華燭の城

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 ガルシアとは違う細い指だった。
 その細く繊細で冷たい指がゆるゆると自分の体内に入り込み、粘膜を這うようにゆっくりと動きながら、内部に薬を塗りつけていく。

「ぁぁっ……。
 ……んぁっ……! やめ…………」
 切ない声をあげ、シュリの体が震えた。

 それは傷に薬を塗り込まれる痛みのせいでもあったが、執拗に弄ばれた体がまだその記憶を……感覚を失っていなかった。
 自分の意思に反し、反応を示すを見られまいと、シュリは小さく体を抱え込む。

「これほど狭いとは……。
 辛かったでしょう……」

 ラウは呟くように言うと、更に奥深くシュリの中をなぞっていく。

「ぁ……んっ……ん……」

 益々鼓動が激しくなった。
 自分の握った拳に歯を立て、必死に声をこらえる。
 
 だがやがて、ガルシアに犯された時と同じように、この部屋にも湿った音がし始めていた。
 その音はシュリの耳にも届く……。

「もう……。
 もう、いい……ラウ、やめてくれ……」

 痛み、羞恥、屈辱……多くの感情が入り乱れ、顔を隠したシュリが膝を抱え懇願する。
 それでも黙ったままのラウから応えは無く、指は止まらなかった。
 何度も指に薬を付け直しながら、浅く、深く、抽挿させ、そしてようやく薬を塗り終えると、それは入ってきた時と同じように滑らかに引き抜かれた。

「ンッ……っ……」
 
 ラウの指から解放され、肩で大きく息をする。

「……シュリ様、もう一度仰向けになって下さい」
 そんなシュリに、背中越しのラウが追い討ちをかけた。

「……!
 ……もういい……下がれ……!」

 シュリはかたくなに首を振る。
 だがその声に耳も貸さず、ラウはうずくまるシュリの体をいとも簡単に仰向けに返していた。

「……っ……!」

 自身の反応を見られまいと、咄嗟に上掛けを引き上げようとするシュリの手をラウが掴み、止めさせる。

「そのままでは、ご自身がお辛いだけです」

 ラウはベッドの横に腰を掛けたまま、何かを諭すように静かにシュリの顔を見つめ、掴んだシュリの手にそっと自分の左手を重ねた。
 そして腰まで引き上げた上掛けの中に自分の右手を入れ、昂ぶっているシュリのモノに手を添えた。

「……クッっ……」 
 シュリが思わず小さく声をあげる。

「ラウ……。
 ……やめろ……もう……放っておいてくれ……」
 
 首を振りながら、ラウの手を止めようと押さえた。

「恥かしがる事ではありません。
 寝具の中です。私には何も見えません」

 そう言うとラウは、側で灯っていた蝋燭の火をフッと吹き消す。

 部屋が暖炉からの灯りだけになると、ラウの細い指がシュリを促し始めていた。

「やめろっ……ラウ……。
 ……ぁぁあ……っ……ぃや……だ……。
 やめ……ろ……」

 静かにゆっくりと上下するラウの指に、小さく体を震わせながらも脚に力が入り、わずかだが腰が上がって体がのけ反っていく。

「シュリ様、我慢なさらず……」
「……ンッ……ンッ…………!」
「気持ちを楽に」
「やっ……め……ラウ……っ……」
「……」

「……ぁっ……んっ……んっ……!
 …………もう……ラウ…………ンッッ!!」

 しばらくは耐えていたものの、幾度目かの指の動きでシュリは上掛けを握り締めたまま小さく喘ぎ、痛みと自制と羞恥の中で、ラウの手のひらにトクン。と精を吐き出した。
 両手で顔を覆い隠したシュリの、今にも泣きそうな息遣いがかすかに響き続ける。

「少しは楽になられましたか?」

 ラウはいつもと変わらない静かな声で、何事もなかったかのように顔色一つ変えず、シュリの身体を拭い終えようとしていた。


「起き上がれますか?
 さあ、これを飲んで……気持ちが落ち着きます」 

 そっと抱き起こし、全裸のシュリをベッドに座らせると、昨夜と同じ薬湯を差し出し、顔を伏せたままのシュリの手の中にカップを握らせる。

 昨日の薬湯……。
 シュリは両手でカップを握ったまま深呼吸をし、酷く苦いそれを一気に飲み干した。
 一瞬でもいい、全てを忘れ眠りたかった。

 ラウにカップを差し出す時には、すでに急激な眩暈に襲われていた。
 天井が回り、心臓がドクドクと鳴り始める。
 その苦しさにシュリは喘いだ。
 昨夜と同じだった。
 だがそれは、今のこの心の苦しさに比べれば、耐えるなど容易い。

 ラウは、ハァハァと肩で息をするシュリを静かに見下しながら夜着を着せると、杖をついて立ち上がり、暖炉に新しい薪をいくつか放り込んだ。

「しばらくの我慢ですよ」
 
 遠くでラウの声がしていた……。
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