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11~20話
11c、これじゃない気がする
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グレニスはどうしているかと目を凝らせば、遠くに一瞬垣間見えた赤い羽根が一段高く持ち上がって、ふっと下へ下がった。
「!」
兜を脱いでる!
こうしちゃいられない!
ガバッとベンチを立ち上がって演習場に駆け寄ると、杭の境界から身を乗り出す。
これ以上中に立ち入れないのがもどかしい。
今まさに! そこに! 脱ぎたての兜があるというのに……!!
杭から身を乗り出してグレニスのいる方向を見つめていると、突然視界がぬぅっと銀色の壁に遮られた。
「お嬢さん、訓練見学はいかがでしたか?」
「見苦しい姿で申し訳ない。甲冑訓練でなければ、もう少しいい姿を見せられたのですが」
壁を見上げれば、それは二十代前半とおぼしき騎士の二人組だった。
二人ともびっしょりと汗で髪を濡らし、脱ぎたての兜を小脇に抱えている。
背の高い騎士二人に眼前に立たれると、頭一つ分小さい私などすっぽりと影で覆われてしまう。
「騎士の訓練に興味がおありですか? 僕でよろしければ、このあと他の演習場所もご案内しますよ」
「それとも、どなたかお目当ての騎士が?」
「え、ええと、あの———」
目当てはグレニスの甲冑なの、だ……けれ……ど……? ———待てよ? 汗で蒸れた甲冑の香りを嗅ぐだけなら、この人たちでもいいのでは?
「!」
兜を脱いでる!
こうしちゃいられない!
ガバッとベンチを立ち上がって演習場に駆け寄ると、杭の境界から身を乗り出す。
これ以上中に立ち入れないのがもどかしい。
今まさに! そこに! 脱ぎたての兜があるというのに……!!
杭から身を乗り出してグレニスのいる方向を見つめていると、突然視界がぬぅっと銀色の壁に遮られた。
「お嬢さん、訓練見学はいかがでしたか?」
「見苦しい姿で申し訳ない。甲冑訓練でなければ、もう少しいい姿を見せられたのですが」
壁を見上げれば、それは二十代前半とおぼしき騎士の二人組だった。
二人ともびっしょりと汗で髪を濡らし、脱ぎたての兜を小脇に抱えている。
背の高い騎士二人に眼前に立たれると、頭一つ分小さい私などすっぽりと影で覆われてしまう。
「騎士の訓練に興味がおありですか? 僕でよろしければ、このあと他の演習場所もご案内しますよ」
「それとも、どなたかお目当ての騎士が?」
「え、ええと、あの———」
目当てはグレニスの甲冑なの、だ……けれ……ど……? ———待てよ? 汗で蒸れた甲冑の香りを嗅ぐだけなら、この人たちでもいいのでは?
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