ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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 2階のブライダルサロンに、4組のカップルがいて宝箱を探している。


 サクラとして仕込んだ、倉田チーム、軽米チーム、野村チームにも、もちろん、お客様である新井さんチームにも、本気を出してもらう為に、箱の隠し場所と内容は知らせていないのだ。


 ここは、皆んなが食事をしている時に緑川が宝箱を隠したのだった。
 

「あれぇ、西崎さん、箱が無いですね。どこでしょう」


 カーテンの下を探す野村が智也に話しかけていると、緑川が皆んなに向かって言う。


「下に置いてあるとは限りません!

 さあ、どこでしょうか?」


 それを聞いて、皆は棚の上、額縁の上、テーブルの上、椅子の上を探していく。


「倉田さん、これ本当に隠してあるの?」

 支配人が倉田チーフに聞いた。

「ほんと、見つからないわ。何で?1つも無いなんて変だわ。どこにあるの?」

 倉田チーフは、じれったくなってきたのだ。


  えっ、緑川さん、皆んな、見つけられないみたいだよっ!あなたは、どこに隠したの?


 だんだん不安になってくる柚花なのだった。


「あっ、あった!」


 救いの声を発したのは、新井さんだった。


「えー、新井さん、すごーい、見つけたぁ」

 静香さんが嬉しそうに手を叩いて言っている。


 その姿を全員が見て、よしっ!と思ったのだった。


「えっ、どこにあったんですか?」

 軽米チームの和希が新井に聞いた。


「このテーブルの裏にテープでくっつけてありました!」


「えっ!テープでくっつけてある?

 まさか、他のテーブルにもあるとか?」

 そう言って、和希は別のテーブルの裏を覗くから、軽米も同様に覗いて、テーブルの下で互いに目が合い「あった!」と言ったのだ。


「えっ?また、テーブルの裏に?

じゃあ、このテーブルはどうかしら?

 根岸君、見てみようよ」


 倉田チーフが支配人に言って、2人で覗くが無かったのだった。


「野村さん、ありましたよ。このテーブルにあった、ほら」


 智也も箱を見つけ、野村に見せた。

 5つあるテーブルのうち3つに、くっついていたので、見ていないテーブルは、あと1つ。


 「また、テーブルに?じゃあ、こっちのテーブルを見てみよう」

 支配人と倉田チーフは、テーブルの下に潜った。

 そこで、ついに箱を見つけ、同時に手を伸ばしたら、互いの手が触れ合い、

「ひやっ!」「おっ」

 と、呟いて 手を引っ込めた。

 恥ずかしそうにしている2人。


「何やっているんですか?早く箱を取って中を開けて下さい。皆さん、もう、いませんよ」


 外崎がしゃがんでテーブルの下にいる2人に、無表情で言ったのだった。


「最上階に隠れし我は、緑となり……何だこれ?」

 箱に入っていた紙を読んだ支配人は首を傾げた。

「お2人とも遅れていますので、出発をして下さい。お願いします」

 …………………

 エレベーターに乗り込んだ3チームと柚花。


 新井さんが最上階の屋上ガーデンのボタンを押した。
 
 皆、押されたボタンを確認し、無言で乗っている。


 どうやら同じ場所に行くらしい。


 新井チームへの指令『最上階に隠れし我は金色となり』と書いてある紙を静香と2人で見ている。


 智也と野村も紙を見ている。

『最上階に隠れし我は、すみより下界を見下ろす』


 軽米と和希は、紙を見て、顔を見合わせてニヤニヤしている。

『最上階に隠れし我は、美人となり佇む』
 
何かわかったのだろうか?

 
「これ、何て読むか、わかる?」

 和希が軽米にこっそり聞いている。

 軽米は、恥ずかしそうに首を横に振った。


 ああ、そういうニヤニヤだったのか!

 エレベーターを降りたら、読み方を教えよう。


 チン!


 エレベーターの扉が開き、参加者達は屋上ガーデンに出た。


 柚花は、軽米に声を掛けた。


「その漢字が難しいんでしょ? 

 サービスして、教えてあげましょう。

 それは、佇む、たたずむって読むのよ」



「あっ、ありがとうございます。

 和希さん、和希さん、たたずむって読むんだって」


「えっ?じゃあ、美人となり佇むって、これだけがヒントってこと?

 わかるわけないじゃん!とにかく、美人を探そう」

 和希は、軽米の手を引き探しに行った。


「丸山さん、倉田チーフたちがいませんね」

 先に来ていた緑川が側へ来たのだ。


「あっ、外崎さんが連れて来ると思うから、大丈夫でしょ。それより、あのヒントで見つけられるかしら?

 皆んな、ガチでゲームに参加しているから……新井さんだけには、教えておいた方がいいと思うけど……」


 心配をしている柚花に緑川が言う。


「あんなに簡単なヒントなんだから、すぐにわかりますよ!

 これから、結婚をしようとする仲なのなら、協力して進めるはずですから!大丈夫です」


「そう?じゃあ、私、新井さんチームの様子をみてくるわね」


…………………

「新井さん、この文からすると、箱が金色という意味でしょうか?」

 静香が推理をすると、新井がすぐに答える。


「その可能性もあるけど、金色の隣という可能性もあるね。

 とにかく、金色の物を探してみよう」


「はい」

 静香は、新井が頼もしく思えたのだった。


「あっ、最上階に着いた!まだ、皆んないるでしょう?今度は、遅れないように頑張りましょう」

倉田チーフが言ったから、直ぐに支配人が言う。

「ああ、そうだな!私は、わかったんだ!

 緑となりだから、箱が緑色で、緑に同化しているって事じゃないかな?

 芝の中に箱があるのかも!探そう」


「えっ?あ、そうかも、そうしましょう」


 エレベーターを降りて、直ぐに自動ドアで外に出ると、風見鶏と時計のモニュメントが迎えてくれる。


 この屋上ガーデンは、全体に人工芝が敷き詰められて歩道には、レンガが敷いてあるが、小山になっている部分があって、小山の真ん中が通路で周辺には花が植えられている。

 その小山の下には、小さな池があり女神像が立っているが、大きな鉢に木が植えてあり、すんなりとは姿は見えない。

 木は、あちこちに置かれその側にはベンチが置かれていて、屋上であるから、もちろん周囲は、柵がされている。

 夜には、春までイルミネーションが点灯し、ここも また、カレンダホテルの人気スポットなのだった。

……………………

「ねえ、野村さん、下界を見下ろすって、どういう事だろう?

 あのモニュメントから見下ろすってことかな?」


 智也が野村に聞いたのだ。


「えっ、でも、この “すみより ”って、何でしょう?」


 野村の言葉に引っかかって、智也も考えた。


「あっ、もしかして、すみよりって、隅より見下ろすって意味かも」

 智也が言っても、同じ言葉を繰り返されただけだから、野村はポカンとしていた。


「あー、あった!」

 その時、突然、大きな声が聞こえて、一同は声のする方向へ集まったのだ。


「倉田チーフ、あったんですか?」


 野村が大きな声で聞いた。


「ええぇ!ハズレだって!何これ?

 ハズレの箱もあるのぉ?酷い。

 皆んな、ごめんね。違ったわ」

 支配人もガッカリとしている。
 

 ぶっ、ふふふ、静香が吹き出して笑った。

「ふふふ、なんだか、楽しいですね。ハズレだって、面白い。

 宝探しゲームなんて、初めてやりました。

 このホテルに来て、良かったです。

 誘ってくれて、ありがとうございます」


 静香からの言葉は、新井を俄然やる気にさせるのだった。


(この機会に、その敬語も 取っ払い、もっと心が通じあえれば……)


 そして、ふと見上げて見ると風見鶏が金色なのだと気がついた。


「静香ちゃん、これ、金色だ!このモニュメントの下とか、探そう!」


「えっ?はい、あー、ありました!柱の横にありました!でも、中はハズレかしら?」


 静香が新井に渡した。


「この番号を我に与えよ、我は待つ5963……」


 新井は、読んでみても何だかわからなかった。

 本当にプロポーズをする流れになっているのか不思議な気持ちになっていた。


 でも、今を、この人と楽しもう。

 この時を大切にしよう。

 「静香ちゃん、見つけたね!やった、見つけた!
凄いな、静香ちゃんが見つけたんだよ。

凄い、凄い、やったー!」


 新井と静香は、ハイタッチをして、喜んだ。


 その様子を見た外崎が、柚花と緑川に伝えたのだ。


 それから すぐに軽米チームが池にある女神像の手に載っていた宝箱を見つけた。


「女人を案内せよ。但し、我は女人だけを望む」


 軽米が読み上げたが、何だかサッパリ分からなかったのだ。


「俺は、君をどこかへ連れて行くんだよね?

 どこへ?何だこれ?」


 和希は、お手上げ状態となっていたのだった。


 一方、その頃、屋上の隅に目を付けた智也が、柵に行った。


「ビンゴ、野村さん、あったよ」


「あれ、本当だ……買い物袋に入れて、外側に向けて縛りつけてあるだけだ……。

 って、西崎さん、なんか、一個じゃないですよね?

 4コ、5コくらい、ありそうですよ。

 もしかして、ハズレがあるって事?マジかぁ」


 2人は、さっそく回収に取りかかるのだった。

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