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01婚約破棄されてしまいましてよ
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「殿下にも困ったものね」
婚約者に放置されている、現在最も動向を注目されている少女は紅茶を手にため息を吐いた。
イレーヌ・ド・ヴァロワは王太子殿下ジルベール様の婚約者。
お父様が侯爵という、それはそれはお高いお生まれの令嬢ということになっているらしい。
そうは言われてもお高く止まっているわけじゃないのだけれど?
高位貴族というのはよくそう思われがちだわねと、高位貴族の令嬢達と話す時もあった。それに彼には最近困ったことがある。
ジルベール様の周りにはいつもニコニコした庶民上がりの可愛い女の子、名前は確かマリシアとか言ったか、その子と仲睦まじい親密なご様子。殿下はいつもその子ばかり見ていて、真の婚約者なんて眼中にないみたいだった。
「まったく、私をないがしろにするなんていい度胸ね」
そうは言っても表向きは取り繕って、婚約者としての役目を果たしていたのは一応ヴァロワ家の名誉もあるし、それに婚約破棄なんてこちらから願い出るなんてありえないと思っていたんだけど。
彼は予想以上に考えなしだった。とは思っていない。全ては予定通り、計画通りだ。彼が自分を好きなわけでも愛しているわけでもないことは知っていた。イレーヌとて、すきでもなんでもない。義務感から付き合っていただけ。
ある日、ジルベール様がそれはそれは申し訳なさそうな顔で言ってきた。なんだか、簡単に終わるみたいに思っている相手の様子。
「イレーヌ、君には本当に申し訳ないと思っている。だが、僕の心はマリシアにあるんだ。どうか僕たちの婚約を解消か破棄をしてほしい」
きた、この展開!と待っていたのだけれど心の中で、ニヤリと笑った。実はお父様からこっそり聞かされていたことがあるのだ。
「イレーヌ、もし殿下の方から婚約破棄を申し出てきたらヴァロワ家には莫大な慰謝料が支払われることになるんだ」
婚約者がマリシア様に夢中になっている間、ちゃっかり美味しい話を聞いていた。
そんな価値でもないと楽に別れを選択はしないけれどもちろん、表面上は悲しそうな顔をして見せるのはおちゃのこさいさい。他にも婚約していた理由がウチにはあるものの。
「殿下……そんな……わたくしを捨てるというのですか?」
って、涙目の演技もバッチリで、たっぷりの涙。イレーヌは練習をたくさんしたから完璧でしょうと内心勝ちに酔いしれ、ジルベール様は演技にすっかり騙されてますます申し訳なさそうな顔になった。
不貞を悲劇のように語るなど落ちたものだ。自分の不始末をストーリーにするとはなさけない。
「本当にすまない。君のことは一生忘れない」
「わかりました。お元気で」
最後に少しだけ寂しそうな声を出してみた。一捻り、忘れたくても忘れられない気がする。あなたが。
「殿下のご決意が固いのなら、わたくしは身を引きますわ」
すっぱり縁を切る数日後、王家からヴァロワ家にそれはもうびっくりするくらいの金銀財宝が届けられた!
慰謝料も契約通り、満足できるほどであったからお父様は満面の笑みで褒める。
「イレーヌ、よくやった!」
頭を撫でてくれた。慰謝料でずーっと欲しかった豪華な宝石の首飾りをいくつか買う。王子妃になる女には派手だからと買えずにいたのだ。
それから、広くて日当たりの良い別邸を建てて、そこで優雅な一人暮らしを始めた。ジルベール様とマリシア様はどうなったかって?
知らない。
でも、たまに聞こえてくる噂では庶民との結婚は色々大変みたい?
身分違いの恋ってそんなに甘くないのよねぇ。どうやって妃にするんだろう。
ゴシップ記事や新聞を読む使用人達にたまに聞いたりするが怒鳴り合いが聞こえてくるとか、攻め合う声があるだとか。王家なのに漏れ出る噂は権威の揺らぎ、こちらは今新しいお屋敷で可愛い猫たちに囲まれて、のんびり過ごしている。
令嬢のスローライフ。婚約破棄してくれたおかげでこんな素敵な生活が手に入ったんだから、ジルベール様には感謝しないと!って、心の中だけで思っておくわ。
ふふ、婚約破棄って思ったよりずっと蜜の味がする。
優雅な別邸での生活は本当に快適で朝はゆっくりと起きて、美味しい朝食をテラスでいただく。午後は庭園で読書をしたりお気に入りの猫と昼寝をしたり。
夜はキラキラ輝く宝石を眺めながら、美味しいワインを嗜む。ジルベール様との婚約が破棄されて本当に良かった。
あのままあの方と結婚していたら、きっと退屈な毎日だったでしょうし、きっと浮気性で苦労しただろう。
そんなある日、別邸に見慣れない男性が訪ねてきた。
庭の手入れをしている庭師が困った顔でイレーヌを呼びに来る。
「イレーヌ様、お客様がお見えです」
誰かしらこんな時間に。応接間に通された男性はすらりとした背格好で、落ち着いた雰囲気の素敵な人で深い青色の瞳が知的な光を湛えている。
「突然の訪問、失礼いたします。わたくしは、ドミニク・ラオン・ライナーと申します」
ライナー?
確か、隣国の伯爵家の次男の方?
「ライナー様、ようこそいらっしゃいました。何かご用でしょうか?」
ドミニク様は柔らかな微笑みを浮かべる。
「実は、以前よりイレーヌ様の噂を耳にしておりまして。婚約破棄されたと伺い、もしよろしければお慰めにお伺いしたいと」
お慰め、ね。まあ、悪い気はしない。
それにこうして見ると、ドミニク様はなかなか魅力的だしジルベール様とは違って、落ち着いていて大人の余裕を感じさせる。
それからというもの、ドミニク様は時々この別邸に訪れるようになった。
様々な国の珍しい話や興味深い書物の話、一緒に庭園を散歩したりお茶をしたりする時間もとても心地よかった。
最初はただの物珍しさだと思っていたけれど、彼の優しい眼差しや知的な会話に触れるうちに、今まで感じたことのない温かいものが芽生え始めた。
ある夕暮れ、庭園のベンチで二人で話している時、ドミニク様が真剣な眼差しでイレーヌを見つめてきた。
「イレーヌ様、初めてお会いした時から、あなたの聡明さと美しさに心を奪われておりました。もし、よろしければ……わたくしと、もっと親しくお付き合いいただけませんか?」
ドキッとした。ジルベール様からの求婚とは全く違う感覚に胸の奥が、ほんのり温かくて、少しだけドキドキする。
「……そのようなお言葉をいただけるとは、思ってもおりませんでした」
少し照れながらいえばドミニク様は、優しく微笑んだ。
「どうか、ドミニクとお呼びください。あなたの気持ちを教えていただけませんか?」
彼の青い瞳をじっと見つめたら瞳には、優しさと真剣さがある。
「……ドミニク様」
婚約破棄は確かに私に莫大な慰謝料をもたらしてくれた。優雅に暮らせる資金も、それ以上に、ドミニク様という素敵な人に出会うことができた。
「はい」
もしかしたら、あの時の婚約破棄は不幸ではなく新しい幸せへの扉を開くためのものだったのかもしれない。
「よろしくお願いします」
ジルベール様、マリシア。
あなたたちのおかげで、私は今、とても幸せ。
「こちらこそ」
心の中でそう呟きながら、ドミニク様と手を取り合う。ドミニク様との穏やかな日々を送る中で、イレーヌの心には新しい興味が湧き上がる。
莫大な慰謝料で不自由のない暮らしを送る一方で。
「何か自分の手で、人を喜ばせるようなことがしたい」
と、感じ始めたので探してみることに。ある日、庭園で育てている美しい花々を眺めている時、ふとそんなことを思う。
「この花びらの色や香りを活かして、何か素敵なものが作れないかしら?」
イレーヌは以前から美容には興味があったが、自分で何かを作ったり、商売をしたりすることは考えたこともない。
ドミニク様と出会い、色々な話を聞くうちに新しいことに挑戦する勇気が湧いてきた。
善は急げ。早速、イレーヌは古い書物を読み漁りハーブや花の効能、香りの調合について熱心に学び始め、別邸の庭には様々な種類の花やハーブが植えられ、小さな植物園のよう。
色々庭師に注文もし、試行錯誤を繰り返すうちにイレーヌはいくつかの自信作を生み出す。
婚約者に放置されている、現在最も動向を注目されている少女は紅茶を手にため息を吐いた。
イレーヌ・ド・ヴァロワは王太子殿下ジルベール様の婚約者。
お父様が侯爵という、それはそれはお高いお生まれの令嬢ということになっているらしい。
そうは言われてもお高く止まっているわけじゃないのだけれど?
高位貴族というのはよくそう思われがちだわねと、高位貴族の令嬢達と話す時もあった。それに彼には最近困ったことがある。
ジルベール様の周りにはいつもニコニコした庶民上がりの可愛い女の子、名前は確かマリシアとか言ったか、その子と仲睦まじい親密なご様子。殿下はいつもその子ばかり見ていて、真の婚約者なんて眼中にないみたいだった。
「まったく、私をないがしろにするなんていい度胸ね」
そうは言っても表向きは取り繕って、婚約者としての役目を果たしていたのは一応ヴァロワ家の名誉もあるし、それに婚約破棄なんてこちらから願い出るなんてありえないと思っていたんだけど。
彼は予想以上に考えなしだった。とは思っていない。全ては予定通り、計画通りだ。彼が自分を好きなわけでも愛しているわけでもないことは知っていた。イレーヌとて、すきでもなんでもない。義務感から付き合っていただけ。
ある日、ジルベール様がそれはそれは申し訳なさそうな顔で言ってきた。なんだか、簡単に終わるみたいに思っている相手の様子。
「イレーヌ、君には本当に申し訳ないと思っている。だが、僕の心はマリシアにあるんだ。どうか僕たちの婚約を解消か破棄をしてほしい」
きた、この展開!と待っていたのだけれど心の中で、ニヤリと笑った。実はお父様からこっそり聞かされていたことがあるのだ。
「イレーヌ、もし殿下の方から婚約破棄を申し出てきたらヴァロワ家には莫大な慰謝料が支払われることになるんだ」
婚約者がマリシア様に夢中になっている間、ちゃっかり美味しい話を聞いていた。
そんな価値でもないと楽に別れを選択はしないけれどもちろん、表面上は悲しそうな顔をして見せるのはおちゃのこさいさい。他にも婚約していた理由がウチにはあるものの。
「殿下……そんな……わたくしを捨てるというのですか?」
って、涙目の演技もバッチリで、たっぷりの涙。イレーヌは練習をたくさんしたから完璧でしょうと内心勝ちに酔いしれ、ジルベール様は演技にすっかり騙されてますます申し訳なさそうな顔になった。
不貞を悲劇のように語るなど落ちたものだ。自分の不始末をストーリーにするとはなさけない。
「本当にすまない。君のことは一生忘れない」
「わかりました。お元気で」
最後に少しだけ寂しそうな声を出してみた。一捻り、忘れたくても忘れられない気がする。あなたが。
「殿下のご決意が固いのなら、わたくしは身を引きますわ」
すっぱり縁を切る数日後、王家からヴァロワ家にそれはもうびっくりするくらいの金銀財宝が届けられた!
慰謝料も契約通り、満足できるほどであったからお父様は満面の笑みで褒める。
「イレーヌ、よくやった!」
頭を撫でてくれた。慰謝料でずーっと欲しかった豪華な宝石の首飾りをいくつか買う。王子妃になる女には派手だからと買えずにいたのだ。
それから、広くて日当たりの良い別邸を建てて、そこで優雅な一人暮らしを始めた。ジルベール様とマリシア様はどうなったかって?
知らない。
でも、たまに聞こえてくる噂では庶民との結婚は色々大変みたい?
身分違いの恋ってそんなに甘くないのよねぇ。どうやって妃にするんだろう。
ゴシップ記事や新聞を読む使用人達にたまに聞いたりするが怒鳴り合いが聞こえてくるとか、攻め合う声があるだとか。王家なのに漏れ出る噂は権威の揺らぎ、こちらは今新しいお屋敷で可愛い猫たちに囲まれて、のんびり過ごしている。
令嬢のスローライフ。婚約破棄してくれたおかげでこんな素敵な生活が手に入ったんだから、ジルベール様には感謝しないと!って、心の中だけで思っておくわ。
ふふ、婚約破棄って思ったよりずっと蜜の味がする。
優雅な別邸での生活は本当に快適で朝はゆっくりと起きて、美味しい朝食をテラスでいただく。午後は庭園で読書をしたりお気に入りの猫と昼寝をしたり。
夜はキラキラ輝く宝石を眺めながら、美味しいワインを嗜む。ジルベール様との婚約が破棄されて本当に良かった。
あのままあの方と結婚していたら、きっと退屈な毎日だったでしょうし、きっと浮気性で苦労しただろう。
そんなある日、別邸に見慣れない男性が訪ねてきた。
庭の手入れをしている庭師が困った顔でイレーヌを呼びに来る。
「イレーヌ様、お客様がお見えです」
誰かしらこんな時間に。応接間に通された男性はすらりとした背格好で、落ち着いた雰囲気の素敵な人で深い青色の瞳が知的な光を湛えている。
「突然の訪問、失礼いたします。わたくしは、ドミニク・ラオン・ライナーと申します」
ライナー?
確か、隣国の伯爵家の次男の方?
「ライナー様、ようこそいらっしゃいました。何かご用でしょうか?」
ドミニク様は柔らかな微笑みを浮かべる。
「実は、以前よりイレーヌ様の噂を耳にしておりまして。婚約破棄されたと伺い、もしよろしければお慰めにお伺いしたいと」
お慰め、ね。まあ、悪い気はしない。
それにこうして見ると、ドミニク様はなかなか魅力的だしジルベール様とは違って、落ち着いていて大人の余裕を感じさせる。
それからというもの、ドミニク様は時々この別邸に訪れるようになった。
様々な国の珍しい話や興味深い書物の話、一緒に庭園を散歩したりお茶をしたりする時間もとても心地よかった。
最初はただの物珍しさだと思っていたけれど、彼の優しい眼差しや知的な会話に触れるうちに、今まで感じたことのない温かいものが芽生え始めた。
ある夕暮れ、庭園のベンチで二人で話している時、ドミニク様が真剣な眼差しでイレーヌを見つめてきた。
「イレーヌ様、初めてお会いした時から、あなたの聡明さと美しさに心を奪われておりました。もし、よろしければ……わたくしと、もっと親しくお付き合いいただけませんか?」
ドキッとした。ジルベール様からの求婚とは全く違う感覚に胸の奥が、ほんのり温かくて、少しだけドキドキする。
「……そのようなお言葉をいただけるとは、思ってもおりませんでした」
少し照れながらいえばドミニク様は、優しく微笑んだ。
「どうか、ドミニクとお呼びください。あなたの気持ちを教えていただけませんか?」
彼の青い瞳をじっと見つめたら瞳には、優しさと真剣さがある。
「……ドミニク様」
婚約破棄は確かに私に莫大な慰謝料をもたらしてくれた。優雅に暮らせる資金も、それ以上に、ドミニク様という素敵な人に出会うことができた。
「はい」
もしかしたら、あの時の婚約破棄は不幸ではなく新しい幸せへの扉を開くためのものだったのかもしれない。
「よろしくお願いします」
ジルベール様、マリシア。
あなたたちのおかげで、私は今、とても幸せ。
「こちらこそ」
心の中でそう呟きながら、ドミニク様と手を取り合う。ドミニク様との穏やかな日々を送る中で、イレーヌの心には新しい興味が湧き上がる。
莫大な慰謝料で不自由のない暮らしを送る一方で。
「何か自分の手で、人を喜ばせるようなことがしたい」
と、感じ始めたので探してみることに。ある日、庭園で育てている美しい花々を眺めている時、ふとそんなことを思う。
「この花びらの色や香りを活かして、何か素敵なものが作れないかしら?」
イレーヌは以前から美容には興味があったが、自分で何かを作ったり、商売をしたりすることは考えたこともない。
ドミニク様と出会い、色々な話を聞くうちに新しいことに挑戦する勇気が湧いてきた。
善は急げ。早速、イレーヌは古い書物を読み漁りハーブや花の効能、香りの調合について熱心に学び始め、別邸の庭には様々な種類の花やハーブが植えられ、小さな植物園のよう。
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