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ラスティアの街
思惑が入り交じる
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――とある執務室――
その部屋では、ある男が、文字を読み耽っている。
男――ラスティアの名を持つその人物は、ラスティアの街の為
睡眠時間さえ削ってでも、街の事を最優先に考えている。
部屋にノックの音がして、入室を促すと、報告書を持った部下が入ってくる。
「ギルド長宛に、報告書が届きました」
「ご苦労、下がっていいよ」
1人になり、報告書へと目を向けた男は、普段ではありえない
驚愕の表情を浮かべた、それを書いたのはラスティア・ウルグだったからだ。
(まさか、彼が、ただの近況報告をするとは思えない)
そう考えた男は他の書類を差し置いて、その報告に目を通す。
「ッ! 人を手配しろっ!」
それを信じたくなくて、すぐに部屋の外で待機している部下へ命令を出した。
衝撃を受けた内容は、邪神が2人出た事、地下に大規模な魔物の群れがあった事。
そして、ウルグが弱音を延々と書いていた事だ。
自身が行かなければ、この目で確かめなければ、安心できない。
その場で判断を下せる自分が、街に戻るべきだと思い
彼は後処理を済ませて、足早にラスティアの街へと向かった。
――――
「フィーネ、そこに座って、人の話をちゃんと聞け」
「レティー、人に罪悪感を抱かせて、私を押し付けようとしたのに
強く言えるの? 自分が悪かったら、ごめんなさいだよ?」
「それならお前は、純粋な気持ちを踏みにじってるだろうがっ!?」
「レティーのまねー」
宿の部屋に戻ってきたオレは、些細な言い合いを、繰り広げていた。
きっかけは『あの方法なら捨てれるよねー』と言われた所からだ。
ウルグは騙されたのに、フィーネはオレの真意に気づいて、いたんだ。
その上で決定的な一言の前に阻止した。
……その頭を他の方向に生かせなかったのかっ!?
「今更、子供の振りや、ものぐさな態度で誤魔化せると思うか?」
「……ダメ?」
紫色の目が上目遣いにこちらを見つめてくる。
自身の外見が、どう見えてるかを理解してるようだが
気を許してはいけない、どう考えてもオレの同類なのだから。
「ダメだ、有耶無耶にしたいのはわかってるからな」
「四文字熟語って美しい響きだよねー、非労働者」
「言語を作った人間に謝れっ!!」
騒がしくしすぎたのか、ガチャリ、と扉が開く。
マズイ、融通の利かなさそうな、宿の主人に見られたら終わるぞ!?
開く扉は待ってくれる事もなく、入ってくる人影。
気まずそうに揺れる髪、緑色の目と視線が合う。
「あの……声が…………きこえ、てきたので」
注意しようとしたその声は、フィーネを見て驚き、止まった。
気まずい沈黙が部屋を……いや、ミリアとオレとの間で流れる。
「騒がしくして、すまなかった……そうだ、宿の主人はいるか?」
「えっ……と? あ、はい、呼んで来た方が……?」
何を必死に考えているかはわからないが、その赤くなった表情を見る限り
勘違いしていそうだ、後で、釘を刺しておく事にして方針を決める。
「…………いや、向かわせてもらう、今はどこに? 案内してくれ」
「もう1人分の部屋が欲しいだって?」
「…………邪神に懐かれたんだ、部屋は空いているだろうか?」
隠しておいて、後から泊められないと言われないように先に言っておく。
「で? そっちの事情なんて知らないさ……
自分の事を優先しろって言いたいのかい? アンタ」
「空いていないか聞いただけだ……料金は2人分払う
泊めてもらえる場所は貴重だからな、先に確認を取りたいんだ」
突然、厄介者が増えていたら迷惑するだろう。
ウルグには懐かれた事を相談したんだが、泊まる場所を忘れていたと言う。
もちろんフィーネは部屋に置いてきた。
「部屋から出ないように、言いくるめればいいだけじゃないか」
「紹介を貰っておいて、恥をかかせるつもりは無いさ」
「…………二人分の料金でいいさ、自分の部屋にでも泊めてやりな」
「助かる……因みになんだが、相手は女で、できれば」
「部屋を空けてやるよっ! さっさと戻って説明してきなっ!」
女、と言った直後すぐに反応が返ってくる。
オレに娘を押し付けようとした主人は、同じ部屋に居て欲しくないだろう。
ミリアが部屋を空けるために、仕事を割り当てられるが
主人が意見を変えた事に疑問を抱いてるようだった。
――外堀が埋まる前に逃げ出しておきたいな。
ミリア本人の意思を無視して、引き返せなくなる前に。
料理の為だけに、好きでもない相手と、なんて、かわいそうだろう。
オレにできるのは、これしか無いんだ。
「レスティアはいるかっ!?」
オレの名前を大声で呼び、宿に入ってきたのは先ほどまで
会っていた人物で、忙しいと言っていたはずの、ウルグだった。
とてつもない剣幕に気圧される、その表情は険しい。
「今すぐ来い!」
「落ち着け、お前が騒いで、どうする? 何があったが知らんが
それは、そう行動していい問題か? 理由を知らせず、連行するべきか?」
「それはっ…………おい、耳を貸せ」
聞かされたのは――戦えるように準備をしてから――だった。
ウルグは場を騒がせた事を、周囲に謝っている。
ウルグが、平静を失うほど、戦力が必要な事件の幕開けに
まだ、波乱の一日は終わっていなかったのだと思った。
その部屋では、ある男が、文字を読み耽っている。
男――ラスティアの名を持つその人物は、ラスティアの街の為
睡眠時間さえ削ってでも、街の事を最優先に考えている。
部屋にノックの音がして、入室を促すと、報告書を持った部下が入ってくる。
「ギルド長宛に、報告書が届きました」
「ご苦労、下がっていいよ」
1人になり、報告書へと目を向けた男は、普段ではありえない
驚愕の表情を浮かべた、それを書いたのはラスティア・ウルグだったからだ。
(まさか、彼が、ただの近況報告をするとは思えない)
そう考えた男は他の書類を差し置いて、その報告に目を通す。
「ッ! 人を手配しろっ!」
それを信じたくなくて、すぐに部屋の外で待機している部下へ命令を出した。
衝撃を受けた内容は、邪神が2人出た事、地下に大規模な魔物の群れがあった事。
そして、ウルグが弱音を延々と書いていた事だ。
自身が行かなければ、この目で確かめなければ、安心できない。
その場で判断を下せる自分が、街に戻るべきだと思い
彼は後処理を済ませて、足早にラスティアの街へと向かった。
――――
「フィーネ、そこに座って、人の話をちゃんと聞け」
「レティー、人に罪悪感を抱かせて、私を押し付けようとしたのに
強く言えるの? 自分が悪かったら、ごめんなさいだよ?」
「それならお前は、純粋な気持ちを踏みにじってるだろうがっ!?」
「レティーのまねー」
宿の部屋に戻ってきたオレは、些細な言い合いを、繰り広げていた。
きっかけは『あの方法なら捨てれるよねー』と言われた所からだ。
ウルグは騙されたのに、フィーネはオレの真意に気づいて、いたんだ。
その上で決定的な一言の前に阻止した。
……その頭を他の方向に生かせなかったのかっ!?
「今更、子供の振りや、ものぐさな態度で誤魔化せると思うか?」
「……ダメ?」
紫色の目が上目遣いにこちらを見つめてくる。
自身の外見が、どう見えてるかを理解してるようだが
気を許してはいけない、どう考えてもオレの同類なのだから。
「ダメだ、有耶無耶にしたいのはわかってるからな」
「四文字熟語って美しい響きだよねー、非労働者」
「言語を作った人間に謝れっ!!」
騒がしくしすぎたのか、ガチャリ、と扉が開く。
マズイ、融通の利かなさそうな、宿の主人に見られたら終わるぞ!?
開く扉は待ってくれる事もなく、入ってくる人影。
気まずそうに揺れる髪、緑色の目と視線が合う。
「あの……声が…………きこえ、てきたので」
注意しようとしたその声は、フィーネを見て驚き、止まった。
気まずい沈黙が部屋を……いや、ミリアとオレとの間で流れる。
「騒がしくして、すまなかった……そうだ、宿の主人はいるか?」
「えっ……と? あ、はい、呼んで来た方が……?」
何を必死に考えているかはわからないが、その赤くなった表情を見る限り
勘違いしていそうだ、後で、釘を刺しておく事にして方針を決める。
「…………いや、向かわせてもらう、今はどこに? 案内してくれ」
「もう1人分の部屋が欲しいだって?」
「…………邪神に懐かれたんだ、部屋は空いているだろうか?」
隠しておいて、後から泊められないと言われないように先に言っておく。
「で? そっちの事情なんて知らないさ……
自分の事を優先しろって言いたいのかい? アンタ」
「空いていないか聞いただけだ……料金は2人分払う
泊めてもらえる場所は貴重だからな、先に確認を取りたいんだ」
突然、厄介者が増えていたら迷惑するだろう。
ウルグには懐かれた事を相談したんだが、泊まる場所を忘れていたと言う。
もちろんフィーネは部屋に置いてきた。
「部屋から出ないように、言いくるめればいいだけじゃないか」
「紹介を貰っておいて、恥をかかせるつもりは無いさ」
「…………二人分の料金でいいさ、自分の部屋にでも泊めてやりな」
「助かる……因みになんだが、相手は女で、できれば」
「部屋を空けてやるよっ! さっさと戻って説明してきなっ!」
女、と言った直後すぐに反応が返ってくる。
オレに娘を押し付けようとした主人は、同じ部屋に居て欲しくないだろう。
ミリアが部屋を空けるために、仕事を割り当てられるが
主人が意見を変えた事に疑問を抱いてるようだった。
――外堀が埋まる前に逃げ出しておきたいな。
ミリア本人の意思を無視して、引き返せなくなる前に。
料理の為だけに、好きでもない相手と、なんて、かわいそうだろう。
オレにできるのは、これしか無いんだ。
「レスティアはいるかっ!?」
オレの名前を大声で呼び、宿に入ってきたのは先ほどまで
会っていた人物で、忙しいと言っていたはずの、ウルグだった。
とてつもない剣幕に気圧される、その表情は険しい。
「今すぐ来い!」
「落ち着け、お前が騒いで、どうする? 何があったが知らんが
それは、そう行動していい問題か? 理由を知らせず、連行するべきか?」
「それはっ…………おい、耳を貸せ」
聞かされたのは――戦えるように準備をしてから――だった。
ウルグは場を騒がせた事を、周囲に謝っている。
ウルグが、平静を失うほど、戦力が必要な事件の幕開けに
まだ、波乱の一日は終わっていなかったのだと思った。
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