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第一章

第三十一話 氷の食材記

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 道中、ぼくたちは氷のモンスターたちと何度も戦闘を繰り広げた。その中で、いくつかの氷のモンスターを倒した後、彼らの身体の一部を回収して料理に活かすことにした。

 ある夜のキャンプでは、リリアが氷のウルフの肉を使った料理に挑戦した。

「これは…氷のウルフステーキ。香辛料とハーブでマリネした後、焚き火でじっくり焼いてみたんだ」

「見た目はちょっと怖いけど、味はどうだろう?」

 ぼくたちはリリアが作った氷のウルフステーキを一口食べてみた。すると、驚くほど美味しく、肉の旨味が口いっぱいに広がった。氷のウルフの肉は、見た目は氷のような青白い色をしているが、味もどこか爽やかで冷たいような感触もあった。これがおいしいのだから不思議だ。

「リリア、これすごく美味しいよ!寒さに凍えた体にも染み渡るような暖かさがあるね。」

「ありがとう。これで寒い夜も少しは楽になるといいわね。」

 そして、ぼくは氷の鳥から取れた羽根を使った料理に挑戦した。この羽根は、非常に薄くて透明感があり、食べることができることをアイテムステータス画面で確認した。

「これは……氷の鳥の羽根スープ。羽根を水で煮込んで、野菜と一緒に煮込んでみたんだ」

「羽根でスープができるなんて、珍しいね!どんな味がするんだろう?」

 ぼくたちは氷の鳥羽根のスープを一口すすってみた。すると、口に入った瞬間に羽根がとろりと溶けて、なめらかで滑らかな食感を楽しむことができた。さらに、野菜との相性も抜群で、暖かくて優しい味わいだった。

「これすごく美味しい!羽根がこんなにも滑らかに溶けるなんて、びっくり!」

 リリアもそのおいしさににこにこしている。

 翌日のキャンプでは、アルフが氷のヘビの身体から採れた薄い皮を使って料理を作った。

「これは……氷のヘビ皮チップス。塩と香辛料で味付けした後、軽く焼いてみたんだ。」

「薄い皮ってこんな風に料理に活かせるんだね。じゃあ、さっそく!」

 ぼくたちはアルフが作った氷のヘビ皮チップスを試してみた。パリッとした食感が楽しく、塩味がアクセントになっていて美味しかった。

「これもまたいい味だね、アルフ!こんな料理もできるんだね」

「おお、褒められると照れるな。でも、これでまた寒さに負けずに進めるぞ!」

 こうして、ぼくたちは道中で得た氷のモンスターたちを料理に活かしながら、寒さと闘いつつ北方の大陸へと向かっていった。
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