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十一歳
第三の目標
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そして、試験から数日後、一通の手紙が届いた。
王家の紋章であるスミレの紋章が付いており、アリアに直接渡されたことから、明らかに試験の結果だと分かった。
「合格したのね」
いつもの三人が立ち会いながら、開封したあと、最初にかけられた言葉がそれだった。
「はい」
アリアはしっかりと頷いた。恒例なのかどうかはしらないが、ご丁寧に順位までついている。
二位。
多分、一位は彼だろう。鼻が高い貴族の子息たちの目の前で、首席をとってやると豪語していたくらいだし、なによりあのグループディスカッションの場で公爵令嬢であるアリアに物怖じなく意見を言っていたぐらいだ。試験官たちの印象も良いだろう。
今は悔しくない。
でも、これがこの先、どのように影響してくるか分からない。
宰相という文官最高のポスト。
これを手に入れるのにはどのようにすれば良いのだろうか。もちろん彼とは違って、金だってあるし、家家柄だって上なんだから、それを使ってのし上がることだってできる。だけども、それじゃあ面白くない。
「自分の力、か」
今の彼女にとって足りないものはなんだろうか。しばらくの間はそれを探るべく、王宮に上がることになる。それを見つけだす時間は限られている。
「早くしなくちゃね」
アリアの合格、二位についたことを喜ぶ三人を横目に、彼女は新たに決意した。
転生して前世の記憶が蘇ったとき、悪役令嬢としての役割を捨てることを決めた決意。
公爵令嬢として王宮侍女として王宮に入ったときにした、どんな運命に負けないという決意。
そして、今。家族のためでもないし、世間のためでもない決意をアリアはする。
絶対に私は実力だけであいつに勝ってやる。
女性文官というものがどごまで受け入れられるかわからないから未知数だけど、やる価値はある。そう自分に言い聞かせたかった。
少し悔しそうな表情をつくり、ちょっと部屋にこもりますと言って、自室に戻ったアリアは一人きりになった。
だれの協力も得られないかもしれない。それでも。
アリアの中には最初に目指すべき目標があった。
王太子の側近、という立場。
すでにクリスティアン王太子の側にはクレメンスがついているが、彼の立場は『教育係』だ。そうではなく、王太子の参謀、それにつければ宰相という臣下が就ける最高位だって現実味をおびる。
ここからは前世の記憶を整理するために記録した手帳はいらない。誰からも見られないよう引き出しの鍵をかけた。そして、自分でさえもなんかの拍子に取り出してしまわないように鍵はすべての荷物の奥に入れておいた。
それから数日後。
王宮の大広間にアリアは立っていた。今までは公爵令嬢としてここに来ていたが、今回は違う。
「以上、六名を本年の合格者とし、明日より各部署の配属とする」
人事部の最高官、首席事務官がアリアを含む合格者の名前を読みあげる。やはり一位合格はウィリアム・ギガンティア、式典前には彼女を見てニヤリと笑ったていた。今は悔しかったが、なんらかの自分のミスで負けたんだから仕方ないことだと割りきり、精一杯の無表情で押し通した。
「スフォルツァ公爵令嬢、ようこそ秘書課へ」
アリアが配属されたのは王族や公爵家への連絡を行うエリートたちの集団、ではなく、王族や公爵家へのパイプ役をする雑用集団だった。
まぁ、王族の側近になるというのには最短距離なのかもしれないけどね。
最終的な目標は臣下における最高位の宰相。そして、当面の目標はクリスティアン王太子の側近になること。
ナイス人事部、と配属先を言われたときには思ってしまったくらいだった。
「ええ、よろしくお願いします」
アリアの前にいるのは二人の同僚、秘書課長ジョルジュ・オルニア伯爵とパウル・マッキントン男爵だった。二人ともアリアより家格は下だが、一切、問答無用で敬語を使っていないし、むしろ身分に関係なく話してもらえるのは助かる。
ジョルジュに手を差し出されたアリアはそれをしっかりと握る。
王家の紋章であるスミレの紋章が付いており、アリアに直接渡されたことから、明らかに試験の結果だと分かった。
「合格したのね」
いつもの三人が立ち会いながら、開封したあと、最初にかけられた言葉がそれだった。
「はい」
アリアはしっかりと頷いた。恒例なのかどうかはしらないが、ご丁寧に順位までついている。
二位。
多分、一位は彼だろう。鼻が高い貴族の子息たちの目の前で、首席をとってやると豪語していたくらいだし、なによりあのグループディスカッションの場で公爵令嬢であるアリアに物怖じなく意見を言っていたぐらいだ。試験官たちの印象も良いだろう。
今は悔しくない。
でも、これがこの先、どのように影響してくるか分からない。
宰相という文官最高のポスト。
これを手に入れるのにはどのようにすれば良いのだろうか。もちろん彼とは違って、金だってあるし、家家柄だって上なんだから、それを使ってのし上がることだってできる。だけども、それじゃあ面白くない。
「自分の力、か」
今の彼女にとって足りないものはなんだろうか。しばらくの間はそれを探るべく、王宮に上がることになる。それを見つけだす時間は限られている。
「早くしなくちゃね」
アリアの合格、二位についたことを喜ぶ三人を横目に、彼女は新たに決意した。
転生して前世の記憶が蘇ったとき、悪役令嬢としての役割を捨てることを決めた決意。
公爵令嬢として王宮侍女として王宮に入ったときにした、どんな運命に負けないという決意。
そして、今。家族のためでもないし、世間のためでもない決意をアリアはする。
絶対に私は実力だけであいつに勝ってやる。
女性文官というものがどごまで受け入れられるかわからないから未知数だけど、やる価値はある。そう自分に言い聞かせたかった。
少し悔しそうな表情をつくり、ちょっと部屋にこもりますと言って、自室に戻ったアリアは一人きりになった。
だれの協力も得られないかもしれない。それでも。
アリアの中には最初に目指すべき目標があった。
王太子の側近、という立場。
すでにクリスティアン王太子の側にはクレメンスがついているが、彼の立場は『教育係』だ。そうではなく、王太子の参謀、それにつければ宰相という臣下が就ける最高位だって現実味をおびる。
ここからは前世の記憶を整理するために記録した手帳はいらない。誰からも見られないよう引き出しの鍵をかけた。そして、自分でさえもなんかの拍子に取り出してしまわないように鍵はすべての荷物の奥に入れておいた。
それから数日後。
王宮の大広間にアリアは立っていた。今までは公爵令嬢としてここに来ていたが、今回は違う。
「以上、六名を本年の合格者とし、明日より各部署の配属とする」
人事部の最高官、首席事務官がアリアを含む合格者の名前を読みあげる。やはり一位合格はウィリアム・ギガンティア、式典前には彼女を見てニヤリと笑ったていた。今は悔しかったが、なんらかの自分のミスで負けたんだから仕方ないことだと割りきり、精一杯の無表情で押し通した。
「スフォルツァ公爵令嬢、ようこそ秘書課へ」
アリアが配属されたのは王族や公爵家への連絡を行うエリートたちの集団、ではなく、王族や公爵家へのパイプ役をする雑用集団だった。
まぁ、王族の側近になるというのには最短距離なのかもしれないけどね。
最終的な目標は臣下における最高位の宰相。そして、当面の目標はクリスティアン王太子の側近になること。
ナイス人事部、と配属先を言われたときには思ってしまったくらいだった。
「ええ、よろしくお願いします」
アリアの前にいるのは二人の同僚、秘書課長ジョルジュ・オルニア伯爵とパウル・マッキントン男爵だった。二人ともアリアより家格は下だが、一切、問答無用で敬語を使っていないし、むしろ身分に関係なく話してもらえるのは助かる。
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