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第一章 聖女の誕生と異端審問
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裏路地にある、一つの宿屋に警備兵達が雪崩れ込む。
「動くな!」
「逃げても無駄だ!裏でも固めてある」
「探せ、探せー!!」
「おっと、ナイフに触るなよ?」
慌てる者たちを次々と取り押さえる。
「二階、クリア」
「三階も、オーケーだ」
「地下があるぞ!」
「裏庭は抑えた」
(本丸は地下か、商品に万が一にも逃げ出されないように、念を入れたということかな)
ロイは地下の出入口前に仁王立ちして待った。
助け出されたエレンという名の少女が横を通った。
頬がひどく腫れて、擦り傷も見られた。
(馬鹿な?商品の顔に傷をつければ値が下がるだろうに…)
次に助け出されたミレーユ嬢は、ショックが激しかったのか、フラつきながら、両脇を支えられて出てきたが、こちらは傷ひとつない。
ロイは違和感を感じながら見送る。
商品としての用途が違うということだろうか?
「中はこれだけか?」
「後は、犯人と思しき男だけっすね」
その声と同時に、最後に犯人が捕縛された状態で引き摺られてくる。
ロイが話しかけると、男は軽薄な笑みを向けた。
「お前、詐欺師の…ついに人身売買にまで手を染めたか?」
通称ハニー・ビー、結婚詐欺師として有名な男だ。
「人身売買?僕は、僕の愛しいヒトが望むものを手に入れようとしただけさ。偽物をつかまされたけどね」
「偽物?」
「まあ、おかしいと思ったよあんなクソ餓鬼が聖女なワケ無いよねー」
餓鬼ということは、狙いはエレンという孤児の方だったということだ。
「ミレーユ嬢は何のために拐ったんだ?」
「はい?僕はそんな無粋なことはしないよ。教会に来た金髪巻毛で碧眼の聖女を知ってるかって聞いたら、勝手に連れてきたんだ、まあ、偽物だったけど」
(では、ミレーユ嬢はむしろ犯人側?)
「これまでも、こうやって子供を拐ったのか?」
「僕は子供に興味はなーい。あの方が聖女を欲したから、今回は手に入れようとしただけさぁ」
ハニー・ビーは詐欺師としては狡猾だが、関心のない事での嘘はつかない。
「"あの方"については後ほど詳しく話を聞くとしようかーー連れて行け」
ハニー・ビーが狙っているのは聖女とされる少女一人だけという事になる。
(では、これまで居なくなった子供たちはどこに?)
疑いの眼差しは、ミレーユに注がれる事となった。
聖女という存在が絡むことから、カメリア達にも関与すると判断し、ロイは再び教会を訪れた。
ふと気付くと、旅路を共にしているという少女、マリアも金髪の巻毛に碧眼だと気付いた。
「つまり、今回の誘拐事件とこれまでの子供たちの失踪は別物だというのですか?」
カメリアは確認するように話をまとめた。
「はっ!その様です。ハニー・ビーのヤツは明確に聖女のみを狙ってました、エレンからも証言がありましたので、間違いないです」
「ロッテンは、ミレーユ嬢の手から逃れた時"2人くらい良いか"というような発言を聞いたと言っていたよね?」
「そうなんだ。それで、あの女が子供達を拐う手引きをしてるんじゃないかなって思ったんだ」
カメリアとロッテンのやり取りを聞いて、ロイは気付いてしまった事をそのまま口に出す。
「もしや、ミレーユ嬢は元々人身売買の一味だった?」
カメリアたちが、うんうんと頷くのを見て、ロイは推理を続ける。
「そして教会に聖女が居ると聞き付けたハニー・ビーが、人身売買の一味と知らず標的にし、恋に落ちたのか?」
「おそらく、そのようね。本当はマリアちゃんを連れていかなきゃ意味がないのに、そこまでは考えてなかったと思うのよね」
ふーっと、気怠げにカメリアはため息を吐く。
「それで適当な商品を拐って横流しした?つまり、人身売買の一味は他にも居るという事か」
「恐らく教会の中にまだ仲間がいるわよ、ミレーユ嬢はなんというか、頭が足りないみたいだから、孤児の数を操作するとか、そういうのはできないと思うのよね。まあ、それについてはお任せするわ、私が知りたいのは、そのハニー・ビーに聖女が欲しいと言った"あのお方"の方ね」
ガタンと音を立てて、椅子から立ち上がり、白み始めた空をカメリアは眺めた。
「私たちは予定通りここを旅立つわ。結果は本部に文章で送って頂戴」
さあ、行くわよと双子を促して部屋から出る。
「急がせてごめんなさいね、二人とも。本当は休ませてあげたいけど、早く国境を抜けましょう。ここは危ないかもしれないから」
アドリアノも無言で頷き、双子の荷物を持ってくれた。
取り残されたロイのため息が、背中に聞こえた様な気がした。
「動くな!」
「逃げても無駄だ!裏でも固めてある」
「探せ、探せー!!」
「おっと、ナイフに触るなよ?」
慌てる者たちを次々と取り押さえる。
「二階、クリア」
「三階も、オーケーだ」
「地下があるぞ!」
「裏庭は抑えた」
(本丸は地下か、商品に万が一にも逃げ出されないように、念を入れたということかな)
ロイは地下の出入口前に仁王立ちして待った。
助け出されたエレンという名の少女が横を通った。
頬がひどく腫れて、擦り傷も見られた。
(馬鹿な?商品の顔に傷をつければ値が下がるだろうに…)
次に助け出されたミレーユ嬢は、ショックが激しかったのか、フラつきながら、両脇を支えられて出てきたが、こちらは傷ひとつない。
ロイは違和感を感じながら見送る。
商品としての用途が違うということだろうか?
「中はこれだけか?」
「後は、犯人と思しき男だけっすね」
その声と同時に、最後に犯人が捕縛された状態で引き摺られてくる。
ロイが話しかけると、男は軽薄な笑みを向けた。
「お前、詐欺師の…ついに人身売買にまで手を染めたか?」
通称ハニー・ビー、結婚詐欺師として有名な男だ。
「人身売買?僕は、僕の愛しいヒトが望むものを手に入れようとしただけさ。偽物をつかまされたけどね」
「偽物?」
「まあ、おかしいと思ったよあんなクソ餓鬼が聖女なワケ無いよねー」
餓鬼ということは、狙いはエレンという孤児の方だったということだ。
「ミレーユ嬢は何のために拐ったんだ?」
「はい?僕はそんな無粋なことはしないよ。教会に来た金髪巻毛で碧眼の聖女を知ってるかって聞いたら、勝手に連れてきたんだ、まあ、偽物だったけど」
(では、ミレーユ嬢はむしろ犯人側?)
「これまでも、こうやって子供を拐ったのか?」
「僕は子供に興味はなーい。あの方が聖女を欲したから、今回は手に入れようとしただけさぁ」
ハニー・ビーは詐欺師としては狡猾だが、関心のない事での嘘はつかない。
「"あの方"については後ほど詳しく話を聞くとしようかーー連れて行け」
ハニー・ビーが狙っているのは聖女とされる少女一人だけという事になる。
(では、これまで居なくなった子供たちはどこに?)
疑いの眼差しは、ミレーユに注がれる事となった。
聖女という存在が絡むことから、カメリア達にも関与すると判断し、ロイは再び教会を訪れた。
ふと気付くと、旅路を共にしているという少女、マリアも金髪の巻毛に碧眼だと気付いた。
「つまり、今回の誘拐事件とこれまでの子供たちの失踪は別物だというのですか?」
カメリアは確認するように話をまとめた。
「はっ!その様です。ハニー・ビーのヤツは明確に聖女のみを狙ってました、エレンからも証言がありましたので、間違いないです」
「ロッテンは、ミレーユ嬢の手から逃れた時"2人くらい良いか"というような発言を聞いたと言っていたよね?」
「そうなんだ。それで、あの女が子供達を拐う手引きをしてるんじゃないかなって思ったんだ」
カメリアとロッテンのやり取りを聞いて、ロイは気付いてしまった事をそのまま口に出す。
「もしや、ミレーユ嬢は元々人身売買の一味だった?」
カメリアたちが、うんうんと頷くのを見て、ロイは推理を続ける。
「そして教会に聖女が居ると聞き付けたハニー・ビーが、人身売買の一味と知らず標的にし、恋に落ちたのか?」
「おそらく、そのようね。本当はマリアちゃんを連れていかなきゃ意味がないのに、そこまでは考えてなかったと思うのよね」
ふーっと、気怠げにカメリアはため息を吐く。
「それで適当な商品を拐って横流しした?つまり、人身売買の一味は他にも居るという事か」
「恐らく教会の中にまだ仲間がいるわよ、ミレーユ嬢はなんというか、頭が足りないみたいだから、孤児の数を操作するとか、そういうのはできないと思うのよね。まあ、それについてはお任せするわ、私が知りたいのは、そのハニー・ビーに聖女が欲しいと言った"あのお方"の方ね」
ガタンと音を立てて、椅子から立ち上がり、白み始めた空をカメリアは眺めた。
「私たちは予定通りここを旅立つわ。結果は本部に文章で送って頂戴」
さあ、行くわよと双子を促して部屋から出る。
「急がせてごめんなさいね、二人とも。本当は休ませてあげたいけど、早く国境を抜けましょう。ここは危ないかもしれないから」
アドリアノも無言で頷き、双子の荷物を持ってくれた。
取り残されたロイのため息が、背中に聞こえた様な気がした。
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