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十一歳
最推し
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十一歳の社交シーズンが始まる一か月前。
下級侍女としての仕事をしているアリアは、今日もいつも通り朝から働き詰めだった。
裏方をこなすことが多い下級侍女は入って一年目の王宮主催の行事において毎回、担当を入れ替えられる。例えば社交シーズンはじまりの夜会で食事係にあたった者は、次の春の園遊会では会場セッティング係、夏の王宮狩場での狩猟会では各貴族の案内係、というようにすべての役割をまんべんなくこなせるように割り振られる。
しかし、二年目になると希望と抽選によって配属が割り振られ、大体は退職(ごくまれに上級侍女に昇進)まではその部署で働き続ける。アリアもそれに漏れず、あと一週間したら配属先を決めることになっていた。
ちなみに、周囲からは彼女が完璧であると評されたマナーの知識を生かすために配膳部への配属をするのではないかと思われていたが、実際のところは『ラブデ』の破滅エンド回避のために外とのつながりが欲しいので、一番官吏たちと繋がれる機会が多い接待部を希望する予定である。
とはいえども、この配属割り振りには裏があり、金を積んで配属を優遇してもらう人も少なくない。特に大商会の令嬢たちは毎年のようにやってのけている。だが、今回はアリアという大きな壁がある。どんな手を使ってくるかは分からない。
そんなことを仕事中にもかかわらず考えていたアリアは、向かっていた方向に普段は見たことのない長身の女性がいるのに気づいた。
鮮やかな赤い巻き髪が綺麗。澄んだ緑色の瞳にあうな。
それにくびれのある体はいいな。
思わずそんな感想を抱いてしまったアリアだが、どこかで見たことがあるような既視感もあった。
「あの、どうかされまし―――ふがっ」
女性に声をと思った瞬間、全身に衝撃が走った。目の前にいた女性がものすごいスピードでやってきてアリアを抱いたのだと気づくのに少し時間がかかった。
「なんか噂と違ってすっごい可愛らしいじゃないの」
そう言っているその赤毛の女性は図らずとも彼女の豊満な胸にアリアの顔を押し付ける形になっている。なんだか柔らかい感触に羨ましいなぁと的外れな感想をしてしまうあたり、前世でもそこがコンプレックスだったのだろうか。
「えっと、申し訳ありません、あなたは――?」
ああ、ごめんなさいね。つい可愛らしかったから、と言って女性は突然の出来事に固まっているアリアを放した後、このナイスバディ美人におそるおそる尋ねるアリア。
「マーガレット・バルティアよ。バルティア公爵家の次女の方よ」
その言葉で昨年のシーズンはじめの夜会を思い出した。
『ディート伯爵といえばバルティア公爵家から奪った』
確かミリアという名前の女性にそうディスられたアリア。まだ成人前の彼女が王宮になんの用事があるのだろうか。もちろん、公爵家の用事ということも考えられるが、だとしたら、こんな奥までこないだろう。
「お初にお目にかかります、マーガレット様。私は―――」
自己紹介しようとしたアリアだったが、マーガレットがニッコリと笑い彼女の言葉を遮った。
「アリア・スフォルツァ公爵令嬢ね。こちらこそ初めまして」
「貴女の噂はいろいろ聞いているわよ」
その言葉にアリアはたじろいだ。というか、どんな噂なのかが怖くて、冷や汗が背中を流れた気がした。
「大丈夫よ、悪い噂だけではないから。あなたが行ってきたことについて、すべて聞いているわ」
頭を撫でながらそうマーガレットは断言した。
「そうですか」
アリアは少し安堵するとともに、なんで自分よりも二歳上の彼女、しかもしっかりとしたマナーを身につけているはずの彼女がまだ成人していないのかが気になってしまった。
それはマーガレットもあらかじめ聞かれることを分かっていたようで、ええ、分かっていてよ、と苦笑いしていた。
「一昨年と去年は王命でミゼルシア王国まで行って、そこのマナーの勉強をしていたのよ。で、今年、デビュタントになるから、その夜会の前に帰ってきたけれど、お父様がうるさいから先に王妃様にご挨拶しようと思ってきたのよ」
どうしてここにいるまで教えてくれた。
アリアは大変だと思いつつも、少し羨ましく感じている自分がいた。
「本当はあなたともっとおしゃべりしたかったけれど、ちょっと時間がないの。まあ、明日から上級侍女として上がることは決まっているから、今度、休憩時間にでも一緒に喋りましょう。そうね、中庭の四阿でデザートを食べながら、というのもいいわね」
マーガレットはニコニコとしながら言う。そこに裏はないだろう。そう信じたい。
「はい、楽しみにしております」
あけすけに彼女に好意を持って接してくれるのは、ありがたい話だった。そうやってマーガレットと話していたアリアは向こうから少年がやってくるのが見えた。
背丈はアリアと同じくらい。
髪は目の前の女性と同じ赤。そして、あのイラストと同じ鮮やかな緑色の瞳。
「姉上、王妃殿下の支度が整ったようです」
記憶にあるよりも少し高い声だったが、間違いなく彼の声。
ついに相原涼音が『ラブデ』で最も推していたアラン・バルディアの登場だった。
うーん。
駆けよりたいけど、多分、今駆けよったら間違いなく通報案件よねぇ。
それに向こうからはあんまりよく見られてないだろうから、間違いなく家が絡んでくるよねぇ。
アリアの家であるスフォルツァ家とアラン、マーガレット姉弟のバルティア家はぶっちゃけあまり仲がよろしくない。もっとも仲が悪い、というよりも、互いに無関心だった、という方が正しいのかもしれないが。
だから、クリスティアン、クロード両王子に次いで関わりたくない人物の一人だった。
「あら、アラン。ちょうどよかったわ」
そんなアリアの気なぞ知らないマーガレットは笑顔でアランに声をかけた。
「あなたもスフォルツァ公爵令嬢知っているわよね? タイミングがいいから挨拶なさっておきなさい」
姉の言葉を受けたアランは少し眉間にシワを寄せたが、反論せずに素直に従った。
「俺はアラン・バルティア。国王陛下からあんたのことは聞いたが、あんたみたいな女は嫌いだ。フェティダんとこが今は静観してる以上、こちらからも手は出す気はないが、いずれ騎士団としてもあんたの家を強制捜査しなきゃいけねぇ」
アランの挨拶代わりの宣戦布告にアリアはこう来たか、と内心ガッツポーズをした。
ユリウスやベアトリーチェのように懐かれるのは非常に困るが、こうやって敵対心丸出しで来てもらえるのは、離れる手間が少なくて済む。
それが相原涼音の最推しだろうが関係ない。
マーガレットが弟の暴言にアリアへ何か言おうとしていたが、それを制したアリアはうっすらと何か企んでますよ、という意地悪な笑みを浮かべた。
「あら、そう。だったらこちらは精一杯、お迎えして差し上げますわ。そうですわね。例えばコクーン副騎士団長様に美味しいお菓子を振る舞うのも良いですわね」
アリアの皮肉にチッと舌を鳴らすアラン。だけども、国王のお気に入りと認識しているアリアにこれ以上、下手なことを言えないと判断したのか、姉貴、さっさと行くぞ、とマーガレットを引っ張っていった。
振り返りごめんね、と口パクで謝りながら去っていったマーガレットを見て、ふうとため息をつくアリア。
「あれが私が推していたアラン・バルティアなのね」
遠く離れていく姉弟を見ながら、そう呟いた。
まあ、あなたにも勝って見せましょう。
そう呟き、仕事モードに切り替えたアリアは次の仕事をすべく、リネン室へ向かった。
下級侍女としての仕事をしているアリアは、今日もいつも通り朝から働き詰めだった。
裏方をこなすことが多い下級侍女は入って一年目の王宮主催の行事において毎回、担当を入れ替えられる。例えば社交シーズンはじまりの夜会で食事係にあたった者は、次の春の園遊会では会場セッティング係、夏の王宮狩場での狩猟会では各貴族の案内係、というようにすべての役割をまんべんなくこなせるように割り振られる。
しかし、二年目になると希望と抽選によって配属が割り振られ、大体は退職(ごくまれに上級侍女に昇進)まではその部署で働き続ける。アリアもそれに漏れず、あと一週間したら配属先を決めることになっていた。
ちなみに、周囲からは彼女が完璧であると評されたマナーの知識を生かすために配膳部への配属をするのではないかと思われていたが、実際のところは『ラブデ』の破滅エンド回避のために外とのつながりが欲しいので、一番官吏たちと繋がれる機会が多い接待部を希望する予定である。
とはいえども、この配属割り振りには裏があり、金を積んで配属を優遇してもらう人も少なくない。特に大商会の令嬢たちは毎年のようにやってのけている。だが、今回はアリアという大きな壁がある。どんな手を使ってくるかは分からない。
そんなことを仕事中にもかかわらず考えていたアリアは、向かっていた方向に普段は見たことのない長身の女性がいるのに気づいた。
鮮やかな赤い巻き髪が綺麗。澄んだ緑色の瞳にあうな。
それにくびれのある体はいいな。
思わずそんな感想を抱いてしまったアリアだが、どこかで見たことがあるような既視感もあった。
「あの、どうかされまし―――ふがっ」
女性に声をと思った瞬間、全身に衝撃が走った。目の前にいた女性がものすごいスピードでやってきてアリアを抱いたのだと気づくのに少し時間がかかった。
「なんか噂と違ってすっごい可愛らしいじゃないの」
そう言っているその赤毛の女性は図らずとも彼女の豊満な胸にアリアの顔を押し付ける形になっている。なんだか柔らかい感触に羨ましいなぁと的外れな感想をしてしまうあたり、前世でもそこがコンプレックスだったのだろうか。
「えっと、申し訳ありません、あなたは――?」
ああ、ごめんなさいね。つい可愛らしかったから、と言って女性は突然の出来事に固まっているアリアを放した後、このナイスバディ美人におそるおそる尋ねるアリア。
「マーガレット・バルティアよ。バルティア公爵家の次女の方よ」
その言葉で昨年のシーズンはじめの夜会を思い出した。
『ディート伯爵といえばバルティア公爵家から奪った』
確かミリアという名前の女性にそうディスられたアリア。まだ成人前の彼女が王宮になんの用事があるのだろうか。もちろん、公爵家の用事ということも考えられるが、だとしたら、こんな奥までこないだろう。
「お初にお目にかかります、マーガレット様。私は―――」
自己紹介しようとしたアリアだったが、マーガレットがニッコリと笑い彼女の言葉を遮った。
「アリア・スフォルツァ公爵令嬢ね。こちらこそ初めまして」
「貴女の噂はいろいろ聞いているわよ」
その言葉にアリアはたじろいだ。というか、どんな噂なのかが怖くて、冷や汗が背中を流れた気がした。
「大丈夫よ、悪い噂だけではないから。あなたが行ってきたことについて、すべて聞いているわ」
頭を撫でながらそうマーガレットは断言した。
「そうですか」
アリアは少し安堵するとともに、なんで自分よりも二歳上の彼女、しかもしっかりとしたマナーを身につけているはずの彼女がまだ成人していないのかが気になってしまった。
それはマーガレットもあらかじめ聞かれることを分かっていたようで、ええ、分かっていてよ、と苦笑いしていた。
「一昨年と去年は王命でミゼルシア王国まで行って、そこのマナーの勉強をしていたのよ。で、今年、デビュタントになるから、その夜会の前に帰ってきたけれど、お父様がうるさいから先に王妃様にご挨拶しようと思ってきたのよ」
どうしてここにいるまで教えてくれた。
アリアは大変だと思いつつも、少し羨ましく感じている自分がいた。
「本当はあなたともっとおしゃべりしたかったけれど、ちょっと時間がないの。まあ、明日から上級侍女として上がることは決まっているから、今度、休憩時間にでも一緒に喋りましょう。そうね、中庭の四阿でデザートを食べながら、というのもいいわね」
マーガレットはニコニコとしながら言う。そこに裏はないだろう。そう信じたい。
「はい、楽しみにしております」
あけすけに彼女に好意を持って接してくれるのは、ありがたい話だった。そうやってマーガレットと話していたアリアは向こうから少年がやってくるのが見えた。
背丈はアリアと同じくらい。
髪は目の前の女性と同じ赤。そして、あのイラストと同じ鮮やかな緑色の瞳。
「姉上、王妃殿下の支度が整ったようです」
記憶にあるよりも少し高い声だったが、間違いなく彼の声。
ついに相原涼音が『ラブデ』で最も推していたアラン・バルディアの登場だった。
うーん。
駆けよりたいけど、多分、今駆けよったら間違いなく通報案件よねぇ。
それに向こうからはあんまりよく見られてないだろうから、間違いなく家が絡んでくるよねぇ。
アリアの家であるスフォルツァ家とアラン、マーガレット姉弟のバルティア家はぶっちゃけあまり仲がよろしくない。もっとも仲が悪い、というよりも、互いに無関心だった、という方が正しいのかもしれないが。
だから、クリスティアン、クロード両王子に次いで関わりたくない人物の一人だった。
「あら、アラン。ちょうどよかったわ」
そんなアリアの気なぞ知らないマーガレットは笑顔でアランに声をかけた。
「あなたもスフォルツァ公爵令嬢知っているわよね? タイミングがいいから挨拶なさっておきなさい」
姉の言葉を受けたアランは少し眉間にシワを寄せたが、反論せずに素直に従った。
「俺はアラン・バルティア。国王陛下からあんたのことは聞いたが、あんたみたいな女は嫌いだ。フェティダんとこが今は静観してる以上、こちらからも手は出す気はないが、いずれ騎士団としてもあんたの家を強制捜査しなきゃいけねぇ」
アランの挨拶代わりの宣戦布告にアリアはこう来たか、と内心ガッツポーズをした。
ユリウスやベアトリーチェのように懐かれるのは非常に困るが、こうやって敵対心丸出しで来てもらえるのは、離れる手間が少なくて済む。
それが相原涼音の最推しだろうが関係ない。
マーガレットが弟の暴言にアリアへ何か言おうとしていたが、それを制したアリアはうっすらと何か企んでますよ、という意地悪な笑みを浮かべた。
「あら、そう。だったらこちらは精一杯、お迎えして差し上げますわ。そうですわね。例えばコクーン副騎士団長様に美味しいお菓子を振る舞うのも良いですわね」
アリアの皮肉にチッと舌を鳴らすアラン。だけども、国王のお気に入りと認識しているアリアにこれ以上、下手なことを言えないと判断したのか、姉貴、さっさと行くぞ、とマーガレットを引っ張っていった。
振り返りごめんね、と口パクで謝りながら去っていったマーガレットを見て、ふうとため息をつくアリア。
「あれが私が推していたアラン・バルティアなのね」
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