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国境へ
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門のところに行くと既に二人がいて、待ってくれていた。
「ガリウス先輩。キーカル先輩。遅くなってすみません」
「いや。急に言われたからね。仕方ないよ。俺達も今来たところだし」
「ああ。それより早く行くぞ。ここから国境となるとどれだけ頑張っても二日はかかる。夜は下宿先も見つけなければならないし悠長にしている暇はないぞ」
キーカル先輩の言った通りここから国境までは馬を乗り継いだりして、最大限急いでも二日はかかる。でも当然ながら馬は疲れるし都合よく馬借ができるところなんてそう多くはない。そう考えると、大体三日~四日はかかるだろう。
持ち物の確認だけしてすぐに出発する。
基本的に私は2人の後ろをついていくだけなので、馬を走らせることに集中できる。いくら慣れてきたとはいえ、まだ馬との信頼関係は完成していない。たまにではあるが、言うことを聞いてくれないこともある。だから進路を考えなくてもいいのはかなり助かる。だからこそ、失敗は許されないのだが。
先輩達は迷いもなく進んでいく。勿論国境に行くのが初めてというわけではないだろうが、それでも地図も見ずに進めるのは流石としか言いようがない。
出発して暫くが経った。もうすぐで王都を出ることができるのだが、昼御飯を食べていないせいで体力の消耗が激しい。一応食料は持ってきたものの食べるタイミングが全然ない。片手操縦できる技術は持っていないしどうしたものか…
「…ライ、お腹空いた?」
「?いえ。全然まだ大丈夫です」
「「はあ…」」
計ったかのようにガリウス先輩が聞いてくるものだからビックリした。
お腹は空きまくっているが休憩している暇なんてないので、大丈夫だとアピールをしたら、なぜか二人に溜め息をつかれた。
「あのなぁ…腹が空いては戦ができぬって言うだろ?別にお腹空くのは当たり前なんだから、強がってんじゃねぇよ」
「そうそう!集合場所、昼御飯も食べずに来てくれたんでしょ?よくここまで我慢したよって感じだよ」
我慢と言うより…体力の消耗が激しくて嫌だな、と思っただけでお腹空いたという感覚はないんだよな…というより、奴隷時代は一日に一食すらも怪しい状況だったのでお腹が空いているという状況が当たり前だったんだよな…
まあそんなこと言うわけにもいかないから、反論せずに肯定しておく。そのまま流れで休憩になった。
昼御飯代わりに持ってきたのは、サンドウィッチ。その中でも、カツサンドを持ってきた。
サンドウィッチは五年前から急に流行り始めた食べ物で、北方の国のある人物が編み出した食べ物だ。
その人物はサンドウィッチ以外にも、うどんやカレーなど今では一般的料理として食べられるものを作った人物で、噂によると《異世界人》だとか。
その人物は国の保護を受けているため素性を知っている人は殆どいないようで、《異世界人》だという説はあながち間違っていないのではと思っている。
そんなことを思いながらも昼御飯を食べ、また出発する。
ターリスク王国はここら辺の国では珍しい、山々が王都とその周辺の街を囲んでいる地形でその山々を抜けるためにかなりの時間を使う。
勿論すぐに抜けられる抜け道みたいなのはあるのでそこを使っているのだが…途轍もなく狭いのだ。どのくらいかというと馬一匹通すのが精一杯、というぐらいだ。
これにはちゃんと理由があって、簡単に言うと敵に襲撃されたとしても国の要である王都には入れないように、という防衛のためだ。
詳しく説明しようとすると、ターリスク王国の千年間の歴史を辿る羽目になるので割愛するが。
30分程進んでようやく抜け道を出る。ここからはひたすらに走りまくるだけだ。とはいっても、ここからが長いんだが。
取り敢えず、もう日が暮れてきたのに加え馬達が疲れた様子を見せてきたので、近くの街で休むことにした。
「ここから一番近い街というと…ここですかね?」
「うん、そうだね。確かこの町は宿屋もあった筈。キーカルもそれでいい?」
「ああ。近いといってもここから20分程度かかる。早く移動するぞ」
「はい」
その街は無名の街だがある程度は栄えている街のようで、宿屋も数件あるようだ。
この国では全ての街に名前をつけていると、とんでもない量になるのでかなり栄えてないと名前をつけていない。例えば、上級貴族である伯爵以上の位の貴族の本家がその街に二人以上いることなどだ。
そんなわけで、ある程度栄えているが名前のついていない街というのはかなりあり、私達が向かっている街もそのうちの一つ、というわけだ。
暫く馬を走らせようやく到着した。門番がいたが身分証明書を見せるとすぐに退いてくれた。それどころか上位敬礼までしてくれた。彼らも一応騎士の筈だが普通の敬礼じゃないんだな、と思っているとガリウス先輩が教えてくれた。
「俺達は王都で雇われた、いうなれば王族直轄の騎士団だ。対して、街にいる騎士団はその街が必要だと判断して作った、いうなれば自衛団。王族に直接認められた訳じゃない。だから同じ騎士でも立場はこっちの方が上ってわけ」
「成る程…」
確かに、その街ごとに私達の騎士団が配属されたら肝心の王都や国境の守りが薄くなってしまう。
それに、もしその街に配属されたとしてもその街のことをよくも知らない奴らに街を守られても不安なだけだろう。となると王都側からしても街側からしても、街独自で騎士団を作ってもらった方がやりやすいのだろう。
その分去年みたいに内乱をおこされるとかなり大規模になるのだが。
その後は何とか宿屋を見つけ、夜ごはんを食べて就寝した。
「ガリウス先輩。キーカル先輩。遅くなってすみません」
「いや。急に言われたからね。仕方ないよ。俺達も今来たところだし」
「ああ。それより早く行くぞ。ここから国境となるとどれだけ頑張っても二日はかかる。夜は下宿先も見つけなければならないし悠長にしている暇はないぞ」
キーカル先輩の言った通りここから国境までは馬を乗り継いだりして、最大限急いでも二日はかかる。でも当然ながら馬は疲れるし都合よく馬借ができるところなんてそう多くはない。そう考えると、大体三日~四日はかかるだろう。
持ち物の確認だけしてすぐに出発する。
基本的に私は2人の後ろをついていくだけなので、馬を走らせることに集中できる。いくら慣れてきたとはいえ、まだ馬との信頼関係は完成していない。たまにではあるが、言うことを聞いてくれないこともある。だから進路を考えなくてもいいのはかなり助かる。だからこそ、失敗は許されないのだが。
先輩達は迷いもなく進んでいく。勿論国境に行くのが初めてというわけではないだろうが、それでも地図も見ずに進めるのは流石としか言いようがない。
出発して暫くが経った。もうすぐで王都を出ることができるのだが、昼御飯を食べていないせいで体力の消耗が激しい。一応食料は持ってきたものの食べるタイミングが全然ない。片手操縦できる技術は持っていないしどうしたものか…
「…ライ、お腹空いた?」
「?いえ。全然まだ大丈夫です」
「「はあ…」」
計ったかのようにガリウス先輩が聞いてくるものだからビックリした。
お腹は空きまくっているが休憩している暇なんてないので、大丈夫だとアピールをしたら、なぜか二人に溜め息をつかれた。
「あのなぁ…腹が空いては戦ができぬって言うだろ?別にお腹空くのは当たり前なんだから、強がってんじゃねぇよ」
「そうそう!集合場所、昼御飯も食べずに来てくれたんでしょ?よくここまで我慢したよって感じだよ」
我慢と言うより…体力の消耗が激しくて嫌だな、と思っただけでお腹空いたという感覚はないんだよな…というより、奴隷時代は一日に一食すらも怪しい状況だったのでお腹が空いているという状況が当たり前だったんだよな…
まあそんなこと言うわけにもいかないから、反論せずに肯定しておく。そのまま流れで休憩になった。
昼御飯代わりに持ってきたのは、サンドウィッチ。その中でも、カツサンドを持ってきた。
サンドウィッチは五年前から急に流行り始めた食べ物で、北方の国のある人物が編み出した食べ物だ。
その人物はサンドウィッチ以外にも、うどんやカレーなど今では一般的料理として食べられるものを作った人物で、噂によると《異世界人》だとか。
その人物は国の保護を受けているため素性を知っている人は殆どいないようで、《異世界人》だという説はあながち間違っていないのではと思っている。
そんなことを思いながらも昼御飯を食べ、また出発する。
ターリスク王国はここら辺の国では珍しい、山々が王都とその周辺の街を囲んでいる地形でその山々を抜けるためにかなりの時間を使う。
勿論すぐに抜けられる抜け道みたいなのはあるのでそこを使っているのだが…途轍もなく狭いのだ。どのくらいかというと馬一匹通すのが精一杯、というぐらいだ。
これにはちゃんと理由があって、簡単に言うと敵に襲撃されたとしても国の要である王都には入れないように、という防衛のためだ。
詳しく説明しようとすると、ターリスク王国の千年間の歴史を辿る羽目になるので割愛するが。
30分程進んでようやく抜け道を出る。ここからはひたすらに走りまくるだけだ。とはいっても、ここからが長いんだが。
取り敢えず、もう日が暮れてきたのに加え馬達が疲れた様子を見せてきたので、近くの街で休むことにした。
「ここから一番近い街というと…ここですかね?」
「うん、そうだね。確かこの町は宿屋もあった筈。キーカルもそれでいい?」
「ああ。近いといってもここから20分程度かかる。早く移動するぞ」
「はい」
その街は無名の街だがある程度は栄えている街のようで、宿屋も数件あるようだ。
この国では全ての街に名前をつけていると、とんでもない量になるのでかなり栄えてないと名前をつけていない。例えば、上級貴族である伯爵以上の位の貴族の本家がその街に二人以上いることなどだ。
そんなわけで、ある程度栄えているが名前のついていない街というのはかなりあり、私達が向かっている街もそのうちの一つ、というわけだ。
暫く馬を走らせようやく到着した。門番がいたが身分証明書を見せるとすぐに退いてくれた。それどころか上位敬礼までしてくれた。彼らも一応騎士の筈だが普通の敬礼じゃないんだな、と思っているとガリウス先輩が教えてくれた。
「俺達は王都で雇われた、いうなれば王族直轄の騎士団だ。対して、街にいる騎士団はその街が必要だと判断して作った、いうなれば自衛団。王族に直接認められた訳じゃない。だから同じ騎士でも立場はこっちの方が上ってわけ」
「成る程…」
確かに、その街ごとに私達の騎士団が配属されたら肝心の王都や国境の守りが薄くなってしまう。
それに、もしその街に配属されたとしてもその街のことをよくも知らない奴らに街を守られても不安なだけだろう。となると王都側からしても街側からしても、街独自で騎士団を作ってもらった方がやりやすいのだろう。
その分去年みたいに内乱をおこされるとかなり大規模になるのだが。
その後は何とか宿屋を見つけ、夜ごはんを食べて就寝した。
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