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1~10話
2c、私は置かれた状況をわかっていない
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自分はこの後どうなるのだろうか。
オークションでは「愛玩奴隷」と紹介されていた。
奴隷商館にいたときの扱いもかなり酷かったけれど、商品価値が下がるからか性的な手出しをされることはなかったというのに。
下手をすれば奴隷商館以下の暮らしが待っているのではないか。
歯の根が噛み合わずカタカタと震えるけれど、噛まされた布のせいで歯が音を立てることはなかった。
薄暗い通路でしばし留め置かれた後、応接室のような場所に通される。
皮張りの高級そうなソファには、あの日見た老紳士が柔和な笑みをたたえて座っていた。
こいつの口車にさえ乗らなければ……!
カッと頭に血が上り、朦朧としていた思考がクリアになる。
ありったけの怒りと憎しみを込めて視線をぶつけるも、奴隷商館のオーナーである老紳士はこちらを一瞥して「いい拾い物でした」と満足そうにこぼすだけで、微塵も堪えた様子はなかった。
ギリギリと睨み続ける視線を引きはがすように鎖を強く引かれ、そのままオーナーが座るソファの横に立たされた。
ほどなくして、自分を落札したフードの男が案内を伴って部屋に入ってきた。
身を屈めるようにドアをくぐった男は、同じ床の上に立つと見上げるほど背が高い。ソファに座ってやっと少し見下ろす程度だ。
無口な質なのか、オーナーが契約について説明する間も男は頷くだけで口を開かない。
契約書のサインを終え小切手での支払いが済むと、私は鎖を引かれソファに座る男の前に跪かされた。
オーナーが説明を加える。
「首輪の中心にある紋章に血を一滴お付けください。こちらのナイフをどうぞ」
男はナイフで躊躇なく親指の腹を切ると、私の首輪に押し当てる。
「っ……」
首輪は一瞬火傷しそうなほどの熱を帯びたかと思えば、すぐに元の無機質な冷たさに戻った。
オークションでは「愛玩奴隷」と紹介されていた。
奴隷商館にいたときの扱いもかなり酷かったけれど、商品価値が下がるからか性的な手出しをされることはなかったというのに。
下手をすれば奴隷商館以下の暮らしが待っているのではないか。
歯の根が噛み合わずカタカタと震えるけれど、噛まされた布のせいで歯が音を立てることはなかった。
薄暗い通路でしばし留め置かれた後、応接室のような場所に通される。
皮張りの高級そうなソファには、あの日見た老紳士が柔和な笑みをたたえて座っていた。
こいつの口車にさえ乗らなければ……!
カッと頭に血が上り、朦朧としていた思考がクリアになる。
ありったけの怒りと憎しみを込めて視線をぶつけるも、奴隷商館のオーナーである老紳士はこちらを一瞥して「いい拾い物でした」と満足そうにこぼすだけで、微塵も堪えた様子はなかった。
ギリギリと睨み続ける視線を引きはがすように鎖を強く引かれ、そのままオーナーが座るソファの横に立たされた。
ほどなくして、自分を落札したフードの男が案内を伴って部屋に入ってきた。
身を屈めるようにドアをくぐった男は、同じ床の上に立つと見上げるほど背が高い。ソファに座ってやっと少し見下ろす程度だ。
無口な質なのか、オーナーが契約について説明する間も男は頷くだけで口を開かない。
契約書のサインを終え小切手での支払いが済むと、私は鎖を引かれソファに座る男の前に跪かされた。
オーナーが説明を加える。
「首輪の中心にある紋章に血を一滴お付けください。こちらのナイフをどうぞ」
男はナイフで躊躇なく親指の腹を切ると、私の首輪に押し当てる。
「っ……」
首輪は一瞬火傷しそうなほどの熱を帯びたかと思えば、すぐに元の無機質な冷たさに戻った。
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