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21~30話
23e、鼻呼吸だけで生きていく
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……もしや、ずっとお手洗いを我慢していたのだろうか?
冷めてしまっては勿体ないので、もぐもぐと肉を頬張りながらグレニスの帰りを待つ。
肉は期待していた通りとても美味しくて、ピリッとした刺激と燻製のように鼻の奥に燻る香りが、とてもお酒に合いそうだなと思った。
グレニスの去った方向を見守っていると、ずっと向こうに人だかりができていくのが見えた。
人だかりの方から、グレニスが駆け戻ってくる。
「おかえりなさい」
「っ、一人にさせてすまなかった」
「大丈夫ですよ。そっちは間に合いました?」
隣に腰を下ろしたグレニスに、すっかり冷めてしまった肉串を手渡す。
「ああ、逃げられる前に捕らえることができた」
「……捕らえる?」
「……何の話をしていたんだ?」
聞けば、グレニスは先ほどの悲鳴を聞いて現場に駆けつけ、走って逃げる引ったくり犯を追いかけて引っ捕らえてきたのだという。
「衛兵を待つ時間が惜しくてな。縄を借りて縛り上げ、あとは任せてきた」
「被害者の人は大丈夫でしたか?」
「転んだ拍子に膝を軽く擦りむいたようだが、他に怪我はない。取られた荷物もすべて戻った」
「よかった……」
ほっと安堵の息をつくと、グレニスの大きな手のひらがぽんぽんと頭を撫でた。
「それにしてもこの肉は美味いな。酒によく合いそうだ」
冷めてしまっては勿体ないので、もぐもぐと肉を頬張りながらグレニスの帰りを待つ。
肉は期待していた通りとても美味しくて、ピリッとした刺激と燻製のように鼻の奥に燻る香りが、とてもお酒に合いそうだなと思った。
グレニスの去った方向を見守っていると、ずっと向こうに人だかりができていくのが見えた。
人だかりの方から、グレニスが駆け戻ってくる。
「おかえりなさい」
「っ、一人にさせてすまなかった」
「大丈夫ですよ。そっちは間に合いました?」
隣に腰を下ろしたグレニスに、すっかり冷めてしまった肉串を手渡す。
「ああ、逃げられる前に捕らえることができた」
「……捕らえる?」
「……何の話をしていたんだ?」
聞けば、グレニスは先ほどの悲鳴を聞いて現場に駆けつけ、走って逃げる引ったくり犯を追いかけて引っ捕らえてきたのだという。
「衛兵を待つ時間が惜しくてな。縄を借りて縛り上げ、あとは任せてきた」
「被害者の人は大丈夫でしたか?」
「転んだ拍子に膝を軽く擦りむいたようだが、他に怪我はない。取られた荷物もすべて戻った」
「よかった……」
ほっと安堵の息をつくと、グレニスの大きな手のひらがぽんぽんと頭を撫でた。
「それにしてもこの肉は美味いな。酒によく合いそうだ」
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