11 / 22
十一手目◆無限と有限
しおりを挟む
「倫子や。
知っておるか?
将棋の可能性というものは無限にあるものだ。
……
あの時の結婚式や披露宴と言うのは、本当に素晴らしい出来事だったよなぁ。
余が生を受ける上で生涯で唯一の相手となる倫子。
そんなお前との出来事だけに、余の喜びは当然のことと言えるのだが、実はそれ以上にお前の移動というのが余にとっては何よりも嬉しい出来事だったのだよ。
幼い頃から余は浜御殿に足を運びお前と多くの時間を費やしてきた。
それは掛け替えのない時間と言える。
だが同時にそれは日暮れと共に終わりと言うものを迎えていた。
どれほど楽しく話しても時が無情の終わりを告げるのが当時の余にはどうしても我慢できなかったのだ。
日を改めましょう?
そんなの関係あるか……
何度も何度も周囲の者に言ったのだ。
日を改める必要がどこにあるのだと……
だが、そうは言っても聞いてくれるものなどは皆無でな。
徳川とは言っても所詮は、その程度と言うことなのであろうな……
思いと行動は違うと言うことなのだろう……
そうこうしている内に結婚を機に倫子が浜御殿から西の丸に住まいを移すと聞いてな、余はそれはそれは喜んだのだ。
これでいつでも会える。
これで時間を気にする必要などない。
様々なことを思っておったのだがな……
あの時の余は最も大切なことというのを忘れていたのだ……
寿命……
そう……
人の命と言うのは有限なのだよなぁ……
思いと言うのは無限であったとしてもな……
そんなことを忘れて、あの時の余は無邪気に喜んでいたのだ……
もちろん倫子も知っておる通りに、どれほどの名勝負というのを繰り広げようとも勝負というものは、いつか必ず終わりを迎えるものだ。
人と言う存在は、どれほどの思いがあろうとも時間と言うものに縛られると言うことなのだろう……
さすがに、そんなことは誰でも知っていると怒るか?
とは言ってもなぁ……
知ってはいても意識している者というのは案外数が少ないはずだぞ。
少なくとも余は意識をすることが出来んかった……」
知っておるか?
将棋の可能性というものは無限にあるものだ。
……
あの時の結婚式や披露宴と言うのは、本当に素晴らしい出来事だったよなぁ。
余が生を受ける上で生涯で唯一の相手となる倫子。
そんなお前との出来事だけに、余の喜びは当然のことと言えるのだが、実はそれ以上にお前の移動というのが余にとっては何よりも嬉しい出来事だったのだよ。
幼い頃から余は浜御殿に足を運びお前と多くの時間を費やしてきた。
それは掛け替えのない時間と言える。
だが同時にそれは日暮れと共に終わりと言うものを迎えていた。
どれほど楽しく話しても時が無情の終わりを告げるのが当時の余にはどうしても我慢できなかったのだ。
日を改めましょう?
そんなの関係あるか……
何度も何度も周囲の者に言ったのだ。
日を改める必要がどこにあるのだと……
だが、そうは言っても聞いてくれるものなどは皆無でな。
徳川とは言っても所詮は、その程度と言うことなのであろうな……
思いと行動は違うと言うことなのだろう……
そうこうしている内に結婚を機に倫子が浜御殿から西の丸に住まいを移すと聞いてな、余はそれはそれは喜んだのだ。
これでいつでも会える。
これで時間を気にする必要などない。
様々なことを思っておったのだがな……
あの時の余は最も大切なことというのを忘れていたのだ……
寿命……
そう……
人の命と言うのは有限なのだよなぁ……
思いと言うのは無限であったとしてもな……
そんなことを忘れて、あの時の余は無邪気に喜んでいたのだ……
もちろん倫子も知っておる通りに、どれほどの名勝負というのを繰り広げようとも勝負というものは、いつか必ず終わりを迎えるものだ。
人と言う存在は、どれほどの思いがあろうとも時間と言うものに縛られると言うことなのだろう……
さすがに、そんなことは誰でも知っていると怒るか?
とは言ってもなぁ……
知ってはいても意識している者というのは案外数が少ないはずだぞ。
少なくとも余は意識をすることが出来んかった……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる