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11~20話
11a、これじゃない気がする
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重いバスケットを手にグレニスの屋敷を出ると、適当な辻馬車を拾って城へと向かう。
辻馬車では城内に入れないため門前で馬車を降り、入城手続きは多少手こずったものの、なんとか無事に城門の中へと足を踏み入れた。
「……ふぅ」
降り注ぐ日差しの暑さに日傘を開く。
登城するとあって、今日は使用人部屋のクローゼットにしまいっぱなしになっていたアフタヌーンドレスを身につけてきた。
瞳の色に合わせた爽やかな若草色のドレスは、数着の普段着と共にこれ一着だけ持参したお気に入りだ。
ミルクティー色の髪は耳の後ろから頭頂部を通るラインを編み込んで反対の耳の上で留め、残りはそのまま背中に下ろしている。
子爵家といっても大して裕福なわけでもなく使用人の数も少なかったため、実家にいた頃から自分で身支度を整えるのには慣れっこだ。
門衛の一人に案内されて屋外演習場へとたどり着くと、すでに甲冑での訓練が始まっていた。
「案内ありがとうございます」
「いえ。危険ですので、くれぐれもこちらの杭より内側へは立ち入らないようご注意ください。では自分はこれで」
門衛はハキハキと要件を告げると、くるりと踵を返し今来た道を戻っていった。
城へは夜会で何度か訪れたことがあるけれど、演習場の方まで来るのは初めてだ。
等間隔で打たれた腰の高さほどの杭。
その内側が広大な演習場になっており、杭の外側少し離れた場所には所々ベンチも置かれている。
辻馬車では城内に入れないため門前で馬車を降り、入城手続きは多少手こずったものの、なんとか無事に城門の中へと足を踏み入れた。
「……ふぅ」
降り注ぐ日差しの暑さに日傘を開く。
登城するとあって、今日は使用人部屋のクローゼットにしまいっぱなしになっていたアフタヌーンドレスを身につけてきた。
瞳の色に合わせた爽やかな若草色のドレスは、数着の普段着と共にこれ一着だけ持参したお気に入りだ。
ミルクティー色の髪は耳の後ろから頭頂部を通るラインを編み込んで反対の耳の上で留め、残りはそのまま背中に下ろしている。
子爵家といっても大して裕福なわけでもなく使用人の数も少なかったため、実家にいた頃から自分で身支度を整えるのには慣れっこだ。
門衛の一人に案内されて屋外演習場へとたどり着くと、すでに甲冑での訓練が始まっていた。
「案内ありがとうございます」
「いえ。危険ですので、くれぐれもこちらの杭より内側へは立ち入らないようご注意ください。では自分はこれで」
門衛はハキハキと要件を告げると、くるりと踵を返し今来た道を戻っていった。
城へは夜会で何度か訪れたことがあるけれど、演習場の方まで来るのは初めてだ。
等間隔で打たれた腰の高さほどの杭。
その内側が広大な演習場になっており、杭の外側少し離れた場所には所々ベンチも置かれている。
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