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31~40話
36c、楽しげに微笑んでくれるのなら
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「ん?」
声を聞き、見つめられ、触れあって、香りを嗅いだなら。
必死に押し込めていたはずの感情はいとも容易く解き放たれて、みるみるうちに身体の内を埋め尽くす。
嬉しい。温かい。伝えたい。怖い。欲しい。与えたい。気付いて。気付かないで。私を見て。お願い、だって。何よりも。何もかも———
「———好きです」
膨らみきった想いは、とうとう抱えきれずに口から溢れた。
好き。グレニスが好き。
「グレニス様が好きです。香りだけじゃなくて、厳しさも優しさも、声も瞳も体温も、全部……全部好きなんです」
生まれて初めての告白はあまりにも拙くて。
それでもどうか少しでもこの気持ちが伝わりますようにと、俯きそうになる顔を上げ、しっかりと目を合わせて好きだと繰り返す。
「真面目で融通が利かないところも、だけどちゃんと話を聞いてくれるところも好きです。一緒にいると距離が近いのも、慣れなくて恥ずかしいけど好きです」
こんなにも大きな想いが、一体どうやって自分の中に収まっていたのだろうと思う。
どんなに好きだと口にしても、あとからあとから溢れてくるのに。
「抱きつくと抱きしめ返してくれるところも好きです。真剣に鍛練に打ち込む姿も、意外と心配性なところも、困っている人を放っておけないところも好きで———っ」
とめどなく溢れ出る想いは、性急な口付けに飲み込まれた。
声を聞き、見つめられ、触れあって、香りを嗅いだなら。
必死に押し込めていたはずの感情はいとも容易く解き放たれて、みるみるうちに身体の内を埋め尽くす。
嬉しい。温かい。伝えたい。怖い。欲しい。与えたい。気付いて。気付かないで。私を見て。お願い、だって。何よりも。何もかも———
「———好きです」
膨らみきった想いは、とうとう抱えきれずに口から溢れた。
好き。グレニスが好き。
「グレニス様が好きです。香りだけじゃなくて、厳しさも優しさも、声も瞳も体温も、全部……全部好きなんです」
生まれて初めての告白はあまりにも拙くて。
それでもどうか少しでもこの気持ちが伝わりますようにと、俯きそうになる顔を上げ、しっかりと目を合わせて好きだと繰り返す。
「真面目で融通が利かないところも、だけどちゃんと話を聞いてくれるところも好きです。一緒にいると距離が近いのも、慣れなくて恥ずかしいけど好きです」
こんなにも大きな想いが、一体どうやって自分の中に収まっていたのだろうと思う。
どんなに好きだと口にしても、あとからあとから溢れてくるのに。
「抱きつくと抱きしめ返してくれるところも好きです。真剣に鍛練に打ち込む姿も、意外と心配性なところも、困っている人を放っておけないところも好きで———っ」
とめどなく溢れ出る想いは、性急な口付けに飲み込まれた。
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