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第一章 ハムスターだもの
長老様のお願い
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パムスターの長老は鄙びた灰色の毛並みをしている。白いヒゲが地面まで垂れていて、小さな黒い瞳は皺に隠れて見えない。
二足歩行する必要はないのに、長老は爪楊枝を杖代わりにして二本足で立っていた。
無理しなくていいのに。
「エステル、メグ、よう来た」
足がかくかく震えている。
老いのせいじゃなくて、無理して二本足で立ってるからだ。
あ、そういえば私の名前、エステルって言うの。どうぞよろしく。
「おぬしらに頼みたい事がある…」
「なんでしょう」
面倒くさい事じゃなきゃ良いなあ。
「これから王都で開催される花選びの儀に花嫁候補として参加して欲しいのじゃ」
花選びの儀……なんかそんなイベントがあるって、街の人達が噂してたな。王子様の花嫁候補を選ぶためのミスコンみたいなものらしい。
ハムスターの私には関係ないから、今まで興味無かったけど。
「長老様やだなー、ボケてません?私達パムスターですよ。人間のイベントにどうやって参加するんですか」
だって私達はハムスター。今の会話だって皆に伝わるように意訳してるだけで、実際はキューキューと鳴いてるだけです。普通に人間の言葉を喋ったり、意思疎通することは不可能だ。
意思疎通できたとしても、ハムスターが人間に混じってそんなイベントに参加するなんて、お日様が西から上るくらい有り得ないことだと思う。
「どれ、わしの後ろの木の実の山に、虹色の種が混ざっとらんか」
長老様は私の疑問をさらっと無視して、木の実の山を示した。
私はメグと顔を見合わせると木の実の山に近付く。
山のように積まれたピマワリの種に混じって、1つだけ輝く、虹色のつやつやした種があった。
「綺麗な種ですねー。これがどうしたんですか」
「それはのう、パムスターを昼間だけ人間の姿に変える魔法の種じゃ」
「え!?」
魔法の種?!そんなものがあるって初めて知りましたよ。
さすが異世界だなあ。
二足歩行する必要はないのに、長老は爪楊枝を杖代わりにして二本足で立っていた。
無理しなくていいのに。
「エステル、メグ、よう来た」
足がかくかく震えている。
老いのせいじゃなくて、無理して二本足で立ってるからだ。
あ、そういえば私の名前、エステルって言うの。どうぞよろしく。
「おぬしらに頼みたい事がある…」
「なんでしょう」
面倒くさい事じゃなきゃ良いなあ。
「これから王都で開催される花選びの儀に花嫁候補として参加して欲しいのじゃ」
花選びの儀……なんかそんなイベントがあるって、街の人達が噂してたな。王子様の花嫁候補を選ぶためのミスコンみたいなものらしい。
ハムスターの私には関係ないから、今まで興味無かったけど。
「長老様やだなー、ボケてません?私達パムスターですよ。人間のイベントにどうやって参加するんですか」
だって私達はハムスター。今の会話だって皆に伝わるように意訳してるだけで、実際はキューキューと鳴いてるだけです。普通に人間の言葉を喋ったり、意思疎通することは不可能だ。
意思疎通できたとしても、ハムスターが人間に混じってそんなイベントに参加するなんて、お日様が西から上るくらい有り得ないことだと思う。
「どれ、わしの後ろの木の実の山に、虹色の種が混ざっとらんか」
長老様は私の疑問をさらっと無視して、木の実の山を示した。
私はメグと顔を見合わせると木の実の山に近付く。
山のように積まれたピマワリの種に混じって、1つだけ輝く、虹色のつやつやした種があった。
「綺麗な種ですねー。これがどうしたんですか」
「それはのう、パムスターを昼間だけ人間の姿に変える魔法の種じゃ」
「え!?」
魔法の種?!そんなものがあるって初めて知りましたよ。
さすが異世界だなあ。
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