何事もないように立ち上がる。そして俺もズボンを履き直した。

「失礼いたしました。しかしこれほどまでに性感を得ることになるとは思いませんでした。これは女性でもこれほどの刺激を受け取るのか。それとも男性の場合、体内の魔力量が増えることに脳が追いつかないのか。検証する必要があるようですね」

 そう言って首のチョーカーを外し、それを手にとって眺めている。

「計測してはいないので詳しい魔力量はわかりません。しかし射精した精液を飲むだけでこれだけの量の魔力が貯まるとは」

 体内に納まりきらない魔力がそっちに流れたのだろう。俺の精液は電池の電力か。
 アトランは真剣な表情でシャンケの方を向く。


「そしてこれがクウガくんだけでなく、他の男性の精液でも同じようなことになるのか。試してみるしかありません。とりあえずシャンケ、履いているものを全部脱ぎなさい」
「絶対嫌です!」
「安心しなさい。あなたは立っているだけでいいのです」
「嫌です。無理です。勘弁してください。いくらリーダーでも無理なものは無理なんです。男にくわえられるのは願い下げです」
「それでも魔導師ですか。研究者ですか。嫌と言っていては研究などできませんよ」
「魔導師の前に、研究者の前に、ボクは男です!!」


 シャンケの叫び声を聞きながら、俺は一気に体の力が抜けて壁にもたれながら、ズルズルとその場に座り込んでしまった。

 マズい。これは非常にマズい。
 フェラで俺の精液が搾り取られる。
 これで男同士のセックスの仕方ーーそれこそアナルを使ったセックスを教えてしまったらどうなるんだ。精気吸い取られて死ぬんじゃね。相手淫魔じゃないはずなんだけど。

 男同士のセックスの内容を、アトランに決して悟られてはならない。
 勇者となる決意は必要なくなったが、新たな決意が生まれてしまった。



 それにしても今後もこんな感じで、精液を搾り取られるんだろうか。


 ♪ドナドナドーナードーナー・・・・・・

 やめて脳内。ここでドナドナ流さないで。
 運ばれていく牛が乳牛になるから。しかも搾り取られるのが牛乳じゃなくて精液とか、牛さんに失礼すぎるから。



(前もって言っておきますが、アトランとシャンケのBL的絡みはありません)
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