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十九手目◆飛車
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「倫子よ。
将棋の飛車という駒を知っているか?
非常に優れた移動力を持っている駒でな、時と場合に依っては一気に戦局をひっくり返すこともあるほどなんだぞ。
だがな、だからと言ってバカの一つ覚えのごとくいつでも前に出てということを繰り返してもな、将棋では勝てん。
冷静に場を見極めていくことも必要なんだがな……
なんだか最近……
お前と飛車が良く似ているように思うんだよ……
父上が退いて、余が征夷大将軍を拝命し、倫子が住まいを江戸城の本丸へと移した後。
実は、余はかなり心配をしていたのを知っておるか?
普通と言う言葉が適切なのかどうかは分からんので……
余とお前以外、双方に身分が高い多くの夫婦という言い方にしておこうかのう。
そういった夫婦の場合、普通は正室とは別に側室を持つらしい。
当時、側室を持っておらんかった田沼がそういっておったぞ!
自分の事を棚にあげてな!
だから、余は奴も後で道連れにしてやるんだが……
あー、すまん……
だが、余の中ではそんなものは望んでおらん。
そうなると、余の側室を狙う多くの連中と正室であるお前の仲と言うのは、相応にして悪くなっていくらしいのだが……
お前はそんな雰囲気などは微塵も見せなかったなぁ…
お前の執り成しが素晴らしいことだと言うのは、始めから分かってはいたのだが……
まさか、あの時お前は大奥の連中までも手懐けていたとは夢にも思っていなかったぞ。
当時、田沼を始めとして父の代から仕えている家臣も大勢いた。
なので、最初はそう言った者たちの力があり、余は趣味の世界に没頭できたと思っていたのだが……
実際には、お前の存在というのが、あの時ももっとも大きい存在であったのだろうな。
だからと言ってお前は、それを一切おくびにも出さず、いつでも優しく控えめに接してくれていたなぁ。」
将棋の飛車という駒を知っているか?
非常に優れた移動力を持っている駒でな、時と場合に依っては一気に戦局をひっくり返すこともあるほどなんだぞ。
だがな、だからと言ってバカの一つ覚えのごとくいつでも前に出てということを繰り返してもな、将棋では勝てん。
冷静に場を見極めていくことも必要なんだがな……
なんだか最近……
お前と飛車が良く似ているように思うんだよ……
父上が退いて、余が征夷大将軍を拝命し、倫子が住まいを江戸城の本丸へと移した後。
実は、余はかなり心配をしていたのを知っておるか?
普通と言う言葉が適切なのかどうかは分からんので……
余とお前以外、双方に身分が高い多くの夫婦という言い方にしておこうかのう。
そういった夫婦の場合、普通は正室とは別に側室を持つらしい。
当時、側室を持っておらんかった田沼がそういっておったぞ!
自分の事を棚にあげてな!
だから、余は奴も後で道連れにしてやるんだが……
あー、すまん……
だが、余の中ではそんなものは望んでおらん。
そうなると、余の側室を狙う多くの連中と正室であるお前の仲と言うのは、相応にして悪くなっていくらしいのだが……
お前はそんな雰囲気などは微塵も見せなかったなぁ…
お前の執り成しが素晴らしいことだと言うのは、始めから分かってはいたのだが……
まさか、あの時お前は大奥の連中までも手懐けていたとは夢にも思っていなかったぞ。
当時、田沼を始めとして父の代から仕えている家臣も大勢いた。
なので、最初はそう言った者たちの力があり、余は趣味の世界に没頭できたと思っていたのだが……
実際には、お前の存在というのが、あの時ももっとも大きい存在であったのだろうな。
だからと言ってお前は、それを一切おくびにも出さず、いつでも優しく控えめに接してくれていたなぁ。」
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