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21~30話
21d、吸われた分も吸い返すしかない
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人が頭を動かせないのをいいことに、グレニスはすんすんと私を嗅いでくる。
こうなったら吸われた分も吸い返すしかない。
すぅぅぅぅぅぅっ!
「……リヴェリーはいい香りがするな」
「んぇっ!? そ、そうれふかね……? 香水はつけてないれふけど」
強い香りを身に纏うと周りの匂いがわからなくなってしまうから、香水など香りの強いものは使わない。
今付けているのだって、昨夜付けた髪用の香油くらいのものだ。
「だからだろうか、ほんのりと甘く優しい香りがする。人の匂いなど気にしたことはなかったが、これはなかなかいいものだな」
グレニスはさぞお気に召したのか、ずっと私の頭頂部に鼻先を埋めて匂いを嗅いでいる。
「うぅぅ……」
くさいと言われず安心はしたものの、どんどんと顔に熱が集まってくるのを感じる。
嗅ぐのは好きだけれど、嗅がれるのは慣れていないのだ。
見られていないとはいえ、一体どんな顔をして嗅がれていればいいのだろう。
「……もう、いいですか……」
あえなく白旗を掲げた私がおずおずと顔を上げれば、グレニスもすんなりと鼻を引いてくれた。
「また顔が赤いな」
「誰のせいだと思ってるんですか」
じとりとグレニスを睨む。
これは明らかにグレニスが悪い。急に嗅ぎ返したりなんてするから。
「それはすまなかった」
全然反省の色なんて見えない楽しそうな声音。
するりと顎を捉えられたかと思えば、自然な流れで口付けが落ちた。
こうなったら吸われた分も吸い返すしかない。
すぅぅぅぅぅぅっ!
「……リヴェリーはいい香りがするな」
「んぇっ!? そ、そうれふかね……? 香水はつけてないれふけど」
強い香りを身に纏うと周りの匂いがわからなくなってしまうから、香水など香りの強いものは使わない。
今付けているのだって、昨夜付けた髪用の香油くらいのものだ。
「だからだろうか、ほんのりと甘く優しい香りがする。人の匂いなど気にしたことはなかったが、これはなかなかいいものだな」
グレニスはさぞお気に召したのか、ずっと私の頭頂部に鼻先を埋めて匂いを嗅いでいる。
「うぅぅ……」
くさいと言われず安心はしたものの、どんどんと顔に熱が集まってくるのを感じる。
嗅ぐのは好きだけれど、嗅がれるのは慣れていないのだ。
見られていないとはいえ、一体どんな顔をして嗅がれていればいいのだろう。
「……もう、いいですか……」
あえなく白旗を掲げた私がおずおずと顔を上げれば、グレニスもすんなりと鼻を引いてくれた。
「また顔が赤いな」
「誰のせいだと思ってるんですか」
じとりとグレニスを睨む。
これは明らかにグレニスが悪い。急に嗅ぎ返したりなんてするから。
「それはすまなかった」
全然反省の色なんて見えない楽しそうな声音。
するりと顎を捉えられたかと思えば、自然な流れで口付けが落ちた。
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