王道マジックファンタジーの世界で、俺だけが異端

羽野 奏

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第二章 神殿の魔王、魔塔の賢者

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魔塔の部門長会議が無事に閉会した頃、セブ聖国の枢機卿から、アレッサンド国王の下に一通の書状が届いた。
「つまりーー神殿あっちの聖女が、我が国に魔王が居ると特定したから、探し出してセブ聖国に引き渡せと?」
国王は玉座に深く腰を落ち着けてため息を吐く。
「そのようですね。引き渡さない場合は、魔王に支配されたとみなして、我が国に聖戦を仕掛けると…こちらが本命でしょう」
宰相は、書状を文書官に渡し、国王に習ってため息を吐いた。
「言葉の通りに引き渡したらどうなる?」
王の問いに、宰相は淀みなく応える。
「恐らく、教皇クレマチスのように、今代の聖女に魔王を倒させるのでしょうね」
王はその言葉を受けて、ため息を吐く。
「魔王を討伐した聖女によって、薄れかけている神殿への信仰が再び増大すれば、厄介だな」
「ええ、魔塔とのパワーバランスが崩れて、今度こそ大陸を二分しての大戦が始まるかも知れませんね」
「まずは、事の真偽を確かめねば。腐神の権化の称号を持つ、ロッテンという少年を探せ」
「御意」
王命に首を垂れて、宰相は退出した。



「7ばーん?7番の人、どのへんに居るぅ?」
今日は予め各学部でくじを引いて決めた交流会のグループメンバーの顔合わせの日となった。
魔塔一階の広間で、同期となる約140名ほどが集い、12人のグループに分かれていく。

ロッテン達のグループはなんとも大変な集まりとなってしまった。
火学部より、双子の姉妹のサリアとミリア
水学部より、友人同士のヴィクトルとバロット
土学部より、これも友人同士のボルトンとベンソン
風学部より、従姉妹同士のエイファとリリン
光学部より、アッサンド王国第一王子のルドルフと光の聖女と謳われているアマリリス
闇学部より、友人同士のハイトとロッテン

「王子に聖女、風の2人は王子の婚約者候補で、水と土のヤツらも王子の側近候補だぞ…平民は俺たちと、火の双子だけど、あの双子も問題児で、しかも、お前は特待生ときた」
普通なの俺だけかよーと、ハイトが頭を抱える。
「聖女…」
神殿側に聖女が居るように、魔塔側が認定した聖女も居る。
神殿と違うのは、聖属性に限らず、光属性の持ち主も対象となること、突出して魔力量が多く、強い回復魔法を有する事が条件だ。そして、それに当てはまったのがアマリリスである。
プラチナブロンドの髪を縦巻きロールにし、切れ長の目は薔薇色の瞳が煌めく。深紅の口紅を引いた型の良い唇、すらりと高い背の印象も相待って豪奢な女神の彫像のようだ。
ハイトの無駄に詳しい情報によれば、公爵家の長女で王子の婚約者候補の筆頭なのだそうだ。
風の2人も美人だがオーラというか気高さが別格だ。
アマリリスはロッテンの目線に気づいたのか、チラリとこちらを見て、眉を顰めてそっぽを向いた。
(まあ、そりゃそうか。平民どころか孤児なんかネズミほどの存在だろうからな。それにしても、同じ聖女でもマリアとは随分と雰囲気が違うな)
ひとしきり観察してから目線を戻し、隣の友人に声をかける。
「ハイト、この後って何するんだっけ?」
「自己紹介して、グループ内の役職決めて解散だな」
「へぇ、キミがハイト君?シルキー商会の会頭の子息の?」
不意に近寄ってきた王子に、ハイトは礼儀正しくお辞儀をした。
「我が父の商会をご存知とは光栄です」
「魔塔側のみならず、神殿側にも幅を利かす一大商会を知らない訳がないじゃないか、一緒のグループになれて嬉しい、よろしく頼むよ」
(なんだよー、普通なの俺だけとか言って、王族の覚えもめでたい商会の息子なんじゃんか!)
「ハイトん家…実は金持ち?」
「はははっ!知らないのかい?国を相手に金貸しが出来るほどの家だよ」
王子が気さくに笑いかけてくる。
「私はルドルフ、君は?」
「お、オレはロッテン…です」
「敬語なんかいらないよ、同期だろう?確か、闇学部に6歳の特待生が入ったと聞いたが、それが君かい?」
「え?あ、多分…」
「そっか、その年で凄いじゃないか、よろしくね」
(王子、良い人そうなヤツだなぁ、全然偉ぶらないし)
「よろしく!」
「ルドルフ様!平民には平民の、王族には王族の立場があります。気さくに話しかけて良いと思わせるのは良くありませんわ?」
「アマリリス…ここは身分関係なく魔法について学ぶ学園だ。この場に貴賤は不要だよ」
「ですが!」
「アマリリス、今日の集まりの目的はグループで打ち解ける事だよ、これでは台無しだ」
静かだが、凛とした王子の声が反論を許さない。
「くっ…、出過ぎた真似を致しました」
アマリリスは二の句を堪えて頭を下げて少しだけ退いた。
風の2人が顔を見合わせて、クスクスと扇の内で笑うのが見え、ロッテンは嫌な気分になった。
こんなグループで上手くやっていけるのかと一抹の不安がよぎるなか、なんとか役職決めが終わり、解散となった。
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みんなの感想(1件)

スパークノークス

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2021.09.19 羽野 奏

ありがとうございます♪楽しんでいただけるよう頑張ります。

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