アルビノ少女と白き真炎龍《ヴェーラフラモドラコ》〜家の近くの森で絶滅したはずの龍を見つけたので、私このまま旅にでます〜

「ハァハァハア……ンッッ! ッ、カハッ……ハッハアッハァ――」

 なんで、なんでこんなに頑張ってるんだっけ……。疲れちゃった、足だってもう限界だ、もう走るのなんてやめてしまおうか……。そうだ、もう捕まっちゃってもいいじゃないか、だってもうこんなにも疲れているんだもの……だからもう……――。

「キュウキュゥ――」

 い、いや、私は何を考えてるんだ! そんなことしたらこの子だって一緒に捕まってしまう! 私だけ、私だけならいい! でもいま捕まったらこの子も、この子も一緒に……! それは、それだけは絶対にダメだ! この子だって、この子だって頑張っているんだ! なのに私が頑張らなくてどうするんだ! いまだけ、いまだけは絶対に捕まっちゃいけないんだ! なら頑張らないと。いまだ、いまだけでいい、たったいまだけでもいいから、頑張ろう……。この子と一緒に逃げきるんだ……この子と一緒に、必ず――。

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 フラウギス宗主国の辺境貴族フォーサイス家の一人娘、エレノア=アルバニア=フォーサイス。

 彼女の夢はいつか家を出て世界を巡りそのことを書き留めた本を出すこと。

 しかし厳しい父や母がそんなことを許すはずもなく、今日も彼女は世界一周への思いを募らせるばかり。

 そんなある日の夜、自身の子をめぐって龍と龍が戦う夢を見た。

 あまりの衝撃に、早速見た夢を文章に起こし、形として残してみることに。

 しかし、執筆が、特に情景描写がなかなかうまく書けず、取材と気分転換を兼ねて家出を決行。

 裏庭の奥に広がる森を探索していたら、突如頭の中に不思議な声が響いた。

 頭の中に響く声に導かれるがままに森を進んで行くと、そこには絶滅したはずの龍の卵があった。
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