白猫と時渡りの杖
キルクトーヤは二年前に残虐な養父・ナハトから逃れて見習い魔術師になったが、まだ夜な夜なナハトが出てくる悪夢に苦しめられていた。夢のなかでナハトが「お前を逃がさない」とささやくのである。
そんなある日、英雄・ジークが学校にやって来てキルクトーヤに求婚する。ジークは強力な魔族を打倒して凱旋したばかりの時の人だ。
ジークは「十年前、君に求婚されたんだ」と言うのだが、キルクトーヤには心当たりがない。さらにジークは杖を差し出してこう言う。
「ほら、君の魔術師の杖。六か月前、君が落としていったのを拾っておいたよ」
「六か月前??」
ジークに差し出された杖は、間違いなくキルクトーヤのものだった。しかし、キルクトーヤにそんな記憶はない。六か月前は学校にいたはずである。おまけに、キルクトーヤの手元にも彼自身の杖がちゃんとある。
それでも、ジークが持って来た杖はキルクトーヤの杖にそっくりだ。
「いったいどういうこと……?」
わけがわからないうちに、どんどん2人の関係は人々の噂になり、新聞に載り……。
「どうしてこうなったんだ!」
最初は拒絶していたキルクトーヤであったが、ジークは決してあきらめない。たびたびキルクトーヤの前に現れては心を揺さぶり、やがてジークとキルクトーヤをめぐる謎が徐々に解き明かされていく……。
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ジークは「十年前、君に求婚されたんだ」と言うのだが、キルクトーヤには心当たりがない。さらにジークは杖を差し出してこう言う。
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「六か月前??」
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