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兄弟喧嘩は犬も食わない
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渚さんの日に焼けた手が俺の右頬にあと2cmで触れそうになった時。
玄関がバァン、と激しく開いた音がしてその勢いのまま、ドドドドドと誰かが走ってくる。誰なのかはすぐ想像できた。
「離れろっ、渚ぁ!!!!その人にちょっとでも触ってみろ!刺すからな!!!」
ハアハア息を切らして登場したのはここの家主、楓くんである。その瞳は怒りで溢れていて、今にも切れ味抜群の包丁を手に取りそうな勢いだ。
渚さんをどうにかしたいが、さすがに殺人はまずい。口をぱくぱくさせながら、俺はどうしたら、この兄弟喧嘩を穏便に終わらせられるか頭をフル回転させた。
ぐるぐる思案していると、楽しそうにくっ、くっ、と渚さんが喉を鳴らし始める。いやいや、あなた、実の弟に殺されますよ?あ、ほら、本当に包丁見てますよ、あなたの弟さん。
すると渚さんは、俺の方に伸ばしていた手を諦めたようにぷらん、と下ろすと、楓くんの方に向き直りさっきみたいにヘラヘラし出した。
「おかえりぃ、楓。半年・・・ぶり?かな。お土産持ってきたよ。好きだろ?エスニックテイストなもの。」
「土産はいいからっ!は・な・れ・ろ、って言ってんだよ、渚。マジで刺すぞ。」
「うっはぁ、こわーい。はいはい、離れますよ。まだ触ってないから安心しなよ。元さんいい男だね。」
「あ゛ぁ?!何で名前・・・・・・元!まさか、正直に教えたの?!あとでお仕置きだからね!」
「はっ、えっ?!俺が悪いの?!」
「嫉妬しまくりじゃん。初めて見たぁ。あはは。元さん、俺の方が優しいよ?助けてあげようかぁ?」
「・・・こっち来いよ。一思いに刺してやっから。」
いよいよ包丁を手に取ろうとする楓くんに「ストップストップストップ」と叫びながら俺は強引に飛びついた。楓くんの顔はちょうど俺自慢の胸板の位置である。俺の胸筋は割と柔らかいので、楓くんもよく揉んでいるお気に入りだ。
「・・・何で庇うの。渚が好きなの?」
「何でそうなるんだよ!俺は楓くんのことが好きなんだよ!いつも自信満々なのに、こういう時は自信無いの?!もう!」
「・・・・・・・・・ごめん。俺も元が、好き。」
「わぁ、何これ。公開惚気見せられてんの、俺。アハハハハハ!」
「くっそ!元はと言えば渚のせいだろーが!」
「あ、あの、渚・・・さん?とりあえず、そちらに座ってください。楓くんも、ね?座ろう?」
「・・・・・・分かった。渚、元から離れて座れ。」
一先ず座らせた方がいい、と判断した俺はソファの方に2人を誘導した。
リビングの向かい合わせに配置されているソファの片方に渚さん、もう片方に楓くんと俺が座る。なぜか楓くんは横向きで俺の膝に座った。首にぎゅっと腕を回している。・・・まあ別に楓くんはちっとも重くないからいいんだけど。そしてそれを見ていた渚さんは楓くんと俺を交互に見ながら益々ニヤニヤしていた。
この兄弟本当に似てないな、と俺は改めて思うのだった。
玄関がバァン、と激しく開いた音がしてその勢いのまま、ドドドドドと誰かが走ってくる。誰なのかはすぐ想像できた。
「離れろっ、渚ぁ!!!!その人にちょっとでも触ってみろ!刺すからな!!!」
ハアハア息を切らして登場したのはここの家主、楓くんである。その瞳は怒りで溢れていて、今にも切れ味抜群の包丁を手に取りそうな勢いだ。
渚さんをどうにかしたいが、さすがに殺人はまずい。口をぱくぱくさせながら、俺はどうしたら、この兄弟喧嘩を穏便に終わらせられるか頭をフル回転させた。
ぐるぐる思案していると、楽しそうにくっ、くっ、と渚さんが喉を鳴らし始める。いやいや、あなた、実の弟に殺されますよ?あ、ほら、本当に包丁見てますよ、あなたの弟さん。
すると渚さんは、俺の方に伸ばしていた手を諦めたようにぷらん、と下ろすと、楓くんの方に向き直りさっきみたいにヘラヘラし出した。
「おかえりぃ、楓。半年・・・ぶり?かな。お土産持ってきたよ。好きだろ?エスニックテイストなもの。」
「土産はいいからっ!は・な・れ・ろ、って言ってんだよ、渚。マジで刺すぞ。」
「うっはぁ、こわーい。はいはい、離れますよ。まだ触ってないから安心しなよ。元さんいい男だね。」
「あ゛ぁ?!何で名前・・・・・・元!まさか、正直に教えたの?!あとでお仕置きだからね!」
「はっ、えっ?!俺が悪いの?!」
「嫉妬しまくりじゃん。初めて見たぁ。あはは。元さん、俺の方が優しいよ?助けてあげようかぁ?」
「・・・こっち来いよ。一思いに刺してやっから。」
いよいよ包丁を手に取ろうとする楓くんに「ストップストップストップ」と叫びながら俺は強引に飛びついた。楓くんの顔はちょうど俺自慢の胸板の位置である。俺の胸筋は割と柔らかいので、楓くんもよく揉んでいるお気に入りだ。
「・・・何で庇うの。渚が好きなの?」
「何でそうなるんだよ!俺は楓くんのことが好きなんだよ!いつも自信満々なのに、こういう時は自信無いの?!もう!」
「・・・・・・・・・ごめん。俺も元が、好き。」
「わぁ、何これ。公開惚気見せられてんの、俺。アハハハハハ!」
「くっそ!元はと言えば渚のせいだろーが!」
「あ、あの、渚・・・さん?とりあえず、そちらに座ってください。楓くんも、ね?座ろう?」
「・・・・・・分かった。渚、元から離れて座れ。」
一先ず座らせた方がいい、と判断した俺はソファの方に2人を誘導した。
リビングの向かい合わせに配置されているソファの片方に渚さん、もう片方に楓くんと俺が座る。なぜか楓くんは横向きで俺の膝に座った。首にぎゅっと腕を回している。・・・まあ別に楓くんはちっとも重くないからいいんだけど。そしてそれを見ていた渚さんは楓くんと俺を交互に見ながら益々ニヤニヤしていた。
この兄弟本当に似てないな、と俺は改めて思うのだった。
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