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フィアルを真っ直ぐ見つめるシリウスにとって、自分が死の淵から生還して以来、自由に動くことを許されない彼女が、オロチに頼んで自分を鍛えてくれるよう指示してくれた事を知っている。
シリウスにとってフィアルは、守るべき貴人で、命の恩人で、何かと一兵士でしかない自分を気にかけてくれる優しい姉、駄目な所は厳しく指摘し、良い所は褒めてくれる母の様な人であった。
そんな彼がオロチの師事の下、命の危機を回避する術を伝授して貰う内に、シリウスは騎士団の誰よりも強くなり、騎士団の花形である近衛騎士団に所属する事になった。残念ながらフィアルの側には配置されなかったのだが……
だが今、この時、この現場に立ち会えただけでも、近衛騎士になった事は無駄では無かったとシリウスは感じている。
我が君は、人が死ぬのを何より嫌う。例えそれが、第二王妃のお気に入りであるというだけで出世した、無能な上官であってもだ。こんな奴に我が君の御手を煩わせないで済んだのだから……
「行かれるのですね……師匠が居られない様ですが……」
幸いにして、無能な上官のお陰で周囲の人払いは完了している。本当に一人で何とか出来ると思っていたのだろう。自分がコッソリ忍び寄っても気付きもしなかったのに……と、初めてマギュガスが役に立ったと思っているシリウスであったが、そんな事はどうでもいい事態の様である。
フィアルの顔と、右手に握られた剣が、我が君の旅立ちを物語っている。
本当なら自分も一緒に行きたい……だが、途中で役職を放棄して逃げ出す様な、半端な行為をフィアルが喜んでくれるはずがない。どうせ上官に手を上げた身だ。罰で罪人となろうとも、最後まで自分の責任を果たしてフィアルへの忠義とする。それがシリウスの決意……
「この周辺に兵士はいません。お進み下さい我が君」
シリウスは騎士らしく、厳格な敬礼をフィアルに捧げる。後は、彼女の背中を追い掛けたい葛藤との戦いだけ……
「……近衛騎士シリウス・バーミリオン。貴官の役職が担う任務は何ですか?」
「はっ!?」
のはずだった……
「答えなさい!」
「はっ!バーミンガム城内の治安維持であります!」
「ならば王の許可を得ず、独断で宝物庫へと侵入した私を止めに来た、マギュガス侯爵こそが正しく、その方を成敗するなど……近衛騎士としてあるまじき所業!」
「はっ!?……いや、しかし!」
「言い訳無用!その腐った性根を叩き直してくれます!構えなさい!」
確かに、そう言われればそうとも取れるが、王族の安全を守るのも近衛騎士の使命だ。シリウスは間違っていないし、フィアルはこの様な融通の効かない事を言い出す者ではない。
ましてや「構えろ」と言われても、フィアルに剣を向けるなど出来様はずもない。
シリウスが動けずにいると……
「ああー、ちょっといいか?」
フィアルの後ろで、今まで我関せずといった体だったカガチが口を開いた。
「俺はお前の師匠・オロチの同位体……まぁ、親戚みてーなもんだ。お前さんの兄弟子にもあたるかもな」
「そうでしたか……師匠はどちらに?」
「先に城を出て休憩してんよ。んでだ、お前さんを怒っている『振り』の天邪鬼はだな……そこのハゲが倒れてるのに、ここに来たお前さんが無事なら、お前さんがやったか見逃したってバレるだろ?だからお前さんも気絶させて行くことで、全部自分がやった事にしたいんだよ」
「カガチ!」
「そんな……自分なんかの為に……いいえ、その必要はありません。これでも僕、結構強くなったんですよ?」
「ええ……そうね……」
それは一目見れば分かった。重い鎧を軽々と着こなした体は、あの時の小さな少年のそれではない。幼かった顔は、立派な騎士の面構えと成長している。
もう子供じゃない……大人に対して過保護に接するのは逆に失礼である。だからと言ってフィアルに、このままシリウスを見捨てて立ち去る事など出来ない。
「そこでだ!」
カガチが再び口を開くと、このままでは拉致が明かないであろう二人の視線が集まった。
「お前さんの卒業試験を今から始める。兄弟子の俺に一発でも食らわせる事が出来たら免許皆伝だ!先代……じゃ分からんか。お前の師匠も、そこの天邪鬼も、これなら文句は言わねーよ。言わねーよな?」
「もう……言わないわよ。 ……カガチ」
「ん?」
「……ありがとう」
「おう!」
カガチは胸のすく様な笑顔で答える……異性なら誰しもが心を射抜かれてしまいそうだ。否、爽やかなその笑顔は同性すら魅了するかもしれない。
そのカガチが颯爽とフィアルの前に出る。カガチの右手には、いつの間にか炎剣『カグツチ』が握られていた。ここからは男の勝負、フィアルが居ては邪魔になる。フィアルに出来ることは、廊下の隅っこを通って出て行くこと位であろう……
「お心遣い、感謝致します。師兄、お名前を教えて頂いても?」
「火牙蛇だ。『真名』の方で名乗るんだ、容赦しねーぞ」
「未熟者に全力を出して頂ける御厚意、重ねて感謝致します。カガチ師兄、申し訳ありませんが、しばしお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「ん?まだなんかあんのか?」
「はい、これだけは譲れません!」
そう力強く返事をしたシリウスは、廊下の隅を進んでいたフィアルに向き直り、己が剣を抜いて両手で持ち、頭上へと掲げた。
「我が君の進む道に栄光あれ!」
フィアルへと向けられる忠義の刃。忠誠を誓う主君の門出を祝う騎士が、心からの無事を願う証。『貴女の道は我が剣で守る』という、誓いの儀式である。
「おいおい、それじゃサマにならんだろ……」
やれやれと呆れたカガチが、シリウスの向かいに立ち、同じ姿勢で剣を合わせる。
「通ってやれ、フィー。カッコつけさせてやれよ」
出来上がったのは、忠誠の人垣と信念の剣で作られた屋根……人と剣のトンネル。通称『栄光の架け橋』……たった一対の短い架け橋でしかない……本当はその半分でしかない……それでも5年間で出来た、フィアルとシリウスの間に架かった心の橋。
「シリウス……」
フィアルの声に、シリウスは答えない。ただ優しい瞳でフィアルを見つめて……その真ん中にある眉間の傷も、今は『ここを通って下さい』と言わんばかりにグローリーアーチを指している矢印に見える。それが不謹慎だけど、可笑しくて、可愛らしくて、ちょっとだけ照れくさくて……俯いたままのフィアルは、グローリーアーチの捧げられた廊下の真ん中を通って、思い残すことの無くなったバーミンガム城を旅立った。
外の景色は、やがて日が沈む夕暮れ時だった……
今はバーミンガム王国にある城下街を抜けて、この時間帯では薄暗い森林地帯にさしかかった辺りである。追っ手の気配は無い……今の自分は贈られた婚姻の証を没収され、放置された妻。棄てられたも同然の妃。
追いかける理由は、王国側には既に無いだろうから。だが、フィアルの進む速度は速い。木々が生え、足元の悪い中ドンドンと進んでいる。
「おい、そんな急がなくてもいいんじゃないか?」
「そうね」
カガチが気遣うが、前を進むフィアルの応えは素っ気ない。
「あの小僧、強かったな。最後は気絶しながら俺に一発当てたぞ、大したもんだ」
「そうね」
「まだ強くなるだろうな、俺に攻撃当てれるんだったら人間の世界だと英雄クラスだろ?」
「そうね」
「……ったく」
「そうね」
「泣く程後悔してるんだったら、連れて行ってやれば良かったんだよ!悪役気取って突き放したつもりか?自分が殴られた様な顔してんじゃねーか!」
何を言っても「そうね」しか言わないフィアルに業を煮やしたカガチが、フィアルの前に周り顔を覗き込む。相変わらずよく泣く奴だな、といった呆れ顔で……
「……そうね」
「……ったく」
それでも、この頑固者は進むのを止めないらしい。また無言で泣きながら進むフィアル、その後ろをカガチがついていく形へと戻った。
「……お前に悪役は似合わねーよ」
ボソッと独り言のように呟いたカガチの声が、フィアルへ届いたかどうかは分からない。只、少しだけフィアルの歩みが遅くなった……
お互い素直ではない天邪鬼同士は、そのまま一路、西へと進んだ。
シリウスにとってフィアルは、守るべき貴人で、命の恩人で、何かと一兵士でしかない自分を気にかけてくれる優しい姉、駄目な所は厳しく指摘し、良い所は褒めてくれる母の様な人であった。
そんな彼がオロチの師事の下、命の危機を回避する術を伝授して貰う内に、シリウスは騎士団の誰よりも強くなり、騎士団の花形である近衛騎士団に所属する事になった。残念ながらフィアルの側には配置されなかったのだが……
だが今、この時、この現場に立ち会えただけでも、近衛騎士になった事は無駄では無かったとシリウスは感じている。
我が君は、人が死ぬのを何より嫌う。例えそれが、第二王妃のお気に入りであるというだけで出世した、無能な上官であってもだ。こんな奴に我が君の御手を煩わせないで済んだのだから……
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幸いにして、無能な上官のお陰で周囲の人払いは完了している。本当に一人で何とか出来ると思っていたのだろう。自分がコッソリ忍び寄っても気付きもしなかったのに……と、初めてマギュガスが役に立ったと思っているシリウスであったが、そんな事はどうでもいい事態の様である。
フィアルの顔と、右手に握られた剣が、我が君の旅立ちを物語っている。
本当なら自分も一緒に行きたい……だが、途中で役職を放棄して逃げ出す様な、半端な行為をフィアルが喜んでくれるはずがない。どうせ上官に手を上げた身だ。罰で罪人となろうとも、最後まで自分の責任を果たしてフィアルへの忠義とする。それがシリウスの決意……
「この周辺に兵士はいません。お進み下さい我が君」
シリウスは騎士らしく、厳格な敬礼をフィアルに捧げる。後は、彼女の背中を追い掛けたい葛藤との戦いだけ……
「……近衛騎士シリウス・バーミリオン。貴官の役職が担う任務は何ですか?」
「はっ!?」
のはずだった……
「答えなさい!」
「はっ!バーミンガム城内の治安維持であります!」
「ならば王の許可を得ず、独断で宝物庫へと侵入した私を止めに来た、マギュガス侯爵こそが正しく、その方を成敗するなど……近衛騎士としてあるまじき所業!」
「はっ!?……いや、しかし!」
「言い訳無用!その腐った性根を叩き直してくれます!構えなさい!」
確かに、そう言われればそうとも取れるが、王族の安全を守るのも近衛騎士の使命だ。シリウスは間違っていないし、フィアルはこの様な融通の効かない事を言い出す者ではない。
ましてや「構えろ」と言われても、フィアルに剣を向けるなど出来様はずもない。
シリウスが動けずにいると……
「ああー、ちょっといいか?」
フィアルの後ろで、今まで我関せずといった体だったカガチが口を開いた。
「俺はお前の師匠・オロチの同位体……まぁ、親戚みてーなもんだ。お前さんの兄弟子にもあたるかもな」
「そうでしたか……師匠はどちらに?」
「先に城を出て休憩してんよ。んでだ、お前さんを怒っている『振り』の天邪鬼はだな……そこのハゲが倒れてるのに、ここに来たお前さんが無事なら、お前さんがやったか見逃したってバレるだろ?だからお前さんも気絶させて行くことで、全部自分がやった事にしたいんだよ」
「カガチ!」
「そんな……自分なんかの為に……いいえ、その必要はありません。これでも僕、結構強くなったんですよ?」
「ええ……そうね……」
それは一目見れば分かった。重い鎧を軽々と着こなした体は、あの時の小さな少年のそれではない。幼かった顔は、立派な騎士の面構えと成長している。
もう子供じゃない……大人に対して過保護に接するのは逆に失礼である。だからと言ってフィアルに、このままシリウスを見捨てて立ち去る事など出来ない。
「そこでだ!」
カガチが再び口を開くと、このままでは拉致が明かないであろう二人の視線が集まった。
「お前さんの卒業試験を今から始める。兄弟子の俺に一発でも食らわせる事が出来たら免許皆伝だ!先代……じゃ分からんか。お前の師匠も、そこの天邪鬼も、これなら文句は言わねーよ。言わねーよな?」
「もう……言わないわよ。 ……カガチ」
「ん?」
「……ありがとう」
「おう!」
カガチは胸のすく様な笑顔で答える……異性なら誰しもが心を射抜かれてしまいそうだ。否、爽やかなその笑顔は同性すら魅了するかもしれない。
そのカガチが颯爽とフィアルの前に出る。カガチの右手には、いつの間にか炎剣『カグツチ』が握られていた。ここからは男の勝負、フィアルが居ては邪魔になる。フィアルに出来ることは、廊下の隅っこを通って出て行くこと位であろう……
「お心遣い、感謝致します。師兄、お名前を教えて頂いても?」
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そう力強く返事をしたシリウスは、廊下の隅を進んでいたフィアルに向き直り、己が剣を抜いて両手で持ち、頭上へと掲げた。
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やれやれと呆れたカガチが、シリウスの向かいに立ち、同じ姿勢で剣を合わせる。
「通ってやれ、フィー。カッコつけさせてやれよ」
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「そうね」
「まだ強くなるだろうな、俺に攻撃当てれるんだったら人間の世界だと英雄クラスだろ?」
「そうね」
「……ったく」
「そうね」
「泣く程後悔してるんだったら、連れて行ってやれば良かったんだよ!悪役気取って突き放したつもりか?自分が殴られた様な顔してんじゃねーか!」
何を言っても「そうね」しか言わないフィアルに業を煮やしたカガチが、フィアルの前に周り顔を覗き込む。相変わらずよく泣く奴だな、といった呆れ顔で……
「……そうね」
「……ったく」
それでも、この頑固者は進むのを止めないらしい。また無言で泣きながら進むフィアル、その後ろをカガチがついていく形へと戻った。
「……お前に悪役は似合わねーよ」
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