女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第二部 王国奪還

家庭談話

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今、自分の頭に突きつけられているのは間違いなく拳銃だ。それも45口径のオート拳銃だ。黒の味気ないやつ……。
「どうして、オレが背後に立っているのを知りたいかって?」
男は聞いてもいないのに勝手に質問を作って、勝手に尋ねてくる。
「別にオレは興味がないがな……」
男は無抵抗の意味を表す両腕を上げるポーズを見せながら呟く。
「遠慮するなよ、オレはマリアを店に預けた後にデパートに再度侵入して、排気口の中に潜り込んだんだ……それから、貴様の部下を一人一人始末していき、気付いた時には貴様は丸裸だったわけさ」
男の説明でアールは先ほどまで、あまり足音が聞こえてこなかった理由を知った。彼が自分の部下を一人一人消していっていたのだから。
「さてと、貴様はどうする?オレに従って、マーニー・ファミリーの動向をきかせてもらうか、このままオレに頭をブチ抜かれるのか二択だぜ」
男の言葉にアールは降参し、「喋る」と口走った。
「よく言ったな、悪いようにはしないよ、ジェシカと同じように客室に寝かせてやるし、拷問もしない……最もお前の態度次第で待遇は変わるから、そこら辺は覚えておけ」
男のその言葉にアールは二つの意味がある事を理解した。彼が喋る情報で彼のこれからの未来は良くも悪くもなっていくのだ。
「よし、歩きな……外に停めてあるファミリーの車に乗るんだ」
男はアールの背後にピッタリとオート拳銃を突きつけながら動くように指示した。
「ひっ、分かったよぉ~歩くッ!歩けばいいんだろ!?」
アールは襲撃が失敗した事を残念に思った。

「ヴィト !良かったのね !一時はどうなるのかと……」
ルーシーは大勢の部下を束ねるファミリーのボスという立場にも関わらずヴィトの安全が確認されると、安堵の涙を流していた。
「オレは大丈夫さ、それよりマリアは?」
「キャンディバーと一緒に車の中よ」
ルーシーはさくらんぼ味のキャンディバーを頬張るマリアを親指で指差す。
「あら、もしかしてその男……」
ルーシーはヴィトが連れている茶髪のロングヘアーの男を指差す。
「そうさ、コイツはマーニー・ファミリーのかつての相談役。アール・ロッテンハイマーさ、色々と聞き出せると思うぜ」
ルーシーはヴィトの活躍ぶりに目を晴らすばかりだった。たった一人でデパートに侵入した男を片付けた。そればかりではない、抗争相手の重要人物まで捕らえた。
「お疲れ様ね、あなたって本当にスーパーマンみたいね」
ルーシーのその言葉がおかしかったのか、ヴィトはクックっと笑い出す。
「いやいや、オレらはスーパーマンの敵のほうだろ?アイツの敵は街のギャングなんだからよぉ~」
ヴィトはアールを近くの部下に手渡しながら言った。
「そう言えば、スーパーマンのドラマ見てなかったから、忘れてたわ、彼の敵って街のギャングだったわね」
「そうさ、だから、オレたちはスーパーマンに潰される側の人間なわけよ」
ヴィトは抑えきれない笑顔をルーシーに向けて笑っていた。
「そうなったら、大変ね、カヴァリエーレ・ファミリーは一瞬で消滅だわ」
ルーシーもヴィトにつられて同じように抑えきれない笑顔を浮かべていた。
「さてと行こうか、おれ達の屋敷へと」
ヴィトとルーシーは同じ黒のキャラデイックに乗り込み屋敷へと向かう。後ろの車には捕まったアールを乗せて……。

ヴィトとマリアとルーシーとプイスの四人で夕食を摂っていた。この屋敷は元々門番や屋敷の警備を担当する部下たちとヴィトとルーシーが住む以外は、たまにお客が泊まるだけだったが、マリアが来てからは、三人で住むようになった。そこにプイスも加わり、今の生活になったのだ。
「オレは聞いてみたんだ……お爺さん、どうして洗面器を頭に乗せているの?そうしたらな……」
ヴィトは『赤い洗面器の男』という面白い話を披露していた。オチがヴィトの口から語り終わるやいなや、全員が顔の葉を見せて笑っていた。
「アッハッハッ !本当に傑作だわ、何度聞いても飽きないわね !その話 !」
マリアはお腹を抱えて笑っている。
「いっ、行けませんぞ陛下 !そのように、ププププ……笑っては……」
プイスはマリアを窘めていたが、そのように笑っている姿では説得力は皆無だろう。
「ふふふふふ、本当に面白いわね……」
ルーシーも夕食を食べる手を止めて笑っていた。
「それより、テレビでも見るか?」
ヴィトはテレビに近づき、丸いチャンネルを適当に弄り回す。
「チッ、チャンネルを変えるのも一苦労だぜ、一々椅子から立つのも面倒くさいし、こんなにテレビに近づいてチャンネル回してたら、目も悪くなるさ」
ヴィトがぼやきながらチャンネルを回していたら、ルーシーがヴィトのぼやきを解消するように言った。
「でも、何十年後かにはスイッチ一つで回せるようになるかもしれないわ、テーブルから動かなくてもチャンネルを変えれるのよ」
ヴィトはルーシーの言葉が信じられないとばかりに目を見開く。
「無理に決まってるさ、そんな機能ができたら、オレはお前に百ドル払ってやってもいいよ」
「その言葉覚えたわよ、その機能ができたら、ちゃんとわたしに百ドル払ってね」
ルーシーはヴィトにキッパリと言い放つ。
「勿論だよ、その時は払ってやるよ」
その時にようやくヴィトのチャンネルを回す手が止まった。見たいテレビが見つかったらしい。
「おっ、『ヒッチコック劇場』じゃあないか、これでいいだろ?」
ヴィトは哀願するようにルーシーに目を向ける。
「ダメよ、わたしは『ヒッチコック劇場』は好きじゃあないの、それより『パパは何でも知っている』にしてよ」
二人の視線に火花が散るのが感じられた。
「ええ~あたしはあの馬に乗ってる覆面の奴がいいけどぉ~」
マリアが言ったのは『ローンレンジャー』だった。一度2013年に映画が公開されたが、アレはリメイク作品であり、本家は50年代にやっていたテレビドラマである。
「「それが、あったか」」
二人は顔を見合わせて叫んだ。そしてチャンネルを直ぐに『ローンレンジャー』がやっているチャンネルに回した。
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