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1章 異世界転移は無理難題
1-6 俺、森の戦で敗北するようです……
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「くっ、な、なぜだ……」
俺こと始は、力なく大地に五体投地して、かつてない敗北感を味わっていた。これほどの苦渋を舐めたのは初めてのことだ……。この想い、いつか晴らさずにおくべきか。邪神は滅ぶべし。まさに蒼天の霹靂。(始は混乱していて、もはや意味不明。そして自然にシオンをディスる)
「あ、これも食べれる~。あ、これも~」
そう、ココの能力が優れすぎているのだ。正直、『森の祝福』を侮っていた。加護すら微妙な、あの駄目神のことだから大したことないだろうと、高をくくっていたのだが。
祝福をいかんなく発揮したココは、まさに息をするように有用なアイテム(森の収穫)をゲットしていた。しかも、食べれるか食べれないか、使えるか使えないか、それを知識でなく勘で判断することができているのだ。しかも百発百中。
それはもう森のほうから私を見つけてくださいとアピールしてくるくらいの勢いだ。対して、俺は全然見つけることができなくなった。理由はココが近くにいるから。ココがいると収穫物の99%以上がそっちに集中して発見されていく。何この理不尽。
「ふふん」
そして、隣でふんぞり返るシオンにイラッとするが、それよりも先にココが見つけたアイテム群を頭陀袋にどんどん放り込んでいく。ココが森に入ってわずか1時間の収穫で、俺が半日は駆けずり回って集める量とほとんどかわらない。これを理不尽と言わずして何を言うというのか。
「ココ、これだけあれば数日は大丈夫そうだから、ぼちぼち帰るよ」
「はーい!」
結果、木の実や果実や野草やムクロジモドキなどなどが山のように採れた。2つもってきた頭陀袋がパンパンである。しかも、驚くことに滅多に野生生物と遭遇しない。普通なら食べる物がある場所には獣も来るはずである。なのに相手のほうから、ここどうぞ、と言わんばかりに譲られるのだ。『森の祝福』、恐るべし。邪神の力、恐るべし。
神殿への帰り道でちょっとした出来事があった。
大収穫の成果(99%以上はココのおかげ)を持って、3人で意気揚々と神殿へ帰っていたのだが、道中で地面に何かが落ちているのを発見した。それは俺の拳大の丸い何か。
そこまでは別に変じゃないんだ。変なのはこれから。丸い何かの周りがだな。クレーターになっているんだ。そしてその中心に丸い何かが埋まっている感じ。まさか隕石か?
「おやおや、これは珍しいですね。霊獣の卵ですか~」
シオンがまたわけわかないことを宣う。霊獣、何それ? む? それ以前に卵!? だと!? 良質なたんぱく質の源、それなりに大きくて食い応えがありそう。じゅるり。
「ちょちょちょちょ、あれは食べたらダメです! 下手したら、ハジメさん死んじゃいますよ? それでもいいんですか?」
…………えっ!?
霊獣、それは駄目神の眷属、と言われているが別にそういうわけでもない。
姿形は様々だが、実際は高密度の自然エネルギーの集合体。正体を見たものはいないが。
例を挙げると、火山に住むと言われている、火を司る、癒しと再生の象徴、フェニックス。
絶壁の峡谷に住むと言われている、大地を司る、温和と破壊の象徴、ビヒモス。
魔の海域に住むと言われている、水を司る、暴食と破滅の象徴、リヴァイアサン。
「などなど、ということですー。つまり、あれはたんぱく質などではなく、高密度のエネルギー体ですので、もしハジメさんが食べた場合、器が耐えられなければ、身体は木っ端ミジンコですよ~。ちなみに成長した霊獣は強さレベルが測定不能ですから~」
ひえっ!? フタを開けたら、危険度が森にいる強さレベル90のドラゴンの比じゃなかった! クワバラクワバラ、ナンマイダブナンマイダブ、エロイムエッサイム……。
「…………」
「ココ、どうした?」
シオンと俺がくだらない話している間もずっと、霊獣の卵とやらを発見してからというもの、ココの視線はアレに釘づけだった。
「ハジメ、アレ拾っていい? あんなところで、ずっと一人は可哀想……」
うん? 可哀想?
「周りに家族がいなくて、独りぼっち。ココみたい……」
……そっか。
「いいよ、ココがそう思うなら。ただし、ちゃんと面倒を見るんだぞ?」
「うん!」
ココに許可を出してすぐに不思議なことになった。わずかに明滅しながら卵が浮いてココまで飛んできたのだ。俺の目には、まるでこいつがココに懐いたみたいに見えた。いや、見た目は丸い何かだから客観的にはシュールな光景なんだが……。
俺こと始は、力なく大地に五体投地して、かつてない敗北感を味わっていた。これほどの苦渋を舐めたのは初めてのことだ……。この想い、いつか晴らさずにおくべきか。邪神は滅ぶべし。まさに蒼天の霹靂。(始は混乱していて、もはや意味不明。そして自然にシオンをディスる)
「あ、これも食べれる~。あ、これも~」
そう、ココの能力が優れすぎているのだ。正直、『森の祝福』を侮っていた。加護すら微妙な、あの駄目神のことだから大したことないだろうと、高をくくっていたのだが。
祝福をいかんなく発揮したココは、まさに息をするように有用なアイテム(森の収穫)をゲットしていた。しかも、食べれるか食べれないか、使えるか使えないか、それを知識でなく勘で判断することができているのだ。しかも百発百中。
それはもう森のほうから私を見つけてくださいとアピールしてくるくらいの勢いだ。対して、俺は全然見つけることができなくなった。理由はココが近くにいるから。ココがいると収穫物の99%以上がそっちに集中して発見されていく。何この理不尽。
「ふふん」
そして、隣でふんぞり返るシオンにイラッとするが、それよりも先にココが見つけたアイテム群を頭陀袋にどんどん放り込んでいく。ココが森に入ってわずか1時間の収穫で、俺が半日は駆けずり回って集める量とほとんどかわらない。これを理不尽と言わずして何を言うというのか。
「ココ、これだけあれば数日は大丈夫そうだから、ぼちぼち帰るよ」
「はーい!」
結果、木の実や果実や野草やムクロジモドキなどなどが山のように採れた。2つもってきた頭陀袋がパンパンである。しかも、驚くことに滅多に野生生物と遭遇しない。普通なら食べる物がある場所には獣も来るはずである。なのに相手のほうから、ここどうぞ、と言わんばかりに譲られるのだ。『森の祝福』、恐るべし。邪神の力、恐るべし。
神殿への帰り道でちょっとした出来事があった。
大収穫の成果(99%以上はココのおかげ)を持って、3人で意気揚々と神殿へ帰っていたのだが、道中で地面に何かが落ちているのを発見した。それは俺の拳大の丸い何か。
そこまでは別に変じゃないんだ。変なのはこれから。丸い何かの周りがだな。クレーターになっているんだ。そしてその中心に丸い何かが埋まっている感じ。まさか隕石か?
「おやおや、これは珍しいですね。霊獣の卵ですか~」
シオンがまたわけわかないことを宣う。霊獣、何それ? む? それ以前に卵!? だと!? 良質なたんぱく質の源、それなりに大きくて食い応えがありそう。じゅるり。
「ちょちょちょちょ、あれは食べたらダメです! 下手したら、ハジメさん死んじゃいますよ? それでもいいんですか?」
…………えっ!?
霊獣、それは駄目神の眷属、と言われているが別にそういうわけでもない。
姿形は様々だが、実際は高密度の自然エネルギーの集合体。正体を見たものはいないが。
例を挙げると、火山に住むと言われている、火を司る、癒しと再生の象徴、フェニックス。
絶壁の峡谷に住むと言われている、大地を司る、温和と破壊の象徴、ビヒモス。
魔の海域に住むと言われている、水を司る、暴食と破滅の象徴、リヴァイアサン。
「などなど、ということですー。つまり、あれはたんぱく質などではなく、高密度のエネルギー体ですので、もしハジメさんが食べた場合、器が耐えられなければ、身体は木っ端ミジンコですよ~。ちなみに成長した霊獣は強さレベルが測定不能ですから~」
ひえっ!? フタを開けたら、危険度が森にいる強さレベル90のドラゴンの比じゃなかった! クワバラクワバラ、ナンマイダブナンマイダブ、エロイムエッサイム……。
「…………」
「ココ、どうした?」
シオンと俺がくだらない話している間もずっと、霊獣の卵とやらを発見してからというもの、ココの視線はアレに釘づけだった。
「ハジメ、アレ拾っていい? あんなところで、ずっと一人は可哀想……」
うん? 可哀想?
「周りに家族がいなくて、独りぼっち。ココみたい……」
……そっか。
「いいよ、ココがそう思うなら。ただし、ちゃんと面倒を見るんだぞ?」
「うん!」
ココに許可を出してすぐに不思議なことになった。わずかに明滅しながら卵が浮いてココまで飛んできたのだ。俺の目には、まるでこいつがココに懐いたみたいに見えた。いや、見た目は丸い何かだから客観的にはシュールな光景なんだが……。
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