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番外編
和希の物語 3
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ハッ!
ボーッとしている場合じゃない!
和希は後を追い、軽米が玄関ドアを押して出た瞬間、右手首を掴んだ。
「あっ!えっ?」
「まだ、帰らないで。中に入って」
軽米の手首を掴んだまま玄関の中に引き入れドアを閉め、鍵を掛けた。
和希に引っ張られて、よろけそうになった軽米の身体は、和希の片腕に捕らえられた格好となっている。
(きゃっ!片腕のバックハグ!こんな時でも、キュンときちゃう)
「手荒になってごめん。もう少し話を聞いほしい!部屋に入って」
軽米が部屋に入ってソファーに座ると、その隣に和希がくっつくように座った。
「あのさ、まだ話しの続きがあって……」
「えっ?まだ何かあるの?」
密着している身体が動かし難い軽米は、顔だけを横に向けて言うと、和希の顔が近すぎると感じた。
(あ、この顔!好きなんです……)
軽米がうっとりと見ていると、和希は真剣な顔をして話した。
「俺の実家は古くからある家なんだ……旧家ってことで、前沢家独特のこだわりみたいなものがあって、ちょっと面倒くさいと感じるかもしれない。
それと、土地を沢山所有していて、実は、しゃぶしゃぶの店も その周辺も、うちの土地なんだ……」
「は、しゃぶしゃぶの店?もしかして、もしかして、“鍋でっしゃろ”の所?」
「うん……あそこの建物は、うちが建てて貸し出しているんだ。
あの店のオーナーってこと」
それを聞いた軽米は、目を輝かせた。
「えー!食べ放題のお店のオーナー!
えー、夢みたいな話し!
じゃあ、もっとお店に行って、儲けさせてあげないとね!ふふふ」
うん?笑っているけど、面倒な家だと理解してくれただろうか?
もしかして、お嫁さんに来てくれる気になったのかな?
「アヤ……」
和希は、軽米を抱きしめ聞いてみる。
「俺に何処までもついて来てくれる?」
「え?その返事は、少し待ってほしいの」
ガーン!
まさか、結婚寸前で振られるのか?
軽米を解放した和希は、頭を抱えて項垂れている。
「ごめんなさい。私の方の都合で解決をしなければいけないことがあって、今日はその事を言いに来たの」
「えっ?何、どんな事?」
和希が軽米の両肩に手を掛け、自分の方に向かせた。
(うっ、結構、ウエストが捻れて苦しいですが……この顔には、うっとりとしちゃう……って、違う、違う)
「あ、うん、家族に交際を反対されてしまって……でもね、私が解決をするから、同居とかの話しも含めて、時間がほしいの。今日は、これで帰るね」
マジか?まだ紹介もされていないのに、反対って……。
前途多難の予感しかない!
……………………
翌日の夜。
和希は実家に来ていた。
「あら、和希さん、いい所へ帰っていらっしゃったわ。
あなたに縁談がきておりますのよ。
お爺様のご友人のお孫さんで、これがお写真よ。ご覧になって」
うわっ!
出たっ、見合い写真!
母が写真を差し出したが、俺は受け取りを拒否して話す。
「あっ、見なくて結構です。
お爺様には申し訳ないのですが、私には、結婚をしたい女性がいます。
父様、母様、お爺様に是非、会って頂きたいのです。
ですから、この縁談はお断り下さい」
和希は、きっぱりと断って、スッキリとした。
「却下だ!」
突然、父が言った。
「 ! 」
「この縁談のお相手は、お爺様のご友人のお孫さんなのだよ。
お爺様の顔に泥を塗る気なのか?
お見合いのお相手は、家柄、容姿、共に申し分のない方だ。
それにきちんと自立をしている立派なお嬢様だそうだ。
こちらから是非にと頼んだものを、断る事はあり得ない。
お見合いをしなさい。わかったな」
えー!結婚したい人がいるって言ったのに!めちゃくちゃな事を言う とんでもない父親だ!
「そうだぞ、和希。写真を見てみなさい、とても美しいお嬢さんだ。
会ってみれば、必ず、気にいるはずだろう。フッホッホッ。見合いをセッティングした、わしに感謝すること間違いなし!だな」
「お、お爺様……。あのぉ、私には恋人がいますから……」
「和希さん!いい加減になさい!
お見合いは、していただきます!
いいですね?場所は、ドーシロホテルですのよ。日取りが決まりましたら、お知らせしますから、都合をつけるのですよ!よろしいわね?」
……………………
あれから、アヤとは簡単なメッセージのやり取りのみで、会ってはいない。
アヤの実家に俺たちの交際を反対されているらしいが、その後どうなったのかも分からない。
しかも、同居の返事を保留にされたまま1週間になる。
これは、最悪の事態を想定しておくべきなのか?
最悪といえば、今日は俺にとって嫌な日だ……。
「はあ」
結局、ドーシロホテルに来てしまった……。
家族にゴリ押しされて、仕方なく来てみたが、きっぱりと断ることが決まっているだけに、相手の方に失礼過ぎて少々気が滅入ってくる。
もちろんお見合いの事は、アヤには秘密にしている。
バレたら破局にまっしぐらだろう。
現在、ホテルの最上階にあるラウンジに向かっている……。
ああ、面倒だなぁ。
そう思いつつ、和希は何気にお洒落に気を遣って来たのである。
お気に入りのライトグレーと白のチェックのスリムスーツに薄い水色シャツを着ていた。
「和希、さっさっと来んか。
男たる者、女性を待たせてはいかんぞ。
もっと、背筋を伸ばしてシャキッとせい!
こらっ、ネクタイが曲がっておる!」
和希は、ピンク寄りのパープルの中に、水玉のようなグレーのペーン柄のネクタイを締めていた。
祖父から注意をされた和希は、ネクタイの位置を直す。
「はい!お爺様。ネクタイは、これで宜しいですか?」
「うむ。良かろう」
祖父の友人が付き添いで来るという事で、こちらも祖父が付き添って来たのだ。
祖父の前で縁談を断る事は、とても勇気が必要だが、ここは男としてビシッと言わなければ!
頑張れ俺!
「お、まだ、来ておらんようだ。
良かった良かった。では、座って待つとしよう。
昔、わしの友人と、自分らの子ども達を結婚させようと約束をしたのだが、互いに男の子どもだったのでな。
それで、先日、久しぶりに会って話したら、独身の孫がいると知って、見合いをさせようということになったのだよ。
ああ、久々にワクワクしてくるわい。
フッホッホッ」
年相応に笑う彼の祖父は、見た目は若く80代には見えない。
多少のシワがあるが整った顔立ちで、腰は曲がってはいない。
さすがに和希よりは背は低いが、身長は高い方で、濃紺ストライプのスーツを素敵に着こなし、お洒落な黒フレームの眼鏡を掛けている。
父親似の和希は、祖父似でもあるのだった。
………………………
和希は、見合い相手が来るであろう入り口を見つめている。
どんな相手なんだろう?
やっぱり写真を見ておくべきだったか。
待っていると顔を想像してしまう。
美人と言っていたよな……。へへっ。
それは和希の気が緩んだ時だった。
「 はっ!」
えっ?やばい!アヤが入って来た!
なぜ、ここに?見合いがばれる!
これは、本当にピンチかもしれない!
なぜ、わざわざドーシロホテルに来たんだ?
ここは、下を向いて他人のフリをするしかない。どうか俺に気付きませんように!
「やあ、茂雄君、ここだ」
立ち上がって祖父が声を掛けた。
「 ! 」
祖父がアヤの方に向かって声を掛けたから、アヤがこちらを見た!
「おう、和夫君。今日はどうも」
アヤは、茂雄君と呼ばれた人と一緒に、俺のいるテーブルへと向かって来た。
アヤは、俺に気づいて目を丸くしているが、俺だってビックリしている。
「和希、こちらがわしの友人、軽米茂雄さんだ。
そして、お孫さんの彩香さんだ」
「はあ?お見合い相手?」
和希と軽米が同時に言った。
「どうした彩香、知り合いなのか?」
「はい、お爺様、この方が私の交際相手でございます」
えっ?アヤも自分の祖父をお爺様と呼んでいる!
実はお嬢様だったというのか?
「は?和希、本当のことなのか?
結婚をしたい相手というのは、こちらのお嬢さんだというのか?」
「はい!はい、その通りです。
紹介をしたかった彩香さんです……」
2人の祖父たちは、拍子抜けた状態となり席に着いた。
「何だ、わしらが引き合わせるまでもなかったか!
まあ、茂雄君、どの道めでたい事で良かったですな。フッホッホッ」
「そうですね。うちの彩香が結婚したい相手がいるから、縁談を断ると言って私は正直、困っておりましたよ。
でも、まさか、縁談相手が恋人だったなんて、私らは縁があるんですな」
「本当に驚いた。うちの和希も見合いはしないだのとゴネて、困っていましたよ。さて、ほっとしたら喉が乾いたな。
何か飲もうかの。
彩香さん、ケーキも召し上がってはどうかな?和希もどうだ?」
和夫が軽米に尋ねたら、代わりに茂雄が答える。
「ああ、和夫君、悪いが孫娘は、とても少食でな。
きっと食べられないだろうから、飲み物だけで構わないよ」
は?誰が少食だって?
アヤが少食?
和希は自分の耳を疑い、アヤをチラリと見た。
えっ、恥ずかしそうに微笑んで頷いている!
「お気遣い頂きありがとうございます。はい、わたくしは食が細いので飲み物だけで、結構でございます」
アヤ……マジか!
俺の前で、どの口が言っているんだ!
「へぇ……あ、私も飲み物だけにします」
軽米を見たまま和希も答えた。
……………………
4人は、コーヒーを飲んでいる。
「茂雄君、この縁談は大成功という事で、よろしいですね?」
和希の祖父が聞くと、軽米の祖父も返事をする。
「それは勿論、大成功ですよ。
既に恋人同士だったのですから、何も問題は無いでしょう。
それでは、我々は昔に戻って、遊びに行きませんか?」
「いいですね。昔に戻ってか……。
じゃあさ、シゲあの店に行ってみないか?ほら、よく行ってた甘味処!」
「えー、カズと行ってた甘味処?どこだっけ?うーん、思い出せない!
どこだろうな?あっ、わかったぞ!
あんみつが有名な“亀吉”のことか?」
突然、若かりし日に戻った祖父達は、仲良くタクシーに乗車し、ホテルを後にしたのだった。
2人を見送った和希と軽米は無言だ。
お互いに内緒でお見合いをしたという事は、紛れも無い事実である。
今、一緒にいて気まずい状態でいたのだった。
「アヤ、内緒でお見合いをしてごめんなさい」
和希が頭を下げて言った。
「いいえ、私こそ黙っていてごめんなさい」
軽米も頭を下げた。
今日のアヤは、いつもと雰囲気が違う。
ウエストの前でリボン結びをしている桜色の艶々ワンピースを着ているせいなのかもしれない……。
俺と会う時のアヤの姿は、結構、カジュアルな感じが多いから、今日の姿は新鮮だ。
いつもよりも一段と綺麗に感じる。
「アヤは、お嬢様だったのか……。
とても驚いた……。
まさか、お見合い相手だったなんて!
すっごい縁を感じる。俺たちは、出逢う運命だったんだな!」
「本当に私も驚いた。まさか、和希さんが相手だったなんて!どう断ろうか憂鬱な気分だったの。こんな事なら、写真を見ておけばよかったわ。
ふぅ。ホッとしたらお腹が減ってきちゃった」
それを聞いた和希は、軽米を二度見する。
その時、2人の前にタクシーが停車した。
祖父達をタクシー乗り場で見送っていたから、乗客と思われたらしい。
2人は慌てて駐車場に向かい、歩きながら話す。
「アヤって、少食なの?あの食欲が軽米家では少食という範囲となっているの?」
だとしたら、どんな大食漢一族なんだ!と恐ろしくなって確認した。
「違う!私の母が、食事は品良く優雅に召し上がるものだと厳しく言うから、面倒で、少ししか食べなくなったの。
それが、いつしか少食だと認識されたみたい。
でもね、一人暮らしをした私は自由だし、遠慮せず好きなだけ食べることができるから幸せなの」
「そうだったのか……。
それで、確認をするけど、このお見合いは大成功という事で、本当にいいの?
お嫁さんに来てくれるのでしょうか?」
和希は80パーセントくらいの自信を持って聞いてみた。
「あ、結婚はしたいと思うけど……。
同居となると相当の覚悟が必要だもの……。多分、私の実家と同じくらい厳しい しきたりとかがあるでしょ?」
「確かにあるけど!そんな しきたりは、俺がぶっ壊してやる!アヤがアヤらしく暮らせるようにしてやる!
そうだ、同居と言っても、広い敷地だから庭に家を建てよう!
今、結婚資金を貯めているところだけど、結婚式は無しにして家を建てる頭金にしようか?」
和希の言葉に軽米が冷静に返す。
「私達の実家には、結婚式を挙げないという選択肢は無いと思います」
「……だよなぁ」
軽米の言葉にガッカリとする和希だった。
「でもね、隣に家を建てて住むという同居もどきであれば、お嫁さんになってあげてもいいかも……。
但し、今、言った“俺がぶっ壊してやるとか、なんちゃらかんちゃら”のお言葉は、キチンと書面にして頂きます。
和希さん、宜しいですね?」
軽米は上から目線で軽く返事をしたが、本当は、泣きたくなるような覚悟を持って言ったのだった。
(なんちゃらかんちゃらの言葉なんて、役に立たない事くらいわかってる。
それでも、私を守ってくれる約束が目に見えるだけで、支えとなってくれるはずだから)
「ありがとう!
はい、喜んで書かせて頂きます」
それから、互いの車に乗り、軽米のアパートに和希が寄って、軽米を乗せてから自宅アパートへ行ったのだった。
「和希さん、私も貯金をしているからマイホームの資金にしようね。
では、この紙に先程の立派なお言葉を書いてもらいましょうか。どうぞ」
和希は、自分の言った言葉を思い出しながら、丁寧な文字で書いて軽米に渡した。
「あのぉ、マイホーム資金を貯めないといけない時に申し訳ないのですが、今度、丸山さんと一泊旅行の予定があって……お寺めぐりと食べ放題って企画を立てたので、ガッツリ食べ納めをしてくるね。
帰ってきたら、節約生活を始めまーす」
「へぇ、旅行かぁ。俺も一緒に行きたいな。
智也も誘って4人で行かない?」
「ダメ!独身最後の丸山さんとの思い出旅行なんだもの。
和希さんは、貯金をしていて下さい!
お土産話しをしてあげるから、お楽しみに」
アヤは、お土産ではなく“話し”と言った。
本気で貯金を考えているんだな。
嬉しい事だが、お嬢様とは思えないくらい節約生活をするつもりだろうか……。
これからの俺達は、いつも節約デートになるだろうけど、たまには“鍋でっしゃろ”に連れて行ってあげるからね。
「旅行を思いっきり楽しんでおいで!」
……………………
それから数ヶ月後のある日。
「智也が結婚をしたから、御祝儀で金が減った!はあー!
なかなか思うように貯まらない!
俺は、いつ正式にプロポーズが出来るのかな……」
和希が呟いていると、携帯の着信音がした。
「何だよ、新婚さん」
「和希、今晩、軽米さんと遊びに来いよ。つ、妻が待っているからさぁ。ぶっはっ、妻って言っちゃった。
また、連絡をくれ!じゃあな」
はあ?一方的に言って切ったな。
まだ、新婚旅行に行っていないのか!
あーあ、遊びに行くには手ぶらでは行けない。
金が出る……行かないにしようか。
今の和希は、とてもケチになっていた。
軽米の為に、ドケチになっていたのだった。
「智也、お邪魔しに来たよー!
アヤが言うから、和牛肉買ってきたよー!すっごい高かったんだぞっ」
アヤが実家にある骨董品、何とかドールとかいうのを今度売るから、その代わりに肉を買ってって、言ったんだよなぁ。
しかも、以前、丸山さん、いや柚花さんと行った旅行先に売りに行くと言っている……。
それ、お金が出て行くだろう?
はあ、俺は、いつになったら結婚ができるのかな?
顔で笑って、心で泣いている和希なのだった。
ボーッとしている場合じゃない!
和希は後を追い、軽米が玄関ドアを押して出た瞬間、右手首を掴んだ。
「あっ!えっ?」
「まだ、帰らないで。中に入って」
軽米の手首を掴んだまま玄関の中に引き入れドアを閉め、鍵を掛けた。
和希に引っ張られて、よろけそうになった軽米の身体は、和希の片腕に捕らえられた格好となっている。
(きゃっ!片腕のバックハグ!こんな時でも、キュンときちゃう)
「手荒になってごめん。もう少し話を聞いほしい!部屋に入って」
軽米が部屋に入ってソファーに座ると、その隣に和希がくっつくように座った。
「あのさ、まだ話しの続きがあって……」
「えっ?まだ何かあるの?」
密着している身体が動かし難い軽米は、顔だけを横に向けて言うと、和希の顔が近すぎると感じた。
(あ、この顔!好きなんです……)
軽米がうっとりと見ていると、和希は真剣な顔をして話した。
「俺の実家は古くからある家なんだ……旧家ってことで、前沢家独特のこだわりみたいなものがあって、ちょっと面倒くさいと感じるかもしれない。
それと、土地を沢山所有していて、実は、しゃぶしゃぶの店も その周辺も、うちの土地なんだ……」
「は、しゃぶしゃぶの店?もしかして、もしかして、“鍋でっしゃろ”の所?」
「うん……あそこの建物は、うちが建てて貸し出しているんだ。
あの店のオーナーってこと」
それを聞いた軽米は、目を輝かせた。
「えー!食べ放題のお店のオーナー!
えー、夢みたいな話し!
じゃあ、もっとお店に行って、儲けさせてあげないとね!ふふふ」
うん?笑っているけど、面倒な家だと理解してくれただろうか?
もしかして、お嫁さんに来てくれる気になったのかな?
「アヤ……」
和希は、軽米を抱きしめ聞いてみる。
「俺に何処までもついて来てくれる?」
「え?その返事は、少し待ってほしいの」
ガーン!
まさか、結婚寸前で振られるのか?
軽米を解放した和希は、頭を抱えて項垂れている。
「ごめんなさい。私の方の都合で解決をしなければいけないことがあって、今日はその事を言いに来たの」
「えっ?何、どんな事?」
和希が軽米の両肩に手を掛け、自分の方に向かせた。
(うっ、結構、ウエストが捻れて苦しいですが……この顔には、うっとりとしちゃう……って、違う、違う)
「あ、うん、家族に交際を反対されてしまって……でもね、私が解決をするから、同居とかの話しも含めて、時間がほしいの。今日は、これで帰るね」
マジか?まだ紹介もされていないのに、反対って……。
前途多難の予感しかない!
……………………
翌日の夜。
和希は実家に来ていた。
「あら、和希さん、いい所へ帰っていらっしゃったわ。
あなたに縁談がきておりますのよ。
お爺様のご友人のお孫さんで、これがお写真よ。ご覧になって」
うわっ!
出たっ、見合い写真!
母が写真を差し出したが、俺は受け取りを拒否して話す。
「あっ、見なくて結構です。
お爺様には申し訳ないのですが、私には、結婚をしたい女性がいます。
父様、母様、お爺様に是非、会って頂きたいのです。
ですから、この縁談はお断り下さい」
和希は、きっぱりと断って、スッキリとした。
「却下だ!」
突然、父が言った。
「 ! 」
「この縁談のお相手は、お爺様のご友人のお孫さんなのだよ。
お爺様の顔に泥を塗る気なのか?
お見合いのお相手は、家柄、容姿、共に申し分のない方だ。
それにきちんと自立をしている立派なお嬢様だそうだ。
こちらから是非にと頼んだものを、断る事はあり得ない。
お見合いをしなさい。わかったな」
えー!結婚したい人がいるって言ったのに!めちゃくちゃな事を言う とんでもない父親だ!
「そうだぞ、和希。写真を見てみなさい、とても美しいお嬢さんだ。
会ってみれば、必ず、気にいるはずだろう。フッホッホッ。見合いをセッティングした、わしに感謝すること間違いなし!だな」
「お、お爺様……。あのぉ、私には恋人がいますから……」
「和希さん!いい加減になさい!
お見合いは、していただきます!
いいですね?場所は、ドーシロホテルですのよ。日取りが決まりましたら、お知らせしますから、都合をつけるのですよ!よろしいわね?」
……………………
あれから、アヤとは簡単なメッセージのやり取りのみで、会ってはいない。
アヤの実家に俺たちの交際を反対されているらしいが、その後どうなったのかも分からない。
しかも、同居の返事を保留にされたまま1週間になる。
これは、最悪の事態を想定しておくべきなのか?
最悪といえば、今日は俺にとって嫌な日だ……。
「はあ」
結局、ドーシロホテルに来てしまった……。
家族にゴリ押しされて、仕方なく来てみたが、きっぱりと断ることが決まっているだけに、相手の方に失礼過ぎて少々気が滅入ってくる。
もちろんお見合いの事は、アヤには秘密にしている。
バレたら破局にまっしぐらだろう。
現在、ホテルの最上階にあるラウンジに向かっている……。
ああ、面倒だなぁ。
そう思いつつ、和希は何気にお洒落に気を遣って来たのである。
お気に入りのライトグレーと白のチェックのスリムスーツに薄い水色シャツを着ていた。
「和希、さっさっと来んか。
男たる者、女性を待たせてはいかんぞ。
もっと、背筋を伸ばしてシャキッとせい!
こらっ、ネクタイが曲がっておる!」
和希は、ピンク寄りのパープルの中に、水玉のようなグレーのペーン柄のネクタイを締めていた。
祖父から注意をされた和希は、ネクタイの位置を直す。
「はい!お爺様。ネクタイは、これで宜しいですか?」
「うむ。良かろう」
祖父の友人が付き添いで来るという事で、こちらも祖父が付き添って来たのだ。
祖父の前で縁談を断る事は、とても勇気が必要だが、ここは男としてビシッと言わなければ!
頑張れ俺!
「お、まだ、来ておらんようだ。
良かった良かった。では、座って待つとしよう。
昔、わしの友人と、自分らの子ども達を結婚させようと約束をしたのだが、互いに男の子どもだったのでな。
それで、先日、久しぶりに会って話したら、独身の孫がいると知って、見合いをさせようということになったのだよ。
ああ、久々にワクワクしてくるわい。
フッホッホッ」
年相応に笑う彼の祖父は、見た目は若く80代には見えない。
多少のシワがあるが整った顔立ちで、腰は曲がってはいない。
さすがに和希よりは背は低いが、身長は高い方で、濃紺ストライプのスーツを素敵に着こなし、お洒落な黒フレームの眼鏡を掛けている。
父親似の和希は、祖父似でもあるのだった。
………………………
和希は、見合い相手が来るであろう入り口を見つめている。
どんな相手なんだろう?
やっぱり写真を見ておくべきだったか。
待っていると顔を想像してしまう。
美人と言っていたよな……。へへっ。
それは和希の気が緩んだ時だった。
「 はっ!」
えっ?やばい!アヤが入って来た!
なぜ、ここに?見合いがばれる!
これは、本当にピンチかもしれない!
なぜ、わざわざドーシロホテルに来たんだ?
ここは、下を向いて他人のフリをするしかない。どうか俺に気付きませんように!
「やあ、茂雄君、ここだ」
立ち上がって祖父が声を掛けた。
「 ! 」
祖父がアヤの方に向かって声を掛けたから、アヤがこちらを見た!
「おう、和夫君。今日はどうも」
アヤは、茂雄君と呼ばれた人と一緒に、俺のいるテーブルへと向かって来た。
アヤは、俺に気づいて目を丸くしているが、俺だってビックリしている。
「和希、こちらがわしの友人、軽米茂雄さんだ。
そして、お孫さんの彩香さんだ」
「はあ?お見合い相手?」
和希と軽米が同時に言った。
「どうした彩香、知り合いなのか?」
「はい、お爺様、この方が私の交際相手でございます」
えっ?アヤも自分の祖父をお爺様と呼んでいる!
実はお嬢様だったというのか?
「は?和希、本当のことなのか?
結婚をしたい相手というのは、こちらのお嬢さんだというのか?」
「はい!はい、その通りです。
紹介をしたかった彩香さんです……」
2人の祖父たちは、拍子抜けた状態となり席に着いた。
「何だ、わしらが引き合わせるまでもなかったか!
まあ、茂雄君、どの道めでたい事で良かったですな。フッホッホッ」
「そうですね。うちの彩香が結婚したい相手がいるから、縁談を断ると言って私は正直、困っておりましたよ。
でも、まさか、縁談相手が恋人だったなんて、私らは縁があるんですな」
「本当に驚いた。うちの和希も見合いはしないだのとゴネて、困っていましたよ。さて、ほっとしたら喉が乾いたな。
何か飲もうかの。
彩香さん、ケーキも召し上がってはどうかな?和希もどうだ?」
和夫が軽米に尋ねたら、代わりに茂雄が答える。
「ああ、和夫君、悪いが孫娘は、とても少食でな。
きっと食べられないだろうから、飲み物だけで構わないよ」
は?誰が少食だって?
アヤが少食?
和希は自分の耳を疑い、アヤをチラリと見た。
えっ、恥ずかしそうに微笑んで頷いている!
「お気遣い頂きありがとうございます。はい、わたくしは食が細いので飲み物だけで、結構でございます」
アヤ……マジか!
俺の前で、どの口が言っているんだ!
「へぇ……あ、私も飲み物だけにします」
軽米を見たまま和希も答えた。
……………………
4人は、コーヒーを飲んでいる。
「茂雄君、この縁談は大成功という事で、よろしいですね?」
和希の祖父が聞くと、軽米の祖父も返事をする。
「それは勿論、大成功ですよ。
既に恋人同士だったのですから、何も問題は無いでしょう。
それでは、我々は昔に戻って、遊びに行きませんか?」
「いいですね。昔に戻ってか……。
じゃあさ、シゲあの店に行ってみないか?ほら、よく行ってた甘味処!」
「えー、カズと行ってた甘味処?どこだっけ?うーん、思い出せない!
どこだろうな?あっ、わかったぞ!
あんみつが有名な“亀吉”のことか?」
突然、若かりし日に戻った祖父達は、仲良くタクシーに乗車し、ホテルを後にしたのだった。
2人を見送った和希と軽米は無言だ。
お互いに内緒でお見合いをしたという事は、紛れも無い事実である。
今、一緒にいて気まずい状態でいたのだった。
「アヤ、内緒でお見合いをしてごめんなさい」
和希が頭を下げて言った。
「いいえ、私こそ黙っていてごめんなさい」
軽米も頭を下げた。
今日のアヤは、いつもと雰囲気が違う。
ウエストの前でリボン結びをしている桜色の艶々ワンピースを着ているせいなのかもしれない……。
俺と会う時のアヤの姿は、結構、カジュアルな感じが多いから、今日の姿は新鮮だ。
いつもよりも一段と綺麗に感じる。
「アヤは、お嬢様だったのか……。
とても驚いた……。
まさか、お見合い相手だったなんて!
すっごい縁を感じる。俺たちは、出逢う運命だったんだな!」
「本当に私も驚いた。まさか、和希さんが相手だったなんて!どう断ろうか憂鬱な気分だったの。こんな事なら、写真を見ておけばよかったわ。
ふぅ。ホッとしたらお腹が減ってきちゃった」
それを聞いた和希は、軽米を二度見する。
その時、2人の前にタクシーが停車した。
祖父達をタクシー乗り場で見送っていたから、乗客と思われたらしい。
2人は慌てて駐車場に向かい、歩きながら話す。
「アヤって、少食なの?あの食欲が軽米家では少食という範囲となっているの?」
だとしたら、どんな大食漢一族なんだ!と恐ろしくなって確認した。
「違う!私の母が、食事は品良く優雅に召し上がるものだと厳しく言うから、面倒で、少ししか食べなくなったの。
それが、いつしか少食だと認識されたみたい。
でもね、一人暮らしをした私は自由だし、遠慮せず好きなだけ食べることができるから幸せなの」
「そうだったのか……。
それで、確認をするけど、このお見合いは大成功という事で、本当にいいの?
お嫁さんに来てくれるのでしょうか?」
和希は80パーセントくらいの自信を持って聞いてみた。
「あ、結婚はしたいと思うけど……。
同居となると相当の覚悟が必要だもの……。多分、私の実家と同じくらい厳しい しきたりとかがあるでしょ?」
「確かにあるけど!そんな しきたりは、俺がぶっ壊してやる!アヤがアヤらしく暮らせるようにしてやる!
そうだ、同居と言っても、広い敷地だから庭に家を建てよう!
今、結婚資金を貯めているところだけど、結婚式は無しにして家を建てる頭金にしようか?」
和希の言葉に軽米が冷静に返す。
「私達の実家には、結婚式を挙げないという選択肢は無いと思います」
「……だよなぁ」
軽米の言葉にガッカリとする和希だった。
「でもね、隣に家を建てて住むという同居もどきであれば、お嫁さんになってあげてもいいかも……。
但し、今、言った“俺がぶっ壊してやるとか、なんちゃらかんちゃら”のお言葉は、キチンと書面にして頂きます。
和希さん、宜しいですね?」
軽米は上から目線で軽く返事をしたが、本当は、泣きたくなるような覚悟を持って言ったのだった。
(なんちゃらかんちゃらの言葉なんて、役に立たない事くらいわかってる。
それでも、私を守ってくれる約束が目に見えるだけで、支えとなってくれるはずだから)
「ありがとう!
はい、喜んで書かせて頂きます」
それから、互いの車に乗り、軽米のアパートに和希が寄って、軽米を乗せてから自宅アパートへ行ったのだった。
「和希さん、私も貯金をしているからマイホームの資金にしようね。
では、この紙に先程の立派なお言葉を書いてもらいましょうか。どうぞ」
和希は、自分の言った言葉を思い出しながら、丁寧な文字で書いて軽米に渡した。
「あのぉ、マイホーム資金を貯めないといけない時に申し訳ないのですが、今度、丸山さんと一泊旅行の予定があって……お寺めぐりと食べ放題って企画を立てたので、ガッツリ食べ納めをしてくるね。
帰ってきたら、節約生活を始めまーす」
「へぇ、旅行かぁ。俺も一緒に行きたいな。
智也も誘って4人で行かない?」
「ダメ!独身最後の丸山さんとの思い出旅行なんだもの。
和希さんは、貯金をしていて下さい!
お土産話しをしてあげるから、お楽しみに」
アヤは、お土産ではなく“話し”と言った。
本気で貯金を考えているんだな。
嬉しい事だが、お嬢様とは思えないくらい節約生活をするつもりだろうか……。
これからの俺達は、いつも節約デートになるだろうけど、たまには“鍋でっしゃろ”に連れて行ってあげるからね。
「旅行を思いっきり楽しんでおいで!」
……………………
それから数ヶ月後のある日。
「智也が結婚をしたから、御祝儀で金が減った!はあー!
なかなか思うように貯まらない!
俺は、いつ正式にプロポーズが出来るのかな……」
和希が呟いていると、携帯の着信音がした。
「何だよ、新婚さん」
「和希、今晩、軽米さんと遊びに来いよ。つ、妻が待っているからさぁ。ぶっはっ、妻って言っちゃった。
また、連絡をくれ!じゃあな」
はあ?一方的に言って切ったな。
まだ、新婚旅行に行っていないのか!
あーあ、遊びに行くには手ぶらでは行けない。
金が出る……行かないにしようか。
今の和希は、とてもケチになっていた。
軽米の為に、ドケチになっていたのだった。
「智也、お邪魔しに来たよー!
アヤが言うから、和牛肉買ってきたよー!すっごい高かったんだぞっ」
アヤが実家にある骨董品、何とかドールとかいうのを今度売るから、その代わりに肉を買ってって、言ったんだよなぁ。
しかも、以前、丸山さん、いや柚花さんと行った旅行先に売りに行くと言っている……。
それ、お金が出て行くだろう?
はあ、俺は、いつになったら結婚ができるのかな?
顔で笑って、心で泣いている和希なのだった。
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