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31~40話
33a、三日分嗅がないといけないのれ
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早朝、いつものように鍛練の差し入れを用意するため厨房に行って、グレニスの不在を聞かされる。
「まだお戻りになってないんですか……」
今日こそはと高まっていた期待が全身からひゅるひゅると抜けていく。
一緒に出かけた日の翌朝に会ったきり、もう丸二日もグレニスに会えていない。
仕事が忙しいらしく、城に泊まり込んでいるのだ。
「なぁに、そーんな萎びた人参みたいに落ち込まんでも、さすがに今日明日あたり帰ってこられるだろうよ。今までだってそうさ。城籠もりが三日も続きゃ、一旦は帰ってこられた。心配しなくても旦那様ならお元気でやってるらっしゃるさ!」
ガックリと項垂れる私の背を、料理長が痛いくらいにバシバシと叩いて励ましてくれる。
「はい……」
力強い励ましの余韻にグラグラと揺れながら、タオルだけが乗ったワゴンを押して厨房をあとにした。
「今日はまた随分とメイド長に叱られてたわねぇ」
就業時間を終え使用人食堂で夕食をとりながら、マニーが憐れむような眼差しを向けてくる。
「まあね……」
掃除中にボーッとしていてバケツの水をひっくり返したり、掃き集めた枝葉の山に箒をかけてせっかく集めた枝葉をばら蒔いたり、洗濯場ではいつの間にか自分が身に付けているエプロンの裾を洗濯していた。
それらを運悪く目撃され、あるいは人づてに伝わり、メイド長から注意力が足りていないとこってり絞られたのだ。
「まだお戻りになってないんですか……」
今日こそはと高まっていた期待が全身からひゅるひゅると抜けていく。
一緒に出かけた日の翌朝に会ったきり、もう丸二日もグレニスに会えていない。
仕事が忙しいらしく、城に泊まり込んでいるのだ。
「なぁに、そーんな萎びた人参みたいに落ち込まんでも、さすがに今日明日あたり帰ってこられるだろうよ。今までだってそうさ。城籠もりが三日も続きゃ、一旦は帰ってこられた。心配しなくても旦那様ならお元気でやってるらっしゃるさ!」
ガックリと項垂れる私の背を、料理長が痛いくらいにバシバシと叩いて励ましてくれる。
「はい……」
力強い励ましの余韻にグラグラと揺れながら、タオルだけが乗ったワゴンを押して厨房をあとにした。
「今日はまた随分とメイド長に叱られてたわねぇ」
就業時間を終え使用人食堂で夕食をとりながら、マニーが憐れむような眼差しを向けてくる。
「まあね……」
掃除中にボーッとしていてバケツの水をひっくり返したり、掃き集めた枝葉の山に箒をかけてせっかく集めた枝葉をばら蒔いたり、洗濯場ではいつの間にか自分が身に付けているエプロンの裾を洗濯していた。
それらを運悪く目撃され、あるいは人づてに伝わり、メイド長から注意力が足りていないとこってり絞られたのだ。
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