王道マジックファンタジーの世界で、俺だけが異端

羽野 奏

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第二章 神殿の魔王、魔塔の賢者

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「あ、あのっ。ごめんなさい、多分そこ私の席…」
実習のため、魔学実験室へ移動し席に着いてぼんやりしていると、おずおずと申し出る女生徒の声が横から聞こえた。
「え?本当?!」
ロッテンは慌てて立ち上がり、黒板に貼られた座席表を見直す。
教壇と座席の位置関係を前後真逆に見ており、全然違う席に腰掛けていた事に気付く。
「わ、オレ勘違いてた!ごめん」
「いいの、気にしないで」
わたわたと顔の前で両手を振って返す女子生徒は、控えめにいっても美少女だった。
ストレートの黒髪、伏し目がちな黒い瞳が揺れている。
クリームみたいにふんわりと柔らかそうな白い肌も、薄く桜色に艶めく唇も、仕草と相まって、なんだか儚げな印象を受ける。
ロッテンはもう少しだけ会話をしていたい気分になって、言葉を継いだ。
「あ、えっと、オレはロッテン。ええっと、名前を聞いても?」
「え?ええ、シャリアン・セリフィスよ、よろしくね」
(苗字持ち…貴族だったのか)
と、ロッテンは内心焦った。
身分の下の者から格上に名前を聞くのは無礼に当たる。
「ごめん、オレ貴女が御令嬢って知らなくて…」
「気にしないで、お父様が偶々男爵位を賜った、ただの一代貴族の娘だから」
慌てるロッテンが面白かったのか、シャリアンはクスクス笑った。
「こうしてお話ししたのも何かの縁ね、どうか私のことはシャリーと呼んで」
「シャリーさま?」
「いやね、同級生に様付なんて」
「じゃあ、シャリーさん」
「はあい」
(な、なんだろ、年上なのに…可愛い?)
妹に覚える可愛いという感覚とは少し違う種類の感情に戸惑う。
「あの…」
ロッテンが次の話題を振ろうと口を開きかけた時、その肩にもたれ掛かる者がいた。
「やー!悪いね、ロッテン待ったか?」
「ハイト?!」
突然の声にビックリして振り返る。
「急に腹が痛くなってなぁ。間に合って良かったー。ん?どうした?声が裏返ってたぞ?」
ロッテンの感情の機微には全く気づいてない様子で、ペラペラと話すハイトから視線をシャリーに移すと、バイバイと手を振って「またね」と、口を動かしてくれた。
彼女の方も友人が到着したようで、何か会話を始めてしまった。
「トイレ、間に合ってよかったな!何でもない」
少しだけぶっきらぼうにロッテンは言葉を返すが、ハイトは全く意に介さず満面の笑顔です応える。
「おう。あ!そうそう、昼休みに来月の交流会のくじ引きがあるってさ、一緒に行こうぜ!」
「…分かった」
交流会とは林間学校のようなもので、全属性の生徒が各学年毎に別々の会場に集まって年に一度、交流を深めるというものだ。
属性間の垣根を超え、同期同士が横の繋がりを持つ事で、やがて研究者として魔塔に所属した後も共同研究が必要になった際などに役立つのだそうだ。
各属性2人ずつの12人がひとグループとなって、レクリエーションなどを3日の日程で行うらしい。
ロッテンはハイトとペア、くじ引きで引いた数字が同じもの達がグループを組むことになる。
「はい!皆さん静かに、授業を始めよう」
教壇に立った講師が、パンパンと手を鳴らして一同は静まり返る。
外の木に止まって囀る小鳥の声が柔らかく響いた。
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