ビアンカ嬢の波瀾万丈異世界生活っ!!

葵里

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魔王の目的

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「いいえ、魔王様。私は恐ろしくありませんわ」

口元に手を当てコロコロと優雅に笑う私を奇妙な目で魔王は見つめる。

「恐ろしくはないのか?人間は死に恐怖するものだと思っていたのだが。」

「確かに人間は死を恐れますわ。しかし、例外も御座います。私は常に死と隣合わせであったので覚悟はしていたのです。」

「ふむ。5歳児にしては中々達観した考えを持っていたのはそう言う理由があってのことか。お主を人間にしておくのは惜しいと思ってしまうが魔力移すのは辞めんぞ。」

気に入ったと優しい目をした直後、しかし、実行はすると真剣な鋭い視線が私を刺す。

「ふふふ、魔王様は私に魔力を移すことは出来ませんわ。」

「……理由を聞こう。」

「私が何故病弱と言われているのかわかりますか?」

…チェックメイトです。魔王様。

「……」

「私は魔力増幅過多症なのです。なので、魔王様の魔力を受け止められる器では無いのです。自分の魔力だけで精一杯の私の体に魔王様の魔力が入ってしまえば爆発してしまうことでしょう。ルベリオン家最高の魔力の持ち主である私と魔王様の魔力は質が高いので軽々と魔国を吹き飛ばすぐらいにはなるでしょうね…」







あれから、部屋に返されゆったりとした時間が過ぎます。公爵家にいた時と然程生活は変わりありません。

基本、本を読んで時間を潰しています。魔国の本は魔法についてのものが多いようです。一般魔法は公爵家で読んでいたのもあって直ぐに最高位までできるようになりました。今読んでいる本は魔法陣や錬金術についてのものです。

今は知識を蓄える期間ということで本を読んでいるだけですが、早く実際に行って見たいものです。

ベッドサイドに腰掛け、本を捲っていると、

「おい、また読んでいるのか。いい加減に外にでも出ろよ。」

「あら?だって仕方がないじゃない。私身体が弱いから外になど出たくても出られないのよ。魔国は魔力が多いんですもの。」

魔国の人々は一人一人が帝国や王国に住む人間と比べて高い魔力を持つ。それ故に土地そのものに魔力が染み渡り土地の魔力度が上がっている状態なのである。

魔力に当てられ、不安定になり体を崩すことになるのは御免である。

「…仕方がないか。……何を読んでいるんだ?」

「今読んでいるのは今までで"1番恥ずかしかった記憶を夢として繰り返し見せられる"魔法陣の作り方ですわ。」

「っ!なんなんだっ!その魔法陣はっ!今すぐ辞めろ!」

「ぇー、これから貴方に使う予定のやつなのよ!嫌よ」

「なっ、俺に使うつもりだったのか!?ふざけるなっ!」

「だって面白そうじゃない?被験者第1号に任命するわ!」

「人の話を聞けっ!」

漫才のようなやり取りを繰り返し、結局この魔法陣は試すことが出来なかった。
まぁ、忘れた頃にまたやりましょうか…
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