ある日、突然 花嫁に!!

ひろろ

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想いはどこへ

予期せぬ事

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「匠海?何だか にぎやかな所だな。

声が小さいんだけど!俺の声は聞こえてるか?」


 西崎 智也は柚花を思い、匠海が今、どうしているのかを確かめている。


「智也、何?えっ?どこにいるのかって、聞いているのか?

今、ゲームセンターにいるよ!何?

誰と?だって?オオノと一緒にいる」


 以前、大野と智也と和希と一緒に遊んだ事があるから、匠海はそう答えたのだった。


 しかし、ゲームセンター内は、いろんな音がして賑やかで智也の声が聞き取りにくい。


 また、電波の調子が悪いらしく匠海の声も小さく聞き取れなかった。


「え?ゲーム?おんな?よく聞こえない!」

 智也が匠海の言った言葉を聞き返した。

「そうだよ!智也、何?なんか用?」

 微妙な感じの会話なのだが、柚花は智也が聞き返した言葉を聞いて確信したのだ。


 女?あっ、やっぱりあの子と一緒にいるのかぁ。

 賑やか?ゲーム?まさか、ゲームセンター?

 初対面の女性をゲーセンに連れて行っているの?

 それって どうなの?

 話しができる?大丈夫なの?

あれ?私ってば、たっ君を心配しているみたい……。
ヤキモチを焼いていたんじゃなかったのかな?
あれ?変だな。うーん。

 ふぅ。

 柚花は、そんな事を考えながら呼吸を整える。
 
 何だか、頭がぼーっとする。


 匠海から何の用だと聞かれた智也だったが、もう用は済んだ。


「あー、もういいよ。邪魔してごめん。

じゃあ、切るよ」


 電話を切って、柚花をチラリと見る。


 智也と目が合った柚花は、作り笑顔で言う。


「電話をかけてくれて、ありがとう。
もしかして、あの子とゲームセンターにいるの?」


(えっ?何で笑顔なの?)

 智也は、不思議に思った。

「あの子?かどうかは知らないけど、ゲームセンターにいるみたいだね。

凄く賑やかな音がしていたよ。

 柚花……大丈夫?」


 女性と一緒にいると知り、ショックを受けているのだろうと智也は思ったのだ。


「本当にゲームセンターにいたんだ……ふふっ。
それが、初デートってことなのかぁ。

 たっ君は、きっと熱帯魚がいるような素敵なレストランにでも、行っているのかなぁって勝手に思ってた……。

それに比べて、私はお邪魔虫扱いされて……。

私、可哀想じゃん……?って、あれ?

ふぅ、私、何 言ってんの?」


 柚花は、意味不明な事を口走っている自分に気がついた。


「えっと、柚花はどうして笑っていられるのかな?

俺は基本、女心がわからないからさ……。

行き先は関係なく、好きな人が他の女性といたら、ショックを受けるのかと思って……」



「ふぅ、うーん、私もよく分からない。でも、愛情とかというのと違う感じなのかな?

よくわかんないけど……。

夫婦を演じた“同志”って感じかな?ふぅ。

 何だか、同志に、先に恋人を作られそう!先を越されちゃう!って気分だったのかも?

変なライバル意識があったのかも?

だから、モヤモヤ、イライラしたのかな?

 ああ、もう何だかわからない!何も考えられなくなってきた……。

 ふぅ、身体が重くて、だるいし、きついわ……。

 もう、考えるの疲れた、めんどうなの」


 そう言って柚花は、ハンドルにかぶさるような姿勢となった。


「 大丈夫?柚花、具合が悪いの?」


 智也は、心配をして聞いた。


「う……ん、そうみたい」

 柚花は、姿勢はそのままに視線だけを智也に向けて言ったのだった。


「熱があるのかな?ちょっと、おでこ、貸して」

 智也は、柚花の額に手を当てる。


「あっ、ある!熱があるよ!大丈夫?」


 智也は、自分の額の体温と比べて言った。


「えっ、そう?大丈夫よ……じゃあ、帰りましょう」


 身体を起こして柚花が言うと、智也が車から降りて、運転席のドアを開けて言う。

「俺が運転を代るから、柚花の家まで案内して!」


「大丈夫だから、智也さんの家まで送るから、隣に乗って……ふぅ」

 
「ダメだよ。ほら、降りて」

 智也は、ハンドルを握る柚花の右手を取り、左肩を優しく包むように自分の手を置いて、車から出し助手席に乗せた。


「ごめんなさい、じゃあ、このまま、智也さんの自宅へと行ってね。
そこから私が運転して帰るから、ふぅ」


「了解、じゃあ、一応、聞いておくけど、何てアパート?部屋番号は?」


「スプラッシュ……202号……。カーナビ、自宅設定してあるけど、平気だから……。

 じゃあ、智也さんの家に向かって」


………………………


 「柚花、着いたんだけど……俺の家に着いたよ。
……やっぱ、寝ているのか……。

柚花、柚花……」


 智也は、柚花の寝姿を見つめた後、サイドブレーキを外し、再び、発進させたのだった。


(確か、部屋番号は202号と言っていたよな)


 智也は、スプラッシュの202の駐車場に柚花の車を停めた。


「柚花、柚花、家に着いたから起きて!

部屋に帰るんだよ。ちょっと起きて」


 智也の冷んやりした手が頬に触れた気がして、目を覚ます。


「うん?えっ?うち?」

 
 寝ぼけながらも、車から出て、智也に謝る。


「どうもすみません。智也さんの自宅まで遅れなくて、ごめんなさい、ふぅ。

ありがとうございました、おやすみなさい」


 柚花は、ふらつくように歩き出した。

 智也は、その姿を見守っていたが、柚花の腕を掴んで、一緒に階段を上って行く。


「えっ、わ、すみません。鍵、鍵、どこ?」

 柚花は、そう言って上着のポケットの中を探り、掴んだ鍵をドア前で落としてしまった。


 その鍵を拾った智也がドアを開けて、柚花を玄関の中に入れて言う。


「じゃあ、俺は帰るけど、大丈夫?」


「はい、本当にありがとうございました……ふぅ。

ごめんね……」


 パタン……


  智也は、玄関ドアを閉めた……。


(……ああ、ダメだ!放っておけない!)


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