ひとりで生きたいわけじゃない

【5】リスタート

5-3:直居side

　すっかり就活から逃げてしまっていたが、夏休みはインターンにうってつけの時期だ。条件を満たしたものに参加すれば、大学の単位認定もあり一石二鳥とあって、やや長めのものにトライする先輩が多い。

　渡辺が言っていた、IT業界でインターンからそのまま、というパターンは、数か月から年単位でメンバーの一員として業務をこなし、スキルを磨いて即戦力で入社する流れのことを言っているのだろう。夏休みの単位狙いのインターンよりもっと長いし、その会社や業界に入ることをもう決めている人が多いんじゃないだろうか。
　そこまで決まっているかというと、本当にそれでいいのかまだよく分からない。僕が参加するとしたら、職場見学の延長程度のお試しインターンだな。

　インターン情報サイトを眺める。人気企業はもうとっくに締め切っているし、そもそもインターンに参加できる人を選考で決めるような倍率のところ僕には無理だろう。
　渡辺はインターンのESや面接で就活本番の練習するんだよって言ってた。すごいけど、真似するにはハードルが高すぎる。

　結局サイトを眺めていてもどう選んだらいいか分からず、見るのをやめてベッドに体を投げ出す。

　ちら、と壁を見ると、城崎さんのスーツ。目に入るように、わざとクロゼットにしまわずにぶら下げてある。
　インターンに参加したら、早速あれを着る機会ができる。それだけでも、やる気が湧いてくるから不思議だ。

　ーーインターンのこと、大学のキャリアセンターに相談しに行こう。

　決心して眠りにつく。