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一章.魔法使いと人工キメラ
十六話目-グリモワールと旅支度
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イゴロノスの住人たちは僕らににじり寄ってきた。
「えっと……君たち……」
「あぁ! ごめんなさい! 今出ていきます!」
僕が立ち上がろうとすると、
「待って!イーヴォ! 服着なさい!」
「え? ……ウワァァァァ!」
セシリアは真っ赤になりながら言ったが、僕は真っ赤を通り越して真っ青になった……。
完全に忘れていた……毒を出して服を作り、どうにか繕った……。
きっとこの事は二度と忘れないだろう……。
恥ずかしい……。
「えーっと……大変無礼なことをした……済まない……」
目をそらしながら町人は言う。
もう駄目だ……口封じもかねてこいつらも溶かしてやりたい……。
「君たちについて誤解をしていたようだ……」
「え?」
なんだ……そっちの話か!
あぁ! まどろっこしい!
「だがね……町としての雰囲気は以前、君らに強く当たるだろう……出来れば早めに町から出てもらいたいのが本心だ……」
「上の方に面子が立たなくなれば間違いなくこの街を追い出されるわ……」
町人たちは少し気まずそうに微笑んだ。
「だけども私たちがやっている店ならいつでもおいで、少しだけなら値引きも考えてみるよ」
「本当!?」
セシリアは嬉しそうに返す。
もしかしたら永年にわたる偏見が取り払われたかも知れない瞬間だ。
意外と僕らは凄いことをしてしまったかもしれない……。
「でも……こんな身なりなので……すこし身支度をしてきますね。 本当にありがとうございます」
「あぁ。 こちらこそ町を守っていただいて感謝しかないよ……すまなかった……」
ひとまず僕らは住民たちに一礼してから家に戻った。
「たっだいまー!イーヴォ、先にお風呂入ってくるね! お風呂場入ったら毒鎧外して!」
「はいはい……」
どこまでも自由だなぁ……こいつは……。
すると間もなくインターフォンが鳴った。
[ピンポーン]
「はーい! 待ってて!」
セシリアが勢いよくドアを開けると、そこには僕らよりも幼そうな男の子が立っていた。
「ねぇ……君たちつよいの?」
「もっちろんよ!」
セシリア……少し口を慎んでくれ……面倒事に巻き込まれそうな、嫌な予感がする……。
「それならお姉ちゃん……僕、図書館の奥にいるからそこに来てね! 絶対だよ!」
「もっちろんよ! セシリアお姉ちゃんにまっかせなさーーい!」
セシリアは挙げ句の果てに「お姉ちゃん」と言われ鼻高々のようだった……。
何があっても知らないからな……。
「さてと……気を取り直してお風呂入って来るわね!」
セシリアは風呂場の戸を勢いよく開けそして大きな音を立てて閉めた。
「鎧外してー」
「わかったよー」
僕は毒の硬化を解き、ドアの下から潜らせてこちらに持ってきた。
さてと……僕も着替えなくては……。
毒の服を外し、纏める。
それからクローゼットを開き下着と服を取り出す。
下着を着てから、まだ真新しいワイシャツに袖を通し、ズボンを履く。
最後に薄めの黒いコートを羽織って着替えが終わった。
ふと、僕が再びクローゼットを見るとどうやらあと服は一、二着程しかないとわかった……。
この街で買わないと……。
僕は辛うじて服だった時の見た目を保っているボロ布をゴミ箱に放り込んだ。
……疲れた……。
僕はベットに飛び込む……。
あぁ……眠い……。
………仕事……頼み事行かないと……眠…………
……って危ねぇ! ここで寝たらやばい!
ひとまずセシリアが来るまで何かやってないと!
僕はおもむろにグリモワールを引っ掴み、最後の方のページに目を落とした。
……無理だほとんど読めない……。
全部ミミズみたいな形の古代文字で書かれてる……。
恐らく、グリモワールは予め呪文が全て書かれ
てあり、術者の技量で読めるようになるものが増えていくのではないだろうか……。
僕は前に使った〖ヒュドラの嘆き〗 のページを再び開いた。
……何故同じ様な文字なのにこれが僕は読める
のだろう……?
読めると言うよりは、これは「オレンジ」だ、「リンゴ」だ、というようにずっと前から知っていたような感じだ……。
ともかく、僕は他に読める呪文を探してみた……。
《アリスタイオスの蜜蜂》
毒で無数の蜜蜂を創成、一斉にそれらが対象に特攻し、身体中を溶かす。
毒が効かない相手にも熱球を作ることで燃え上がらせることや、皮膚に硬化した毒の針を滅多刺しすることが出来る。
〖相手は死ぬ〗
使い勝手が悪すぎる……殺さないように出来るものは無いのか……。
《サーペントの逆鱗》
蛇の形に纏まった毒が敵を呑み込み、腹の中の敵ごと爆ぜる
敵が大きい場合、敵に巻き付き絞め殺す。
〖相手は死ぬ〗
……毒魔法のグリモワールの中に慈悲の二文字はないのだろうか……。
まあ……これぐらいにしておこう……。
当面は自力での調整になりそうだな……。
部屋から出ていくと、そこには仁王立ちをしたセシリアが立っていた。
「さて! ご飯食べに行くわよ!」
「うん。 そのあとは必ず図書館に行くよ」
「え? 何のために?」
まさかこいつこの短時間で忘れたのかよ……。
「男の子に頼まれたでしょ?」
「あー? ……あ! 覚えてたわよ! えっと……ご飯いってから行きましょ!」
これは忘れてたな……。
「じゃあいくわよ!」
セシリアは僕の手を掴み、すさまじいスピードで走り出した……。
「えっと……君たち……」
「あぁ! ごめんなさい! 今出ていきます!」
僕が立ち上がろうとすると、
「待って!イーヴォ! 服着なさい!」
「え? ……ウワァァァァ!」
セシリアは真っ赤になりながら言ったが、僕は真っ赤を通り越して真っ青になった……。
完全に忘れていた……毒を出して服を作り、どうにか繕った……。
きっとこの事は二度と忘れないだろう……。
恥ずかしい……。
「えーっと……大変無礼なことをした……済まない……」
目をそらしながら町人は言う。
もう駄目だ……口封じもかねてこいつらも溶かしてやりたい……。
「君たちについて誤解をしていたようだ……」
「え?」
なんだ……そっちの話か!
あぁ! まどろっこしい!
「だがね……町としての雰囲気は以前、君らに強く当たるだろう……出来れば早めに町から出てもらいたいのが本心だ……」
「上の方に面子が立たなくなれば間違いなくこの街を追い出されるわ……」
町人たちは少し気まずそうに微笑んだ。
「だけども私たちがやっている店ならいつでもおいで、少しだけなら値引きも考えてみるよ」
「本当!?」
セシリアは嬉しそうに返す。
もしかしたら永年にわたる偏見が取り払われたかも知れない瞬間だ。
意外と僕らは凄いことをしてしまったかもしれない……。
「でも……こんな身なりなので……すこし身支度をしてきますね。 本当にありがとうございます」
「あぁ。 こちらこそ町を守っていただいて感謝しかないよ……すまなかった……」
ひとまず僕らは住民たちに一礼してから家に戻った。
「たっだいまー!イーヴォ、先にお風呂入ってくるね! お風呂場入ったら毒鎧外して!」
「はいはい……」
どこまでも自由だなぁ……こいつは……。
すると間もなくインターフォンが鳴った。
[ピンポーン]
「はーい! 待ってて!」
セシリアが勢いよくドアを開けると、そこには僕らよりも幼そうな男の子が立っていた。
「ねぇ……君たちつよいの?」
「もっちろんよ!」
セシリア……少し口を慎んでくれ……面倒事に巻き込まれそうな、嫌な予感がする……。
「それならお姉ちゃん……僕、図書館の奥にいるからそこに来てね! 絶対だよ!」
「もっちろんよ! セシリアお姉ちゃんにまっかせなさーーい!」
セシリアは挙げ句の果てに「お姉ちゃん」と言われ鼻高々のようだった……。
何があっても知らないからな……。
「さてと……気を取り直してお風呂入って来るわね!」
セシリアは風呂場の戸を勢いよく開けそして大きな音を立てて閉めた。
「鎧外してー」
「わかったよー」
僕は毒の硬化を解き、ドアの下から潜らせてこちらに持ってきた。
さてと……僕も着替えなくては……。
毒の服を外し、纏める。
それからクローゼットを開き下着と服を取り出す。
下着を着てから、まだ真新しいワイシャツに袖を通し、ズボンを履く。
最後に薄めの黒いコートを羽織って着替えが終わった。
ふと、僕が再びクローゼットを見るとどうやらあと服は一、二着程しかないとわかった……。
この街で買わないと……。
僕は辛うじて服だった時の見た目を保っているボロ布をゴミ箱に放り込んだ。
……疲れた……。
僕はベットに飛び込む……。
あぁ……眠い……。
………仕事……頼み事行かないと……眠…………
……って危ねぇ! ここで寝たらやばい!
ひとまずセシリアが来るまで何かやってないと!
僕はおもむろにグリモワールを引っ掴み、最後の方のページに目を落とした。
……無理だほとんど読めない……。
全部ミミズみたいな形の古代文字で書かれてる……。
恐らく、グリモワールは予め呪文が全て書かれ
てあり、術者の技量で読めるようになるものが増えていくのではないだろうか……。
僕は前に使った〖ヒュドラの嘆き〗 のページを再び開いた。
……何故同じ様な文字なのにこれが僕は読める
のだろう……?
読めると言うよりは、これは「オレンジ」だ、「リンゴ」だ、というようにずっと前から知っていたような感じだ……。
ともかく、僕は他に読める呪文を探してみた……。
《アリスタイオスの蜜蜂》
毒で無数の蜜蜂を創成、一斉にそれらが対象に特攻し、身体中を溶かす。
毒が効かない相手にも熱球を作ることで燃え上がらせることや、皮膚に硬化した毒の針を滅多刺しすることが出来る。
〖相手は死ぬ〗
使い勝手が悪すぎる……殺さないように出来るものは無いのか……。
《サーペントの逆鱗》
蛇の形に纏まった毒が敵を呑み込み、腹の中の敵ごと爆ぜる
敵が大きい場合、敵に巻き付き絞め殺す。
〖相手は死ぬ〗
……毒魔法のグリモワールの中に慈悲の二文字はないのだろうか……。
まあ……これぐらいにしておこう……。
当面は自力での調整になりそうだな……。
部屋から出ていくと、そこには仁王立ちをしたセシリアが立っていた。
「さて! ご飯食べに行くわよ!」
「うん。 そのあとは必ず図書館に行くよ」
「え? 何のために?」
まさかこいつこの短時間で忘れたのかよ……。
「男の子に頼まれたでしょ?」
「あー? ……あ! 覚えてたわよ! えっと……ご飯いってから行きましょ!」
これは忘れてたな……。
「じゃあいくわよ!」
セシリアは僕の手を掴み、すさまじいスピードで走り出した……。
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