ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

文字の大きさ
57 / 129
想いはどこへ

眠り姫にはなれない!

しおりを挟む
 智也は、その場から立ち去ることができず、ドアをそっと開けてみる。


 柚花は、靴を履いたままの状態で、玄関に座っていたから、ドアを開けられ 驚いた。


「えっ、何?」


「ごめん、柚花が心配で放っておけない」


 智也の優しさは、とても嬉しかったが、散らかった部屋を見られるのは、もっと嫌だと思い柚花は言う。


「だ、大丈夫だから、心配しなくていいよ。寝るだけなんだし……ふぅ。

部屋が散らかっていて、恥ずかしいし……。

だから、ねっ?歩きで悪いけど、帰っていいから。


 ……って、えっ、わっ、わっ!何?きゃっ!」


 そんな言葉を無視して、智也は柚花の靴を脱がせ、柚花を持ち上げ荷物を担ぐように、狭い通路を通って部屋へと連れて行く。


 やめて!

 体重がバレちゃう!恥ずかし過ぎる!


 ……とは、思うだけで言葉にはできなかったのだった。


 そして、智也は柚花を下ろしてから言う。


「はい、さあ、寝る準備をしなさい!
手を洗って、うがいもするんだよ」

 
「ふぅ、びっくりした、そんな重症じゃないから、心配しないで……」

 
 そう言う柚花をジロッと見て、智也が言う。

「俺が手を洗ってあげようか?」


「あ、自分でします。うがいもします。ふぅ。

お母さんみたいだ……」


 思わず柚花が呟いた。


 その言葉を聞いた智也がその気になって言う。

「そうですよ。今夜は あなたのお母さんになってあげます。薬はあるの?無ければ買ってくるから、車を貸してね」

智也は、母親風にしているつもりだ。


「ふふっ……薬は、その棚にあるから……ふぅ、買わなくても大丈夫。

 気遣ってくれて、ありがとう……。

 私は本当に大丈夫だから、帰っていいよ」


 柚花は、言いながら部屋に干してある洗濯物と着替えを持って、洗面所の中へ入って行った。


 すると智也から声がかかる。

 ボーッとする頭で、思い出しながら返事をしたのだった。


 柚花は、部屋着に着替えながら考える。


 智也さんは、私の事がそんなに心配なの?


 もしかして、私のことを?


 いや、いや、あり得ないでしょう。


 ただの世話好きな人なのかもな……。

 
 ああ、怠い……眠い。


とにかく、立っているのが辛いから、寝る準備をしよう。


 メイクを落としたし……はっ、すっぴんになってしまった……もう、いいや、鼻垂れ姿も見られているし、どうぞありのままを見るがいい!


柚花は、上下グレーのスウェットを着て智也の側に立ち聞いた。


「何をしているの?」


「今、ホットレモンを作っているから、ベッドの中で待っていて」


「えっ?あ、はい……」


 さっき、レモンと蜂蜜 ある?って聞いていたのは、この為だったのか。


 野菜室を見られた!

 ひー!綺麗にしておいて、良かった!

 てか、ほぼ空っぽの冷蔵庫なんですけどね。

ガス台下の扉も開けて、蜂蜜を見つけたんだ!

 ここも整理しておいて良かった!セーフ。

 
 柚花は、ベッドに横になる。


 もう、眠い、すごく眠い……。


「柚花、ホットレモンができたから飲んでみて」


 智也さんがマグカップを持ってきてくれた。


「ちょっと作ったから!レンジでチンしてみたけど、熱そうだから気をつけて」


「ありがとう、頂きます。ふーふーふー」
  

 ゴクリとホットレモンを飲む。

「あ、お……」


 そう言って、動きが停止した柚花。


「お?」(美味しいの“お”なのかな?)

 智也は、ワクワクしている。


「すっぺぇーええぇー、ゴホ、ゴホッ、ゴホッ」


 はっ!しまった……すっぺえ などと言ってしまった。下品だった、じゃなくて、正直な感想を言ってしまって、失敗しちゃったな……。


「え?酸っぱい?蜂蜜を入れたのになぁ。
そんなに酸っぱかったの?ごめんね」


「あ、ううん、ゴホッ、せっかく作ってくれたのに。

変なこと言ってごめんなさい。

これに お水を少しだけ入れて、レンジで温めると多分、丁度良い感じになると思うよ」


「そうか!実は、作ったのは初めてで。

風邪をひくと母親がホットレモンを作ってくれたから、柚花に飲ませてあげようと思ったんだけど、はあ、失敗しちゃったな。

レモン1個分を絞って、蜂蜜を入れただけじゃダメなのかー!

本当にごめんね」


 その後、智也は薄めたホットレモンを柚花に飲ませ、眠るように言った。


 君が眠ったら、鍵をかけて帰るから、鍵を借りて行くとも付け加えていた。

…………………

 智也は、熱冷ましのシートを柚花の額に貼る。

 そして、ネットで熱を下げるツボを探す。


 あー、眠い、どうしよう!


 でも、寝てはいけない!


 だって、私、イビキをかくらしいから……。


 元彼から指摘をされたことがあるもの……。


 だから、寝ちゃダメよ……


「…………んが、んがぁー……」


(あ、柚花が寝た!くっくっくっ、何て無防備な寝顔なんだ……。よし、そっと、ツボを押すぞ)


「えっと、親指の付け根の盛り上がっているところか……優しく押してみよう」


(熱が上がってきたのかな。柚花の手は随分、火照っているな……。

 それにしても、柚花は匠海のことを本当はどう思っているのだろうか?

 自分でも分からないとか言っていたけど、俺が入る隙間があるのだろうか)

 
 思わず、マッサージをしているてのひらに力が入ってしまった。


「う……ん」


(わ、起きちゃう?)

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

結婚する事に決めたから

KONAN
恋愛
私は既婚者です。 新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。 まずは、離婚してから行動を起こします。 主な登場人物 東條なお 似ている芸能人 ○原隼人さん 32歳既婚。 中学、高校はテニス部 電気工事の資格と実務経験あり。 車、バイク、船の免許を持っている。 現在、新聞販売店所長代理。 趣味はイカ釣り。 竹田みさき 似ている芸能人 ○野芽衣さん 32歳未婚、シングルマザー 医療事務 息子1人 親分(大島) 似ている芸能人 ○田新太さん 70代 施設の送迎運転手 板金屋(大倉) 似ている芸能人 ○藤大樹さん 23歳 介護助手 理学療法士になる為、勉強中 よっしー課長(吉本) 似ている芸能人 ○倉涼子さん 施設医療事務課長 登山が趣味 o谷事務長 ○重豊さん 施設医療事務事務長 腰痛持ち 池さん 似ている芸能人 ○田あき子さん 居宅部門管理者 看護師 下山さん(ともさん) 似ている芸能人 ○地真央さん 医療事務 息子と娘はテニス選手 t助 似ている芸能人 ○ツオくん(アニメ) 施設医療事務事務長 o谷事務長異動後の事務長 雄一郎 ゆういちろう 似ている芸能人 ○鹿央士さん 弟の同級生 中学テニス部 高校陸上部 大学帰宅部 髪の赤い看護師(川木えみ) 似ている芸能人 ○田來未さん 准看護師 ヤンキー 怖い

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅
恋愛
きみのことなんてしらないよ 関係ないし、興味もないな。 ただ一つ言えるのは 君と僕は一生一緒にいなくちゃならない事だけだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

処理中です...