王道マジックファンタジーの世界で、俺だけが異端

羽野 奏

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第二章 神殿の魔王、魔塔の賢者

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「それで、学園生活1日目はどうでした?」
学部長室のソファーに腰掛けたロッテンに、対面のレガリアはにこやかに尋ねた。
「授業は途中からだったけど、まあ、なんとかやって行けそうだ」
「それはよかったです、ちなみに、実習はどうやって乗り切ったんですか?確か今日は自分の影を操るのが課題だったかと思うのですが」
「ああ、取り敢えず魔獣召喚のスキルで黒い影みたいな魔獣を召喚して、それっぽく動いてもらった」
「今、それを見せてもらっても?」
「いいぜ」
ロッテンは立ち上がると、手際良く魔獣を自分の影の上に召喚した。黒い水溜りの様な魔獣が、スライムの様に伸びたり縮んだりして、まるでロッテンが影を自在に動かしている様に見える。
「お見事です…!」
呆然と眺めるレガリアの口から自然と称賛の言葉が溢れた。
「この魔獣は、事前に何らかの契約を交わした魔獣を呼び出しているんですか?」
「いや、契約なんかしてない。ただ、呼び寄せたい魔獣をイメージしたら、勝手に出てくるんだ」
スキルを解除すると、それまで意思を持って動いていた黒い物体が、ベシャリと音を立てて動かなくなった。
屈んで、その正体を見極めようとするレガリアにロッテンは明かす。
「それ、ヘドロだ」
「ええ、その様ですね。こちらのサンプルは頂いても?」
「いいけど、こんなのどうするんだ」
引き出しから取り出したガラス瓶で、器用にサンプルをすくいとる。
「ドルンスト、もしくはオーレリアならば、このヘドロが何処から来たのか解明できるかもしれません」
「それを調べてどうするんだ?」
「近場の水場から来たものなら、ロッテン君の魔獣召喚は、一番近場のイメージに近い腐ったもので魔獣が作られている事になります。そうでないなら、どこからこの魔獣の元は来るのか、追加調査になりますかね」
フフフと、レガリアは楽しげに笑う。
「学者特有の知的好奇心を満たすためでもあり、腐属性という未知の魔法を知るためでもありますね」
「ふうん、まあいいや、やりたいだけ調べたら?」
「そうさせてもらいますよ。ーーあ!そうでした、学業面はなんとか成りそうで一安心しましたが、生活面はどうですか?たとえば、友人関係とか」
「隣の席のハイトってヤツが気に掛けてくれてる。年下で孤児って事も周りに聞こえる様に言ったから、質問攻めに会う気配もないし、今日のところは特に不便は感じなかったよ」
「それは良かったです。それにしても、会うたびに思うのですが、ロッテン君は本当に聡い子ですね、発言の構成もしっかりしてますし。毎回本当に6歳なのかと疑ってしまいます」
見た目はちゃんと6歳なんですけどね、と目を凝らす仕草をして、レガリアは言う。
おそらく鑑定スキルを使っているんだろうが、紛れもなく6歳だという事実は変わらない。
「他の6歳がどうだかは知らないけど、双子の妹もオレと同じ感じだぜ?」
「実に興味深い!聖女や魔王に選ばれるのはそういった聡い子である可能性があるかも知れませんね、腐属性について調べ、称号について何か分かったら、次はその辺りを検証するのも良いかもしれません」
鼻息荒く、わかりやすく興奮するレガリアに、ロッテンは心の中でそっと"残念な変態イケメン"と称した。
学部長室を出て、夕陽の中を学生寮に向かう。
なんだかドッと疲れが出て、部屋に着いたら何もせずにそのまま眠りについてしまった。
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