いろはにほへとちりぬるを……

「いろはにほへとちりぬるを…」
 一般的にいろは歌と呼ばれるこの言葉。
 古くから伝わり多くの人により様々な解釈をされてきた。
 一説には仏教による無情感と言うものを表している歌だと言う人もいたり、またある人によると冤罪によって罰せられた呪いの歌だと解釈する人もいたりと、非常に多くの捉え方があると言われていた。
 そして江戸時代の将軍の中には、自らが大好きな将棋の盤に照らし合わせながら、この歌を読んだものがいると言う。
 将棋の盤の右上から順に
「いろはにほへとちりぬるを……」と言う具合にだ。
 何故その者は、わざわざそんな面倒なことをしたのだろうか。

 当時から多くの人に愛されていた将棋。それを利用することで自分の権力を誇示するための道具にしたかったのか?

 いいや、将棋の実力者としても知られていた彼が、そんなことをするわけがない。

 それならば…
 彼なりのメッセージと言うのがあったのではないか…

 もしかしたら…
 そう、それは自分の大好きな将棋と言う物を生涯でただ一人愛した女性に例え、いろは歌を自らの気持ちとして重ねた彼なりの表現と言うものだったのかもしれない。

 これはそんな生涯たった一人の女性のことを、どこまでも真っ直ぐに思って儚くも散っていった、男のお話である。

※R15は保険です。


★注意事項★

将棋が苦手で駒の初期配置が分からないと言う方は以下を参考にしてください。

   相手
987654321
香桂銀金玉金銀桂香一
 飛     角 二
歩歩歩歩歩歩歩歩歩三
         四
         五
         六
歩歩歩歩歩歩歩歩歩七
 角     飛 八
香桂銀金王金銀桂香九
   自分
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