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一章.魔法使いと人工キメラ
二十五話目-毒の鎧と大勝負
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「ハァーッ……」
ターニャは凄まじい弾幕を撃ち、同時に腕に魔力を貯める……。
「《サーペントの逆鱗》ッ!」
グリモワールから大蛇が飛び出し、果敢に弾の雨に飛び込む……。
毒の蛇は火炎弾を受けて波打ち、所々泡立つ……。
その度に蛇は身動ぎ、制御が効きずらくなり、闇雲にターニャに飛び掛かる。
埒が明かない……。
それをターニャを颯爽と避け、
「余裕が無くなってきたかな……?」
「まだだっ!《ヒュドラの嘆き》!」
グリモワールから生えた九つの首はそれぞれターニャを静かに睨む……。
「……かかれっ!」
一斉にそれはターニャに覆い被さり、盛大に爆ぜる……!
だが刹那、その爆風の中から炎で自分の付近にバリアを張ったターニャが飛び上がる!
「甘いっ! 」
ターニャはそのまま空中で体を横に捻って回り、ドームを槍に変えてこちらに投げる……!
「……グッ……《クトゥグアの激昴》……!」
煮えたぎる赤毒は左手に纏まって一気に硬化、瞬く間に盾と化した。
するとターニャ、ニヤリと笑い、
「フフッ……これが……これこそが年の功だよ!」
その槍は鋭さを増し……先端から裂けた……!?
僕は呆気に取られ、何も出来てきないでいると……そのうち一本の槍は盾を貫いて左腕を裂き、もう一本は僕の左眼を潰した!
「ああああああああああぁぁぁ!」
「魔力の結合力が足りないよ……」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!
片目が潰れると周りが見ずらい……そして呼吸も痛みで続かなくなる……。
するとターニャは、
「……今度は私の勝ちかな? 何も私は君たちを苦しめたい訳じゃない。 久々に戦えて、とても楽しかったよ……」
と、言って僕に手を差し伸べた。
「……これから僕らをどうするんだ?」
「ボスから捕獲命令が出てるからね……君らを殺してでも運ばせていただくよ」
「……断る!」
僕は、強引にターニャの手を払い除ける。
「……そうなのか……では君に聞きたい」
「なんだ?」
「どうして君はこれでも立ち上がれるんだ? 左腕と左眼の欠損。これだけでも君が失血死するには充分過ぎる程の大怪我だよ? 強がったって抗えない物はあるんだよ?」
「……それがどうした?」
「あの娘に会ってからというもの、君は何度も死にかけている……言わば彼女はトラブルメーカー……否、死神だよ? そんなに彼女といたいのかい?」
「アイツは……セシリアは僕を村から連れ出してくれた。 そのお蔭で僕は毎日楽しいし……何より、セシリアは僕の家族だ。それ以上の理由があるのか?」
「……本当にあの村に未練は無いのかい? かつて君と両親が一緒に暮らしていた村……なんだろう? 」
「……村で親に一人残された……忌み子の話を聞きたいのか?」
「……それなら……頼もうか」
ターニャはその場に正座した。
久しぶりにあの頃のことを思い出す……。
「僕は戦中から戦後の数年間、キュロノスという村にいた……その住んでいた期間はちょうど王政の最後から民主主義が安定するまでの間だ 」
「両親がいなくなってから一日目、僕は村人に顔を剥がされた」
「ハア!?」
ターニャは目を丸くする。
まぁ……実際に体感しないと回復薬の効き目なんて分かるはずも無いし……。
僕は続ける。
「片腕は毎日捻り切られたり引きちぎられたり……酷い時は腸を裂かれたり……」
「……まぁそれでもそこにしか住めなかったから……独学で魔法の制御を覚えて追い払った……」
ターニャは再び口を開く、
「その後戦争が終わり、差別や偏見を行っていた王政は事実上の崩壊……そして民主主義が始まった影響で忌み子などの偏見を徹底して払拭する必要があったんだっけ?」
「そんで、それらが居る村には助成金が配られるのと、迫害が行なわれないように日替わりの監視員と警察が置かれるようになった……」
「ああ……子供ながらにも反吐が出る程の手のひら返しだったから、とても……なんだろう……? 憤りとでも言えばいいのだろうか? そういうのを覚えた……」
ターニャは哀しそうに、
「君は随分と職探しに苦労をしていた様だけど……まさかそれもかい?」
「もちろんだ……皆、建前ではまだ幼いからとかって適当な事を言っていたけど……今思えば僕を生かしてくれていたのも助成金を貰うためだったのかもしれないな……」
僕がそう言い終えると、
[ブチッ……!メキメキメキ……!]
後方の壁の一部が盛り上がり、外側から何かが突き破ってくるような音が聞こえた……。
「うりゃああああああ!」
凄まじい勢いで壁を突き破ったのは……セシリア!
セシリアはそのまま床に爪を立てて完全静止してから急いで僕の方に駆けつけた。
「イーヴォ! 大丈夫!? 腕が……左目も!? 」
「うん……まぁ大したことないよ……」
「……前も……そうだった……!」
セシリアは床を素手で殴り、轟音と共にその拳を埋めた。
どうやら相当ご立腹の様子……セシリアの口元で炎が燻った。
「イーヴォ……無理はしないでって言ったわよね?」
「……そういえばね……」
「こうやって……イーヴォは自分を無下にしてまでも私を救おうとするの? 」
「……フフッ……」
僕を……心配してくれるなんて……フフッ……。
何故か僕は話を聞いていると笑えてきてしまった。
僕が微笑むとセシリアは涙を垂らしながらに言う。
「ふざけないで! 私は……イーヴォが……イーヴォが……居ない世界なんて考えたくない……」
セシリアは泣きじゃくってその場にペタンと座り込む。
僕はセシリアの頬をまだ指のある、右の手で触れながら、
「多分逆の立場だったなら……セシリアも僕に同じ事をしてくれていると思うんだ……セシリアは……優しいから……」
「それは……」
すかさずターニャは付け加える。
「それにこの戦いは魔法使い同士の一騎打ち……介入は許さないよ?」
「……わかったわ……」
セシリアは少し中心から離れた所に座った。
「……ねえ……君はなにか策でもあるのかい?」
「何の事だ?」
「いやぁ……無くなった左腕と左眼をどうカバーするのかと思ってね?」
そういえばそうだ。
いくら何でも隻腕、隻眼に相手は最強の魔法使いって手負いの獣にも程があるな……。
「セシリア、ちょっと僕の話を聞いてもらっていい?」
「どうしたの?」
「魔法の名前の話だよ」
「名前……? ああ! 鎧の魔法ね! でも……それがどうしたの?」
僕はゆっくりと立ち上がった。
右手に最後のページを開いたグリモワールを乗せる。
さて……ぶっつけ本番だけど……まともに使えるだろうか?
そして、眼前の真っ白な魔法使いを見つめながら、
「《毒騎士》ッ!」
真っ黒な毒の装甲が全身を瞬く間に包み込む……。
左腕は毒による義手……とはいえ僕の魔法なのだから融通が効くし、変形すら出来る。
「おお! かっこいい!」
「ふぅん……魔力操作が緻密になってきたじゃないか……」
僕はさらに自分の背丈の半分以上はあろうというロングソード、そしてそれに見合わない小盾を毒で作り出した。
「さあ……二回戦だ……! 」
「さてと……私を楽しませておくれよ!」
ターニャは両腕に焔を宿し……その胸に突き刺す!?
[ドグチャア……]
臓物、血、骨片を撒き散らしながらターニャは満面の笑みを浮かべた……。
「あぁ……ノア……ようやく貴方と一つになれた……! あともう少しの辛抱よ……随分と……待たせたわね……」
ターニャの周りに飛び散った真っ赤な淀みは途端に轟々と火柱を上げる……!
「さぁ! 君がその気なら、私も命を賭ける! 」
その火柱は上方から渦を巻いてまとまり……、
「もう出し惜しみはしない! 圧倒的火力で捩じ伏せてくれよう!」
刹那、辺りに火の粉を撒き散らしながらそのドームは爆ぜる……!
そこには真っ赤な炎のドレスに身を包んだターニャの姿が!
「フフッ……どうかねこのドレス……? ノアと選んだウエディングドレスをモチーフにして炎で細工してみたけど……」
「安心しろターニャ。 死ぬほど似合ってる」
「それは宣戦布告かね?」
「さあ? ただ、綺麗なのは確かだと僕は思うね」
「フフン! あんまり私をたぶらかさない方がいいと思うぞ? 君には後ろの娘がいるだろう?」
何の話だよ……戦わないのかよ……。
お前とこれから相見える戦士は、手負いの獣にしてアルビノなんだぞ?
少しは気を使ってくれ……。
立ってるだけで消耗してんだから……。
まぁ……少し話に付き合ってやろう。
「たぶらかす? 何のことだか……まあ、僕自身セシリアに欲情していないのは確かだけど?」
セシリアはどうやら会話を全て聞いていたようで、僕に語りかけようとする。
「イーヴォ……流石に今のは……心に刺さるよ……」
「まぁ……言い方の問題なのかもしれないけど、僕はセシリアが大好きだね」
「!!?」
セシリアは顔から火を出して(比喩無しで)紅潮した。
可愛い……。
「フフッ……アハハハッ! どうやら君らも私らみたいに仲がいいみたいだね?」
「さあ? セシリアはどう思ってるかなんて僕には分かりっこないからね」
「フフン……謙虚な奴だね君は……嫌いじゃないよ!」
「余計なお世話だターニャ! いつまでその余裕が続くかな!? 」
「いい度胸しているじゃないか! 毒魔法使い……いや、イーヴォ!」
ようやく両者睨み合い、冷戦は再び熱く燃え上がる!
「さあ始めようか! 」
僕は鎧の隙間から毒を垂らし、霧状に辺りにばらまく……。
その紫色の霧は辺り一面に広がり、ターニャの所まで届いた。
「無駄なこと! この炎のドレスはあまりの高温により、全てを無に帰す!」
と、言いながらターニャは魔力を溜めながら突っ込んできた……。
「……よし!」
僕は剣を再び握り直し、それに応えるように突っ込んだ。
普通なら、僕はほぼ確実に討ち負けるだろうが……今回は……策がうまくいった。
「ハアッ!」
ターニャは前に投げてきた炎の槍を今度は2本まとめて投げてくる!
その槍は対象に突き刺さると、凄まじい音を立てて爆ぜ、辺りを炎で包み込む……!
それに僕は呑み込まれ……!
「ハハハッ! どうだ!これが圧倒的火力ッ! 」
ターニャは高揚しながらに騒ぎ立てる……。
「やはり流石の威力だ……食らってたら間違いなく僕は皮膚片一つすら残せていなかっただろう……」
「お気遣いどうも……ところで……君は何故私の背後に立っているんだい? 逃げるのかい? 」
「勝負は決した……。否、こう言おうか……もう斬った」
「!?」
僕がそう言うと、ターニャの両腕の肘から先が落ち、上体が滑り、力無く下半身が膝をついた。
「なっ!? 」
ドサリと崩れ落ちたターニャは上半身のみとなった体で懸命に声を上げる。
「……何故片目だけで避けることが出来た……? そしてその身体能力は何故……?」
「簡単な話だ。 僕が初めに出した毒の霧は視認用……魔力操作の際の抵抗で文字通り、手に取るようにその場の状況が分かる」
「ならば……その剣術は……?」
「毒鎧で外側から身体を動かせばその程度造作もない……」
そう言うとターニャは力無く笑った。
「フフフッ……流石だ……活用法を独学で身に付けるとは……」
「何が可笑しい?」
「お前なら……あのお方の……ボスを楽に出来るかもしれないな……なんて思ってしまってね……」
「ファントムを?」
「君は……ボスの事を単なる化け物とでも思っていないかい?」
……どういう事だ?
ターニャの傷口からはどくどくと血が流れ続ける……その度にターニャの顔は青白く、呼吸は弱々しくなっていく……。
「あのお方は……かつて……かつて……に……」
「どうした……? なんなんだ……アイツは?」
ターニャは既に事切れていた……その眼は凄みを保ったまま開かれている……。
僕は右手の鎧を解き、その瞼を下ろした。
その顔はようやく安らかになり、そのまま眠りに着いたかのようだった。
[ズゴゴゴゴゴゴ……]
ん?
なんか、周りから物騒な音が……。
これって確かターニャの……!
僕はようやくこの空間が崩れそうになっていることを理解した……。
「セシリア! 逃げるよ!うん? セシリアー……」
セシリアは蕩けたような顔のままそこに座り込んでいる……。
少しぐらい僕にもロマンチックな事を言わせてくれよ……。
もう……呪われてるのか? これは?
いや! こんなことしてられない!
僕はセシリアを左腕で、ターニャの上体を右手で抱えてセシリアが吶喊して来た穴に滑り込む……!
煉瓦の道を転がり……僕は仰向けになった。
ポツポツと冷たい雨が顔に掛かり、僕はようやく生きた心地がした。
まもなく、セシリアは起き上がった。
「う……うん……なんか服がスースーするような……ってきゃあああああ!」
セシリアは起き上がるなり僕の顔面に右ストレート……。
鈍い衝撃が首にかかり、そのままカチ上げられた……。
二度と味わえないような浮遊感をゆっくりと堪能し……地面に叩き付けられる。
「……ハア……ハア……私のハダカを剥こうとはいい度胸……ってイーヴォ!?」
「これからは殴る前にちゃんと確認をしてくれない? ……まぁ服を溶かしちゃったのは申し訳無いけど…… 」
「ごめんね! あ! 傷の手当てもしないと!」
セシリアの服は抱えた時の影響で腹のあたりから少し溶けて切れている……あとすこし溶けていたらそれこそ殺されていただろう……。
そんな事を話していると、いきなり周りが賑やかになった。
「うぉぉおおおお! 英雄だ!」
「救世主だ! この街を救ってくれた! 」
「誰か医者を呼べ! かなり怪我がヤバそうだ!」
……けなしたり、讃えたり大変だなこの街の人間も……。
まぁ……恐らく偏見は消え去った事だろう……そんな事を考えながら僕はセシリアに担がれる……。
「あ! そこにある遺体を……埋葬してあげてもらえますか?」
彼女も遠い昔の英雄なのだ……弔われなければ気の毒にも程が……。
「あ? そんなもの犬も食うかよ……その辺に捨てておけ!」
「は?」
「この街を滅ぼそうとした大罪人よ! ああ!忌々しい!」
……この街の人間は……どうやら何かを恨み続けなければ生きていけないようだ……。
まあ、何人かを除くが……。
集団心理ってやつだろうか?
「セシリア……下ろしてもらっていいかい?」
「いいけど……なんで?」
僕はターニャの上体を抱える。
「先に埋めてあげよう……少し草原に出よう」
「うん……そうね」
僕らはどんちゃん騒ぎの街を尻目に来た道を引き返すように草原に戻る。
「……これでよしっと!」
セシリアは岩を丁寧に砕き、僕は何とか器用にその破片を溶かし、遺体が丁度入りそうな棺桶を作った……。
その中にターニャの体を入れ、大きめの木の根元に埋めた……。
器用に岩で歪な十字架を作り、その場に突き立てる……。
死ねばどんな偉い人間でもどんなに下卑た人間でもただの骨……それだと言うのになんだろう……あの扱いようは……。
すると後ろから足音が……。
「これだね? あの魔法使いさんのお墓」
「え?」
振り返ると、そこにはネネが……。
ネネは手を合わせて涙を流す……。
「この人も……懸命に生きてたのになぁ……」
恐らく、拳を交えたものだからこそ分かるものがあるのだろうか……。
「……よし! 街に戻ろう! 怪我治してとっとと次の街に行かないと!」
「……うん、そうだよね!」
僕らは壁の無くなったイゴロノスの街に歩いて行く……。
まぁ……怪我が治り次第出ていくことになりそうだけど……。
ターニャは凄まじい弾幕を撃ち、同時に腕に魔力を貯める……。
「《サーペントの逆鱗》ッ!」
グリモワールから大蛇が飛び出し、果敢に弾の雨に飛び込む……。
毒の蛇は火炎弾を受けて波打ち、所々泡立つ……。
その度に蛇は身動ぎ、制御が効きずらくなり、闇雲にターニャに飛び掛かる。
埒が明かない……。
それをターニャを颯爽と避け、
「余裕が無くなってきたかな……?」
「まだだっ!《ヒュドラの嘆き》!」
グリモワールから生えた九つの首はそれぞれターニャを静かに睨む……。
「……かかれっ!」
一斉にそれはターニャに覆い被さり、盛大に爆ぜる……!
だが刹那、その爆風の中から炎で自分の付近にバリアを張ったターニャが飛び上がる!
「甘いっ! 」
ターニャはそのまま空中で体を横に捻って回り、ドームを槍に変えてこちらに投げる……!
「……グッ……《クトゥグアの激昴》……!」
煮えたぎる赤毒は左手に纏まって一気に硬化、瞬く間に盾と化した。
するとターニャ、ニヤリと笑い、
「フフッ……これが……これこそが年の功だよ!」
その槍は鋭さを増し……先端から裂けた……!?
僕は呆気に取られ、何も出来てきないでいると……そのうち一本の槍は盾を貫いて左腕を裂き、もう一本は僕の左眼を潰した!
「ああああああああああぁぁぁ!」
「魔力の結合力が足りないよ……」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!
片目が潰れると周りが見ずらい……そして呼吸も痛みで続かなくなる……。
するとターニャは、
「……今度は私の勝ちかな? 何も私は君たちを苦しめたい訳じゃない。 久々に戦えて、とても楽しかったよ……」
と、言って僕に手を差し伸べた。
「……これから僕らをどうするんだ?」
「ボスから捕獲命令が出てるからね……君らを殺してでも運ばせていただくよ」
「……断る!」
僕は、強引にターニャの手を払い除ける。
「……そうなのか……では君に聞きたい」
「なんだ?」
「どうして君はこれでも立ち上がれるんだ? 左腕と左眼の欠損。これだけでも君が失血死するには充分過ぎる程の大怪我だよ? 強がったって抗えない物はあるんだよ?」
「……それがどうした?」
「あの娘に会ってからというもの、君は何度も死にかけている……言わば彼女はトラブルメーカー……否、死神だよ? そんなに彼女といたいのかい?」
「アイツは……セシリアは僕を村から連れ出してくれた。 そのお蔭で僕は毎日楽しいし……何より、セシリアは僕の家族だ。それ以上の理由があるのか?」
「……本当にあの村に未練は無いのかい? かつて君と両親が一緒に暮らしていた村……なんだろう? 」
「……村で親に一人残された……忌み子の話を聞きたいのか?」
「……それなら……頼もうか」
ターニャはその場に正座した。
久しぶりにあの頃のことを思い出す……。
「僕は戦中から戦後の数年間、キュロノスという村にいた……その住んでいた期間はちょうど王政の最後から民主主義が安定するまでの間だ 」
「両親がいなくなってから一日目、僕は村人に顔を剥がされた」
「ハア!?」
ターニャは目を丸くする。
まぁ……実際に体感しないと回復薬の効き目なんて分かるはずも無いし……。
僕は続ける。
「片腕は毎日捻り切られたり引きちぎられたり……酷い時は腸を裂かれたり……」
「……まぁそれでもそこにしか住めなかったから……独学で魔法の制御を覚えて追い払った……」
ターニャは再び口を開く、
「その後戦争が終わり、差別や偏見を行っていた王政は事実上の崩壊……そして民主主義が始まった影響で忌み子などの偏見を徹底して払拭する必要があったんだっけ?」
「そんで、それらが居る村には助成金が配られるのと、迫害が行なわれないように日替わりの監視員と警察が置かれるようになった……」
「ああ……子供ながらにも反吐が出る程の手のひら返しだったから、とても……なんだろう……? 憤りとでも言えばいいのだろうか? そういうのを覚えた……」
ターニャは哀しそうに、
「君は随分と職探しに苦労をしていた様だけど……まさかそれもかい?」
「もちろんだ……皆、建前ではまだ幼いからとかって適当な事を言っていたけど……今思えば僕を生かしてくれていたのも助成金を貰うためだったのかもしれないな……」
僕がそう言い終えると、
[ブチッ……!メキメキメキ……!]
後方の壁の一部が盛り上がり、外側から何かが突き破ってくるような音が聞こえた……。
「うりゃああああああ!」
凄まじい勢いで壁を突き破ったのは……セシリア!
セシリアはそのまま床に爪を立てて完全静止してから急いで僕の方に駆けつけた。
「イーヴォ! 大丈夫!? 腕が……左目も!? 」
「うん……まぁ大したことないよ……」
「……前も……そうだった……!」
セシリアは床を素手で殴り、轟音と共にその拳を埋めた。
どうやら相当ご立腹の様子……セシリアの口元で炎が燻った。
「イーヴォ……無理はしないでって言ったわよね?」
「……そういえばね……」
「こうやって……イーヴォは自分を無下にしてまでも私を救おうとするの? 」
「……フフッ……」
僕を……心配してくれるなんて……フフッ……。
何故か僕は話を聞いていると笑えてきてしまった。
僕が微笑むとセシリアは涙を垂らしながらに言う。
「ふざけないで! 私は……イーヴォが……イーヴォが……居ない世界なんて考えたくない……」
セシリアは泣きじゃくってその場にペタンと座り込む。
僕はセシリアの頬をまだ指のある、右の手で触れながら、
「多分逆の立場だったなら……セシリアも僕に同じ事をしてくれていると思うんだ……セシリアは……優しいから……」
「それは……」
すかさずターニャは付け加える。
「それにこの戦いは魔法使い同士の一騎打ち……介入は許さないよ?」
「……わかったわ……」
セシリアは少し中心から離れた所に座った。
「……ねえ……君はなにか策でもあるのかい?」
「何の事だ?」
「いやぁ……無くなった左腕と左眼をどうカバーするのかと思ってね?」
そういえばそうだ。
いくら何でも隻腕、隻眼に相手は最強の魔法使いって手負いの獣にも程があるな……。
「セシリア、ちょっと僕の話を聞いてもらっていい?」
「どうしたの?」
「魔法の名前の話だよ」
「名前……? ああ! 鎧の魔法ね! でも……それがどうしたの?」
僕はゆっくりと立ち上がった。
右手に最後のページを開いたグリモワールを乗せる。
さて……ぶっつけ本番だけど……まともに使えるだろうか?
そして、眼前の真っ白な魔法使いを見つめながら、
「《毒騎士》ッ!」
真っ黒な毒の装甲が全身を瞬く間に包み込む……。
左腕は毒による義手……とはいえ僕の魔法なのだから融通が効くし、変形すら出来る。
「おお! かっこいい!」
「ふぅん……魔力操作が緻密になってきたじゃないか……」
僕はさらに自分の背丈の半分以上はあろうというロングソード、そしてそれに見合わない小盾を毒で作り出した。
「さあ……二回戦だ……! 」
「さてと……私を楽しませておくれよ!」
ターニャは両腕に焔を宿し……その胸に突き刺す!?
[ドグチャア……]
臓物、血、骨片を撒き散らしながらターニャは満面の笑みを浮かべた……。
「あぁ……ノア……ようやく貴方と一つになれた……! あともう少しの辛抱よ……随分と……待たせたわね……」
ターニャの周りに飛び散った真っ赤な淀みは途端に轟々と火柱を上げる……!
「さぁ! 君がその気なら、私も命を賭ける! 」
その火柱は上方から渦を巻いてまとまり……、
「もう出し惜しみはしない! 圧倒的火力で捩じ伏せてくれよう!」
刹那、辺りに火の粉を撒き散らしながらそのドームは爆ぜる……!
そこには真っ赤な炎のドレスに身を包んだターニャの姿が!
「フフッ……どうかねこのドレス……? ノアと選んだウエディングドレスをモチーフにして炎で細工してみたけど……」
「安心しろターニャ。 死ぬほど似合ってる」
「それは宣戦布告かね?」
「さあ? ただ、綺麗なのは確かだと僕は思うね」
「フフン! あんまり私をたぶらかさない方がいいと思うぞ? 君には後ろの娘がいるだろう?」
何の話だよ……戦わないのかよ……。
お前とこれから相見える戦士は、手負いの獣にしてアルビノなんだぞ?
少しは気を使ってくれ……。
立ってるだけで消耗してんだから……。
まぁ……少し話に付き合ってやろう。
「たぶらかす? 何のことだか……まあ、僕自身セシリアに欲情していないのは確かだけど?」
セシリアはどうやら会話を全て聞いていたようで、僕に語りかけようとする。
「イーヴォ……流石に今のは……心に刺さるよ……」
「まぁ……言い方の問題なのかもしれないけど、僕はセシリアが大好きだね」
「!!?」
セシリアは顔から火を出して(比喩無しで)紅潮した。
可愛い……。
「フフッ……アハハハッ! どうやら君らも私らみたいに仲がいいみたいだね?」
「さあ? セシリアはどう思ってるかなんて僕には分かりっこないからね」
「フフン……謙虚な奴だね君は……嫌いじゃないよ!」
「余計なお世話だターニャ! いつまでその余裕が続くかな!? 」
「いい度胸しているじゃないか! 毒魔法使い……いや、イーヴォ!」
ようやく両者睨み合い、冷戦は再び熱く燃え上がる!
「さあ始めようか! 」
僕は鎧の隙間から毒を垂らし、霧状に辺りにばらまく……。
その紫色の霧は辺り一面に広がり、ターニャの所まで届いた。
「無駄なこと! この炎のドレスはあまりの高温により、全てを無に帰す!」
と、言いながらターニャは魔力を溜めながら突っ込んできた……。
「……よし!」
僕は剣を再び握り直し、それに応えるように突っ込んだ。
普通なら、僕はほぼ確実に討ち負けるだろうが……今回は……策がうまくいった。
「ハアッ!」
ターニャは前に投げてきた炎の槍を今度は2本まとめて投げてくる!
その槍は対象に突き刺さると、凄まじい音を立てて爆ぜ、辺りを炎で包み込む……!
それに僕は呑み込まれ……!
「ハハハッ! どうだ!これが圧倒的火力ッ! 」
ターニャは高揚しながらに騒ぎ立てる……。
「やはり流石の威力だ……食らってたら間違いなく僕は皮膚片一つすら残せていなかっただろう……」
「お気遣いどうも……ところで……君は何故私の背後に立っているんだい? 逃げるのかい? 」
「勝負は決した……。否、こう言おうか……もう斬った」
「!?」
僕がそう言うと、ターニャの両腕の肘から先が落ち、上体が滑り、力無く下半身が膝をついた。
「なっ!? 」
ドサリと崩れ落ちたターニャは上半身のみとなった体で懸命に声を上げる。
「……何故片目だけで避けることが出来た……? そしてその身体能力は何故……?」
「簡単な話だ。 僕が初めに出した毒の霧は視認用……魔力操作の際の抵抗で文字通り、手に取るようにその場の状況が分かる」
「ならば……その剣術は……?」
「毒鎧で外側から身体を動かせばその程度造作もない……」
そう言うとターニャは力無く笑った。
「フフフッ……流石だ……活用法を独学で身に付けるとは……」
「何が可笑しい?」
「お前なら……あのお方の……ボスを楽に出来るかもしれないな……なんて思ってしまってね……」
「ファントムを?」
「君は……ボスの事を単なる化け物とでも思っていないかい?」
……どういう事だ?
ターニャの傷口からはどくどくと血が流れ続ける……その度にターニャの顔は青白く、呼吸は弱々しくなっていく……。
「あのお方は……かつて……かつて……に……」
「どうした……? なんなんだ……アイツは?」
ターニャは既に事切れていた……その眼は凄みを保ったまま開かれている……。
僕は右手の鎧を解き、その瞼を下ろした。
その顔はようやく安らかになり、そのまま眠りに着いたかのようだった。
[ズゴゴゴゴゴゴ……]
ん?
なんか、周りから物騒な音が……。
これって確かターニャの……!
僕はようやくこの空間が崩れそうになっていることを理解した……。
「セシリア! 逃げるよ!うん? セシリアー……」
セシリアは蕩けたような顔のままそこに座り込んでいる……。
少しぐらい僕にもロマンチックな事を言わせてくれよ……。
もう……呪われてるのか? これは?
いや! こんなことしてられない!
僕はセシリアを左腕で、ターニャの上体を右手で抱えてセシリアが吶喊して来た穴に滑り込む……!
煉瓦の道を転がり……僕は仰向けになった。
ポツポツと冷たい雨が顔に掛かり、僕はようやく生きた心地がした。
まもなく、セシリアは起き上がった。
「う……うん……なんか服がスースーするような……ってきゃあああああ!」
セシリアは起き上がるなり僕の顔面に右ストレート……。
鈍い衝撃が首にかかり、そのままカチ上げられた……。
二度と味わえないような浮遊感をゆっくりと堪能し……地面に叩き付けられる。
「……ハア……ハア……私のハダカを剥こうとはいい度胸……ってイーヴォ!?」
「これからは殴る前にちゃんと確認をしてくれない? ……まぁ服を溶かしちゃったのは申し訳無いけど…… 」
「ごめんね! あ! 傷の手当てもしないと!」
セシリアの服は抱えた時の影響で腹のあたりから少し溶けて切れている……あとすこし溶けていたらそれこそ殺されていただろう……。
そんな事を話していると、いきなり周りが賑やかになった。
「うぉぉおおおお! 英雄だ!」
「救世主だ! この街を救ってくれた! 」
「誰か医者を呼べ! かなり怪我がヤバそうだ!」
……けなしたり、讃えたり大変だなこの街の人間も……。
まぁ……恐らく偏見は消え去った事だろう……そんな事を考えながら僕はセシリアに担がれる……。
「あ! そこにある遺体を……埋葬してあげてもらえますか?」
彼女も遠い昔の英雄なのだ……弔われなければ気の毒にも程が……。
「あ? そんなもの犬も食うかよ……その辺に捨てておけ!」
「は?」
「この街を滅ぼそうとした大罪人よ! ああ!忌々しい!」
……この街の人間は……どうやら何かを恨み続けなければ生きていけないようだ……。
まあ、何人かを除くが……。
集団心理ってやつだろうか?
「セシリア……下ろしてもらっていいかい?」
「いいけど……なんで?」
僕はターニャの上体を抱える。
「先に埋めてあげよう……少し草原に出よう」
「うん……そうね」
僕らはどんちゃん騒ぎの街を尻目に来た道を引き返すように草原に戻る。
「……これでよしっと!」
セシリアは岩を丁寧に砕き、僕は何とか器用にその破片を溶かし、遺体が丁度入りそうな棺桶を作った……。
その中にターニャの体を入れ、大きめの木の根元に埋めた……。
器用に岩で歪な十字架を作り、その場に突き立てる……。
死ねばどんな偉い人間でもどんなに下卑た人間でもただの骨……それだと言うのになんだろう……あの扱いようは……。
すると後ろから足音が……。
「これだね? あの魔法使いさんのお墓」
「え?」
振り返ると、そこにはネネが……。
ネネは手を合わせて涙を流す……。
「この人も……懸命に生きてたのになぁ……」
恐らく、拳を交えたものだからこそ分かるものがあるのだろうか……。
「……よし! 街に戻ろう! 怪我治してとっとと次の街に行かないと!」
「……うん、そうだよね!」
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