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身代わり花嫁
やるしかないでしょう!
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突然、悪魔のような声がしてきた!
「口移しで、食べさせろー!く、ち、う、つ、し!」
他の新郎友人達も口々に言い始めた。
彼等は、主に大学時代の友人達のようだ。
(あいつ等、調子に乗って!先頭切って言った奴は、自分の結婚式の時のお返しだな!
まったく!参ったな……)と匠海は思った。
口移しという言葉に、事情を知る者達は凍りつく。
うわっ!披露宴では、よくある光景だ!
彼等が盛り上げる為に、言っているのも分かる!
分かってはいるけど……。
いくら お客様であっても、他人と食べ物を口移しで食べるって、あり得ない!
顔はひきつり笑顔を保っているものの、腹が立ってきた。
口移しで、ケーキを食べさせろって?
冗談でしょ?
何、言ってくれてんのよっ!
えっ!たっ君は、照れて笑っている……。
まんざらでもない感じ?
まさか?しないでしょ?
「いや、それは無理だ!無理、無理。
それは、2人だけの時にします!」
新郎が言うと会場が笑いに包まれた。
少々、大袈裟に笑っている人もいるようだが、会場は和やかだ。
「はい、お二人ともあーんをして、ケーキを食べさせて下さい」
司会者が言った。
モグモグ。
「美味しいケーキですね」
新郎が新婦を見つめて言うと、
「はい、ここのケーキは評判がいいですから」
新婦も見つめ返して笑顔で、応えた。
どこからどう見ても、仲の良い2人に見える。
だが、次の瞬間、新郎新婦を更に追い込む声がした。
「じゃあ、キスして!」
「そうだ!愛の口づけだ!」
「キス!キス!キス!キス!」
何も知らない友人、知人は、悪ノリして手拍子つきの大合唱を始めたのだった。
これは、何らかの事をしなければ、場がしらけてしまうという事を 柚花の職業柄、知っているのだ。
チラリと、たっ君を見ると、いい?という様な目で、私に懇願しているのが、わかった。
はぁー!やるしかないのか?
私は、女優。私は女優。私は女優。
自分に暗示をかける。
ちょん!とするだけだ!
呼吸を整えて、覚悟を決めて、たっ君に顔を突き出した。
たっ君も それに応じて、顔を近づけてきた。
ぶちゅうー!!
2人の後方に移動して来た 新郎友人の智也がよろけて、2人の間に割って入ってしまい、2人から頬に口づけされたのだった。
「あっ!」
3人が驚いた表情となったのだ!
一瞬の静寂があったが、大爆笑とブーイングが入り混じっての楽しげな雰囲気となったのだ。
この難関を何とか、切り抜けた。
………………
ウェディングケーキの切り分けをしているため、ゲストは歓談をしながら、食事を楽しんでいる。
席に戻った私達は、顔を見合わせて、笑い合った。
何とかピンチから脱出できて、互いにホッとしたのだ。
「さっき私達がチュッてしてしまった方は、匠海さんのお友達ですか?
何だか、わざと私達の間に入った様に思えたのですが?
偽物花嫁だって知っているのかしら?」
「あっ春菜が……着替えている時にブライズルームに来たから、事情は知っていて、協力してくれる事になっていました。
多分、追い込まれた僕達を助けてくれたつもりなんですよ。
智也は、僕の高校生の頃からの友達で、とても いい奴なんです。
でも、春菜には、智也にキスをさせてしまって、申し訳ないです」
「ほっぺにチュウくらい、酔っていれば、あちこちでしますから、気にしないで下さい」
(えっ?本当に?あちこちでチュウするって……酒乱なのかな?)
匠海は柚花の言葉を信じ、衝撃を受けた!という表情となっていた。
「……なんて、冗談ですけど!
職業柄、その場の空気を読んで、行動する事が常なんです。
あの場面では、必要な行動でしたから、笑いに変えてもらって、有り難かったです。
うふふふ……」
「あはは、冗談か……。ですよね」
匠海は、ホッとしたのだった。
たっ君、ごめんなさい!嘘です!
本当は、本当に酔うと男女問わずにほっぺにチュウしちゃいます……。
しかも、少しのアルコールで!です。
あなたは、あくまでも、お客様ですから私の……凛としたイメージを……多分、そう思ってくれているイメージを壊したくありませんから、私は嘘を選びました。
それにしても、たっ君は意外と話しをするのですね。
打ち合わせは、春菜さん主体で、横に居て頷くくらいだったし、あまり笑顔も見せていなかったな……。
結婚前から、上手くいっていなかったとか?
まっ、お客様の事だから詮索するのは、辞めておこう……。
さっ、この烏龍茶をひと口飲ませて頂きます。
ぐびっ!
それは、自分が身代わり花嫁だという事を忘れかけて、喉を潤している時だった。
もともと照明が薄暗いメインテーブルなのだが、より一層、影が差すように、暗くなった気がして、目線を上げた柚花が固まった。
これは、まずいでしょう!
もう、万事休すかも……?
「口移しで、食べさせろー!く、ち、う、つ、し!」
他の新郎友人達も口々に言い始めた。
彼等は、主に大学時代の友人達のようだ。
(あいつ等、調子に乗って!先頭切って言った奴は、自分の結婚式の時のお返しだな!
まったく!参ったな……)と匠海は思った。
口移しという言葉に、事情を知る者達は凍りつく。
うわっ!披露宴では、よくある光景だ!
彼等が盛り上げる為に、言っているのも分かる!
分かってはいるけど……。
いくら お客様であっても、他人と食べ物を口移しで食べるって、あり得ない!
顔はひきつり笑顔を保っているものの、腹が立ってきた。
口移しで、ケーキを食べさせろって?
冗談でしょ?
何、言ってくれてんのよっ!
えっ!たっ君は、照れて笑っている……。
まんざらでもない感じ?
まさか?しないでしょ?
「いや、それは無理だ!無理、無理。
それは、2人だけの時にします!」
新郎が言うと会場が笑いに包まれた。
少々、大袈裟に笑っている人もいるようだが、会場は和やかだ。
「はい、お二人ともあーんをして、ケーキを食べさせて下さい」
司会者が言った。
モグモグ。
「美味しいケーキですね」
新郎が新婦を見つめて言うと、
「はい、ここのケーキは評判がいいですから」
新婦も見つめ返して笑顔で、応えた。
どこからどう見ても、仲の良い2人に見える。
だが、次の瞬間、新郎新婦を更に追い込む声がした。
「じゃあ、キスして!」
「そうだ!愛の口づけだ!」
「キス!キス!キス!キス!」
何も知らない友人、知人は、悪ノリして手拍子つきの大合唱を始めたのだった。
これは、何らかの事をしなければ、場がしらけてしまうという事を 柚花の職業柄、知っているのだ。
チラリと、たっ君を見ると、いい?という様な目で、私に懇願しているのが、わかった。
はぁー!やるしかないのか?
私は、女優。私は女優。私は女優。
自分に暗示をかける。
ちょん!とするだけだ!
呼吸を整えて、覚悟を決めて、たっ君に顔を突き出した。
たっ君も それに応じて、顔を近づけてきた。
ぶちゅうー!!
2人の後方に移動して来た 新郎友人の智也がよろけて、2人の間に割って入ってしまい、2人から頬に口づけされたのだった。
「あっ!」
3人が驚いた表情となったのだ!
一瞬の静寂があったが、大爆笑とブーイングが入り混じっての楽しげな雰囲気となったのだ。
この難関を何とか、切り抜けた。
………………
ウェディングケーキの切り分けをしているため、ゲストは歓談をしながら、食事を楽しんでいる。
席に戻った私達は、顔を見合わせて、笑い合った。
何とかピンチから脱出できて、互いにホッとしたのだ。
「さっき私達がチュッてしてしまった方は、匠海さんのお友達ですか?
何だか、わざと私達の間に入った様に思えたのですが?
偽物花嫁だって知っているのかしら?」
「あっ春菜が……着替えている時にブライズルームに来たから、事情は知っていて、協力してくれる事になっていました。
多分、追い込まれた僕達を助けてくれたつもりなんですよ。
智也は、僕の高校生の頃からの友達で、とても いい奴なんです。
でも、春菜には、智也にキスをさせてしまって、申し訳ないです」
「ほっぺにチュウくらい、酔っていれば、あちこちでしますから、気にしないで下さい」
(えっ?本当に?あちこちでチュウするって……酒乱なのかな?)
匠海は柚花の言葉を信じ、衝撃を受けた!という表情となっていた。
「……なんて、冗談ですけど!
職業柄、その場の空気を読んで、行動する事が常なんです。
あの場面では、必要な行動でしたから、笑いに変えてもらって、有り難かったです。
うふふふ……」
「あはは、冗談か……。ですよね」
匠海は、ホッとしたのだった。
たっ君、ごめんなさい!嘘です!
本当は、本当に酔うと男女問わずにほっぺにチュウしちゃいます……。
しかも、少しのアルコールで!です。
あなたは、あくまでも、お客様ですから私の……凛としたイメージを……多分、そう思ってくれているイメージを壊したくありませんから、私は嘘を選びました。
それにしても、たっ君は意外と話しをするのですね。
打ち合わせは、春菜さん主体で、横に居て頷くくらいだったし、あまり笑顔も見せていなかったな……。
結婚前から、上手くいっていなかったとか?
まっ、お客様の事だから詮索するのは、辞めておこう……。
さっ、この烏龍茶をひと口飲ませて頂きます。
ぐびっ!
それは、自分が身代わり花嫁だという事を忘れかけて、喉を潤している時だった。
もともと照明が薄暗いメインテーブルなのだが、より一層、影が差すように、暗くなった気がして、目線を上げた柚花が固まった。
これは、まずいでしょう!
もう、万事休すかも……?
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