ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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応援したい!

どうする、どうする?

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「うーん、うーん」

 柚花は、スタッフルームでうなっている。


「おはようございます。

 丸山さん、どうしたんですか?

 トイレに行った方がいいんじゃないですか?」


 2番目に出勤してきた緑川が聞いた。



「え?あ、おはようございます。

 トイレじゃないわよ!真剣に考えているの!

 昨日、相談にいらしたお客様の ご依頼を考えているの!

 緑川さんも一緒に考えてちょうだいね」


 緑川に詳しく話し、思案をしていたところに、軽米と倉田チーフが出勤してきて、結局、皆んなで考えているのだった。


「サプライズ、サプライズ……」

 口々に呟きながら、思案中。


 すると、突然、倉田チーフが話し始めた。


「私の経験で言うとね。もと旦那からプロポーズされた時、ジュースの中にダイヤモンドの指輪が入っていたの!

当時、食べ物や飲み物に指輪を入れたサプライズが流行していたのよ。

 
飲んでいる途中で、指輪に気がついて、ストローで引っ掛けて取るのが、難しくて……。

 喜んで直ぐに指輪をはめたけど、ベタベタ感があったわね。

 衛生上も良くないでしょうね」


「えー!今、僕が考えていたのは、ショートケーキの苺に指輪をくっつけようって思っていたのですが……ダメですか?」


 緑川は、がっかりしながら自分の考えを発表したのだった。


「お洒落な感じに指輪を飾る事が出来ればいいと思うけど、多分、お客様としては、彼女がドキドキする事をしたいのだと思うの。

もう少し、捻りが欲しいわね」


 倉田チーフが言うので、皆でじっくりと考え、いろんな案を出し合う。


 今日は、ブライダルフェアーの企画を考えようとしていたくらい 時間に余裕がある日で良かったと思う柚花なのだった。


 それに、ここのスタッフ達はサービス精神旺盛な上に、企画を考えるのも好きなので、大いに盛り上がっているのだ。


「はい、ひらめきました!」

 柚花が手を挙げて言った。


「ビンゴ大会をしませんか?手作りビンゴカードを作って、番号は こちらで仕込んで、1つずつ開けて裏をひっくり返して、解読してもらうと、けっこんしてください”の文章になる!ってヤツ!

 良いアイデアが浮かんだと思いますけど?

 皆さん、どうですか?」

 
「アイデアは、いいわね。それで、その大会をどんな感じで、どこでやるかってのが重要ね。

 で、考えている?」


「あ、レストランで 出来たらいいなぁ。って思っています」

  
 倉田チーフに聞かれて、苦し紛れに柚花は答えた。


「ビンゴ大会のアイデアは、とても素敵ですが、今の時期はクリスマス直前と年末で、忙しいレストランには話しを持っていけませんよ。

 来年になってから、相談して日程を組んでいると、プロポーズがだいぶ先になる可能性がありますよね?」


 軽米は、少し残念そうに言ったのだった。


「それもそうねぇ、でも、私も良いアイデアだと思うから、今回は見遅らせてもらうけど、ブライダルフェアーの時とかに使えないかしらね?

 丸山さん、冴えているわよ!」


 倉田チーフが気を遣って言ってくれたのだった。
 


「そうだ、宝探しゲームをするのはどうですか?」


 軽米が思いついて話しを続ける。


「なんなら、私達、スタッフがサクラとして、ゲームに参加して、盛り上げちゃうとか?」


「あっ、楽しいかも!ゲームだと思っていたら、実は……ってヤツね」

 柚花も賛成する。


「そうねぇ、面白そうだわね。

 お客様の彼女と同じ23歳の緑川さんは、どうかな?」

 倉田チーフが緑川に聞いた。


「内容は、分からないけど宝探しゲームは、いいかもしれないですね。司令のメッセージを入れておくヤツですよね?」

 
「そうそう、その通り!では、その方向で、皆さんも内容を考えて下さい。お願いします」

 軽米は、自分の思いつきが採用されて、嬉しそうに皆に言ったのだった。

 
「じゃあ、最終的に箱の中に婚姻届を入れておくのはどうでしょう?」


 柚花が提案すると、倉田チーフが同意するように頷いたが、軽米や緑川は速攻で却下する。


「丸山さん、付き合っている期間が短すぎだし、年齢が若いから、そんな現実的な物を突きつけられたら、きっと引いちゃいますよ。

 僕が、女性の立場なら、ビビりますね!」


「そうですよー!それを喜ぶのは、長過ぎるくらい付き合っている人、もしくは、直ぐに結婚したい人だと思います」



「えぇー!そうなの?私なら嬉しいけどなぁ」


 柚花は、不満そうに言ったが、その後も、色んなアイデアを出し合い、大まかな事を決めたのだった。



「では、ひと通り決まったので、後は、お客様に確認をとってから、実行に移すことにします。

 皆さん、ご協力していただき、ありがとうございました」


 柚花が言った後に、倉田チーフが思いもよらない言葉を言ったのだ!


 「で、サクラとして私は参加してもいいの?

でも、私の年齢だとダメかしら?

 20代の彼氏というのも無理があるか……」


 倉田チーフが、緑川の方をチラリと見ながら言ったのだ。


 緑川は、ゾクっとして固まった。


 あ……そうか、サクラは、男女カップルで参加という設定だから、倉田チーフは、もしかして緑川さんを自分の彼氏役に考えている?


 外崎さんにしても24歳だし、カップルにしては不自然な感じに見えちゃうかも。


 私も軽米さんも返事に困った。


「緑川さんのお母さんって、いくつなの?」

 倉田チーフが聞いた。


「母は、確か、46歳だと思います……多分」


「あ、私の少し上……でも、たいして変わらないか。

 お母さんは、結婚が早かったのねえ。

 そっか、緑川さん、私とは親子みたいなものなのねぇ」


(母親と同世代じゃあ、偽カップルになるにも無理があるか……あーあ、つまんなーい、残念)


 分かりやすく、がっかりしている倉田チーフに柚花が声をかける。


「そうだ、ここの支配人に参加してもらいましょうか?確か、独身ですよね?

 倉田チーフとも何気に仲がいいじゃないですか」


「えっ!支配人って、根岸君の事?ま、待って、無理よ。無理だってば!

 仲が良いっていうのは、このホテルに同期入社した仲間だからよ!

 ただ、それだけなの。

 あの人、忙しいから、そんなゲームに参加できるわけないじゃない!」


 珍しく動揺しまくっている倉田チーフなのだった。

 
「仲間なら、尚更、協力してくれるかもしれませんよ?私が支配人を口説いてきますから。

 そしたら、倉田チーフだって、ゲームに参加できますから!」


 柚花が言うと、軽米と緑川も何度も頷いていた。


「いやー、恥ずかしいじゃないのぉ、もう、じゃあ、向こうが参加するって言ったら、私も参加するわ……でも、きっと、無理よ……」


 倉田チーフは、もともと若々しいので、30代前半と言っても信じる人が多いだろう。

 恥ずかしそうにしている姿は、とても可愛く見えた。

 
 私は、休憩時間を利用して、支配人を訪ねたのだった。



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