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初めまして……な1人目の攻略対象(幼なじみ)の好感度が、初っ端から滅茶苦茶高いんだが?
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制服に着替えた俺は、早速、学園に向かうため準備を始めた。元々の主人公が、学園近くの寮に住んでいる……という設定のおかげで遅刻の心配は無さそうだ。
簡単な朝食をとり、必要なものを鞄にまとめていざ玄関に向かおうとした時、チャイムが鳴った。
……ゲームでこんなイベントあったか?
不思議に思いながら鍵を外し、ドアノブを捻る。すると目の前には、赤い短髪が鮮やかな、がたいのいい青年が、にこりと人の良さそうな笑みを浮かべて立っていた。
にかっと開いた口から覗く八重歯が精悍な顔つきに対してあどけなく見え、俺の心を鷲掴みにしてくる。
カッコよくて可愛いとか最強かよ。てか、このビジュアルはまさか……
高鳴る胸を押さえながら、青年の顔を見上げる。かち合った、髪と同じ赤い瞳が嬉しそうに細められた。
「おはよう相棒! 迎えに来たぜ!」
再びにかっと笑いながら、大きな手で俺の頭をわしゃわしゃと無遠慮にかきまぜてくる。
この容姿に、この態度……間違いない。彼は、攻略対象の一人。幼なじみのダンだ。
しかし、妙だな……朝のお迎えイベントは、ある程度好感度が上がってから……のはずだ。
いくら幼なじみのダンが、他のキャラよりデフォルトで好感度が高めだからとはいえ、最初はレベル2のはず……
ましてや、相棒呼びって……レベル4以上じゃないと変化しなかったはずでは?
……このゲーム内では、好感度に5段階のレベルがある。
キャラと出会うと知人から始まり、友人(ダンは幼なじみなので、最初からこれ)、親友、親友以上恋人未満、最大までいくと晴れて恋人となるんだ。
因みに各キャラのルートを「恋人」でクリアすると、隠しでハーレムルートというなの友情ルートが出現する。
ただ、全キャラレベル4をキープし続けた状態でのクリアが条件なのでかなり厳しい。ランダムに起こるイベントによって、急に上がったり下がったりするからなぁ……
でも、この皆でわちゃわちゃ青春するルートが俺は一番好きだったりする。3人とも大好きだからな。誰か一人だけ選ぶとか無理すぎる。
まぁ……たまには推し達と恋人ルートでイチャイチャしたいけどさ。
ぼんやりと彼のなすがままに、髪の毛をない混ぜにされ続けていたからだろう。不思議に思ったのか、少し屈んで俺の顔を覗き込んできた。
「どうした? ぼーっとして。緊張して昨日眠れなかったのか?」
……顔が近い!! ってゆーか顔が良い。ちょっと小首傾げてるの可愛い。
推しが俺の体調を気遣ってくれている……優しい。何だ? 今日、死ぬのか? 俺は。
「本当に大丈夫か? 顔、真っ赤だぞ? ……もしかして、熱でもあんのか?」
カッコいい顔をくしゃりと歪めるほど、ダンが俺のことを心配してくれている。そんな幸せ過ぎる現状を噛み締めまくっていたせいだ。
うんともすんとも言わない俺に焦ったダンが、俺の前髪をかき上げ、おでこをコツンと合わせてきた。
あーやめて下さい! 視界一杯に、推しのご尊顔が!!
心臓に悪いです!! 意外と睫毛長いんですね! やっぱり睫毛も赤いんですね!
カッコいいですね!!! ……殺すきですか?
「んー……やっぱり、ちょっと熱あるんじゃないか? 大丈夫か? 入学式だから休むのはなー……先生に言って、式だけ出て早退するか?」
「……! いっいや、大丈夫だよ! 心配してくれてありがとな」
危うく、入学前に尊死するところだったな。まだ先輩にも、先生にも、モブ子ちゃんにも会えてないし……魔法だって使ってみたいのに。
推し達と青春を謳歌したいのに! こんな調子じゃ、命がいくつあってもたらんぞ!!
「本当に大丈夫か? 何かあったら、すぐに俺に言うんだぞ? 抱っこして、保健室まで運んでやるからな!」
……抱っことか止めて下さい。嬉しすぎて死んでしまいます。
だって、あの逞しい腕に抱かれてみろよ! 一発だよ! 雄っぱい目の前やぞ!
あー……そんな頭ぽんぽんしないで下さい。笑顔が眩しいですね! 以下略。
その後、登校中……何度も推しからのハートキャッチ(物理)を受けながらも、何とか俺は学園にたどり着いた。
本当に、ナチュラルに肩組んでくるのとか止めて欲しい。顔近いし、当たってるんだよなぁ……逞しい雄っぱいが。
……いや、もしかして当ててんのか? やっぱり、殺すきですか?
簡単な朝食をとり、必要なものを鞄にまとめていざ玄関に向かおうとした時、チャイムが鳴った。
……ゲームでこんなイベントあったか?
不思議に思いながら鍵を外し、ドアノブを捻る。すると目の前には、赤い短髪が鮮やかな、がたいのいい青年が、にこりと人の良さそうな笑みを浮かべて立っていた。
にかっと開いた口から覗く八重歯が精悍な顔つきに対してあどけなく見え、俺の心を鷲掴みにしてくる。
カッコよくて可愛いとか最強かよ。てか、このビジュアルはまさか……
高鳴る胸を押さえながら、青年の顔を見上げる。かち合った、髪と同じ赤い瞳が嬉しそうに細められた。
「おはよう相棒! 迎えに来たぜ!」
再びにかっと笑いながら、大きな手で俺の頭をわしゃわしゃと無遠慮にかきまぜてくる。
この容姿に、この態度……間違いない。彼は、攻略対象の一人。幼なじみのダンだ。
しかし、妙だな……朝のお迎えイベントは、ある程度好感度が上がってから……のはずだ。
いくら幼なじみのダンが、他のキャラよりデフォルトで好感度が高めだからとはいえ、最初はレベル2のはず……
ましてや、相棒呼びって……レベル4以上じゃないと変化しなかったはずでは?
……このゲーム内では、好感度に5段階のレベルがある。
キャラと出会うと知人から始まり、友人(ダンは幼なじみなので、最初からこれ)、親友、親友以上恋人未満、最大までいくと晴れて恋人となるんだ。
因みに各キャラのルートを「恋人」でクリアすると、隠しでハーレムルートというなの友情ルートが出現する。
ただ、全キャラレベル4をキープし続けた状態でのクリアが条件なのでかなり厳しい。ランダムに起こるイベントによって、急に上がったり下がったりするからなぁ……
でも、この皆でわちゃわちゃ青春するルートが俺は一番好きだったりする。3人とも大好きだからな。誰か一人だけ選ぶとか無理すぎる。
まぁ……たまには推し達と恋人ルートでイチャイチャしたいけどさ。
ぼんやりと彼のなすがままに、髪の毛をない混ぜにされ続けていたからだろう。不思議に思ったのか、少し屈んで俺の顔を覗き込んできた。
「どうした? ぼーっとして。緊張して昨日眠れなかったのか?」
……顔が近い!! ってゆーか顔が良い。ちょっと小首傾げてるの可愛い。
推しが俺の体調を気遣ってくれている……優しい。何だ? 今日、死ぬのか? 俺は。
「本当に大丈夫か? 顔、真っ赤だぞ? ……もしかして、熱でもあんのか?」
カッコいい顔をくしゃりと歪めるほど、ダンが俺のことを心配してくれている。そんな幸せ過ぎる現状を噛み締めまくっていたせいだ。
うんともすんとも言わない俺に焦ったダンが、俺の前髪をかき上げ、おでこをコツンと合わせてきた。
あーやめて下さい! 視界一杯に、推しのご尊顔が!!
心臓に悪いです!! 意外と睫毛長いんですね! やっぱり睫毛も赤いんですね!
カッコいいですね!!! ……殺すきですか?
「んー……やっぱり、ちょっと熱あるんじゃないか? 大丈夫か? 入学式だから休むのはなー……先生に言って、式だけ出て早退するか?」
「……! いっいや、大丈夫だよ! 心配してくれてありがとな」
危うく、入学前に尊死するところだったな。まだ先輩にも、先生にも、モブ子ちゃんにも会えてないし……魔法だって使ってみたいのに。
推し達と青春を謳歌したいのに! こんな調子じゃ、命がいくつあってもたらんぞ!!
「本当に大丈夫か? 何かあったら、すぐに俺に言うんだぞ? 抱っこして、保健室まで運んでやるからな!」
……抱っことか止めて下さい。嬉しすぎて死んでしまいます。
だって、あの逞しい腕に抱かれてみろよ! 一発だよ! 雄っぱい目の前やぞ!
あー……そんな頭ぽんぽんしないで下さい。笑顔が眩しいですね! 以下略。
その後、登校中……何度も推しからのハートキャッチ(物理)を受けながらも、何とか俺は学園にたどり着いた。
本当に、ナチュラルに肩組んでくるのとか止めて欲しい。顔近いし、当たってるんだよなぁ……逞しい雄っぱいが。
……いや、もしかして当ててんのか? やっぱり、殺すきですか?
応援ありがとうございます!
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